ふれあいの居場所の役割と必要性

各地で居場所づくりを求める声が高まってきています
温かい人と人との関係を生み出す役割

 戦後の産業や社会構造の変化や、ますます進む少子高齢化や核家族化により、人と人とのふれあいや交流の少ない社会となっています。特に都市部は、ちょっとしことも気軽に頼み合うこともできない冷たい地域も多く、また、地方では、昔からの助け合いは残っていますが、しがらみの強さも残っています。
 そのような中、温かい人間関係のある地域社会を復活しようという動きが各地で出現しています。ふれあいの居場所は、地域に住むいろいろな人たちの間に、失われてしまった共助(インフォーマルサービス)を生み、広げる役割があります。子どもから高齢者まで、障害があるなしにかかわらず、地域に住む人だれもがふれあい、温かい人と人との関係を生み出す役割がふれあいの居場所にはあり、今、各地で居場所づくりを求める声が高まってきています。
 例えば、2000年に介護保険制度が始まってからは、ますますふれあいボランティア活動や助け合いの必要性が高まり、現在では、行政までもがこの共助を広げる仕組みとしての居場所づくりを支援するようすすめています。
 また、ふれあいの居場所で形成された人間関係は、助け合いだけでなく、子育ち支援、学習、町の安全確保、介護予防、防災・緊急支援ネットの形成、ひきこもりとそれに由来する孤独死の予防などなど、広く公益を生み出していくことでしょう。

 現在、さわやか福祉財団では、各地で「尊厳を支えるネットワークづくり」に取り組んでいます。尊厳とは「その人が、その人らしくいられること。また、人として、周りの人からも認められること」です。つまり、尊厳を支えるためには、人とふれあい、その中で自分が活かされるような環境が必要であり、ふれあいの居場所ではそのような人と人との関係を育んでいきます。
 自分も他人も生かす交わりの場は、年齢に関係なく誰にも必要です。たとえ、自宅にひとりで静かにしていることが好きな人でも、時には、ふらっと居場所に出かけて、誰かに会え、そこで受け入れられ、自由に過ごせることを求めるでしょう。なぜなら、人は人とふれあいたい、自分を生かしたいという本能を持っているからです。ふれあいの居場所は、その人がその人らしく過ごせる場であり、そこでの情報交換が、悩みを解決したり、必要なインフォーマルサービスを生み出す情報源となったりします。また、様々な組織とのネットワーク形成のきっかけにもなっていくことでしょう。
 皆さんもふれあいの居場所をつくってみませんか?その気になれば、ほとんどお金をかけずにできることですから。