行政の取り組みとその活用

行政も居場所づくりを支援し始めています。
網走市

地域住民グループ育成事業

目的 高齢者の自立支援・介護予防のための地域住民活動を支援・育成
場所 地域の町内会館やコミュニティセンターなどを活用してもらう。
それができない地区では、家賃の一部を補助(*2007年12月までに13ヶ所が開設)
助成 毎月3万円(4月当初に事業計画)(*家賃が必要な地区は最大8万円までの補助)
特徴 対象者は高齢者で、閉じこもり防止などを目的にしているが、ボランティアとしていろいろな団体の関わりが進み、高校生ボランティアや世代間交流をプログラムにしているところもある。
担当者の声 細川英司さん
支援のためのお金は出しますが、活動内容に口は出しません。市内に20箇所を目標に事業を進めていますが、それぞれの居場所をボランティア団体の創意工夫を生かして、それぞれが他とは違う色をもった「居場所」を作ることができれば、行く人も選べるし、地域を越えても交流できます。地域の意欲ある方が手を挙げて積極的に進めて欲しい。
問い合わせ先 網走市 福祉部 介護福祉課 高齢者福祉係
TEL:0152-44-6111(代)内:288
熊本県

「地域の縁がわづくり」事業

対象 対象者を限定することなく、誰もが集える場所で、地域住民への福祉サービスを提供する事業
助成率・助成金額・対象金額 1団体 200万円以内 設備費(設備・備品購入)施設改修費
(2分の1以内補助)基本事業費や管理費は対象外
場所 既存の施設を活用・再生
特徴 高齢者も障害者も子どもも、誰でもが集える場所で地域の交流ができる居場所
既存の施設の改修や設備投資の援助をし、運営は推進団体に任せる
活用した人の声 デイサービス武蔵ケ丘サロンにふれあいの居場所“足湯“をオープン
NPO法人サンアンドムーン 木下眞理子さん
デイサービスのサロンを「地域の人たちの居場所にしたい」という思いを実現するために「縁がわづくり」事業の助成金をいただきました。地域のいろいろな人が集まることのできる「居場所」をつくることが町づくりにつながるという考え方のもとに、このような居場所ができました。助成金をいただけたので、多くの方が活用できる「足湯」をデイサービスのサロンのベランダに併設しました。利用者の方と、地域の方の交流がひろがる可能性のある居場所になりました。
担当者の声 佐崎一晴さん
ともに創る『地域共生』くまもとを目指し、誰もが気軽に集え、様々な交流やコミュニティを生み出していく地域福祉の拠点作りのために「地域福祉支援計画」=「地域ささえ愛プラン」を策定しました。行政では福祉・教育・施設に関する部署という具合に対象者によって縦割りになりがちです。それぞれの部分を横につなぎ、隙間を埋めるような事業にしたいと思います。「縁がわづくり」には、その可能性があります。
問い合わせ先 熊本県健康福祉部 健康福祉政策課 福祉のまちづくり室
TEL:096-333-2202

こんな動きもあります。市民からの声

滋賀県

「みんなの居場所をつくる会」土田滋男さん

 「滋賀に100箇所作ろう!」がスローガンです。仲間たちとこの会を作り、第1号として2007年8月、近江八幡市に「みんなの居場所」をつくりました。目標の100というのは「いっぱい」と言う意味です。ボランティアとして参加する人も増え、土日だけでなく平日にも開催するようになりました。参加者だけでなく、ボランティアにとっても、それぞれの人の「居場所」になっています。
 行政から公設の場所の提供や開設時の助成があると、目標達成も夢ではないことでしょう。また、行政の助成金は「高齢者」「子ども」「障害者」…と対象者を限定することがほとんどです。親子連れも高齢者も引きこもりの若者も、いろいろな人が集まることができるような居場所を作りたいです。
 守山市にも、4月から「みんなの居場所:守山千代の里」がオープンするなど少しずつ広がり始めました。隣の愛荘町では、「愛荘町100人委員会」の活動の中で、みんなの居場所作りをテーマに愛荘町とともに研修会を実施しています。

  • 「みんなの居場所をつくる会」では、呼びかけの段階からHPを立ち上げ、メールで情報交換をしています。
  • 子育て中のお母さんたちは、インターネット(ミクシーやSNS)などで情報交換をし、直接合って話をするオフ会のために「居場所」に集うことから居場所に関わり、活動を広げているようです。HPを中心にボランティアも参加者も増えています。
山形県

「地域福祉計画策定委員」加藤由紀子さん

 「地域福祉計画」の中でも「居場所」が地域福祉の中心になると、市民の福祉活動が広がるはずです。地域のニーズも非常に高まってきていることを実感しています。その点からも必ず計画の中に入れるように、行政に対して主張することが必要です。山形県では、「居場所」の重要性が計画の中に盛り込まれることになりました。

山形県地域福祉計画策定委員会では次のような内容が話し合われ、
「居場所」の必要性を再認識しました。

~交流の場つくりの推進~ 現状と課題 より

  • 地域住民がふれあい、コミュニケーションを図る場所を提供することは、「居場所」の役割であり、また、地域住民が自ら地域の問題を解決していくための「地域の力」を高めていくという1つの大きな目的があります。
    開催日や時間の制限、決められたプログラムへの参加者の興味や関心の有無、参加対象者が特定の人に絞られていること等、地域住民の様々なニーズに応えることができる居場所づくりは、難しいといえます。
    これからは、既存のサロンなどに加え、より幅の広い地域住民の受け皿となる「地域の茶の間」的な居場所が求められていくと考えます。
  • また、この居場所において多くの人とふれあうことは、それぞれの人に少なからず刺激を与え、「まちの保健室」的な存在となり得ると考えます。
    高齢者は、単に同じ空間に子どもたちがいるだけでも多くの刺激を受け、それが介護予防や、精神安定につながります。障がい者にとっても、地域とふれあうことで社会参加の足がかりとなります。
    子どもたちにとっては、家族や学校の先生とは違う、地域の大人に誉められたり、叱られたりする経験により、社会性が育つとともに、子ども同士の遊びやふれあいの中で、主体性、友情、助け合う心など、子どもの健全育成に効果が期待できます。

*居場所の重要性をとらえて、山形県では20年度から、居場所づくりに対する支援を考え、予算化しました。