Q & A

ふれあいの居場所をはじめるにあ たり、「この場合は、どうしたらよいの?」という具体的な疑問に対して、いくつかの実践例から答えをご紹介します。そこで大きくひと、もの、おかねの3項目に分けましたので参考にしてください。

全体

ひと

もの(場所)

おかね

その他

居場所をはじめてみたいと思っていますが、どこから手を付けてよいかわかりません。

どんな居場所にしたいか?イメージはお持ちですか?分類表を参考にしてください。また、イメージがつかめなかったり、具体的に知りたい場合は、お近くの居場所に行ってみてはいかがでしょうか?現場を見るとヒントがたくさん生まれ、ヒントからイメージが広がったり、イメージが固まったりします。

はじめるにあたり、中心となる人の心構えや必要なことはどんなことでしょうか?

その人それぞれが生かされる場、地域の人たちが誰でも自由に来られて、自由にふれあえる…つまり、「ふれあいの居場所」をはじめたいというあなたの思い(理念)が大事であり、それが揺るがないことがとても大切です。また、仲間の意見に耳を傾けて、反すうして意志を固め、また仲間に話すというくり返しが大切です。みんなで居場所をつくっていきましょう。

核となるメンバーはどのようにして集めればよいでしょうか?

まず身近な仲間にそれとなくあなたが「ふれあいの居場所」をはじめたいという思いを伝えてみてください。あなたの思いに共鳴し、協力したいメンバーは必ずいます。

居場所に来る人達をどのように呼びかけ集めたらよいでしょうか?

参加者を集めるのではなく、来たい人が集まるのがふれあいの居場所の特徴といえるでしょう。多くのふれあいの居場所では、人が人を呼んで集っている(口コミ)ことが多いようです。また、一緒に野菜や草木を育てる、生き物を育てることによって、年齢や性別を越えた人達が集まってきたという例もあります。

男性は集うのが苦手のような気がしますが、どうしたらよいでしょうか?

男性を巻き込む方法としていくつか実践例をご紹介します。

夕方からお酒も飲める居場所などはいかがでしょうか?(「居酒屋」参照)
男性が中心で集う場をつくっているところもあります。(「男の居場所」参照)
また、男性には、会計やテーブルセッティングなど何か役割をお願いするのも効果的のようです。

あなたから声をかけてみてはいかがですか。

はじめるときに、地域の人達には呼びかけることは必要でしょうか?

どうしてもしなければいけないということではありませんが、自治会、商店街(商店街の空き店舗を活用した場合など)、老人会、子ども会、近隣の小学校などさまざまな組織に声をかけて居場所の存在を知ってもらうことは、同じ地域の仲間として大切なことかもしれません。

※他にも「ふれあいの居場所」は、住民にとってのインフォーマルサービスとして、あるいは、地域の重要な資源としても大切な場所であり、地域包括支援センターなどもそのような情報を必要としています。また、地域のNPOやボランティアグループともお互い知り合っていくと、居場所の運営や居場所に来る人たちにとっても必要な情報交換ができるなど、メリットもあるでしょう。

※オープン時に地元新聞社等に記事掲載を依頼し取り上げてもらうことも地域の理解につながります。その時に理念も伝え記事にしてもらうと効果的です。

異年齢の方々が居合わせた場合に配慮することはありますか?

例えば、高齢者と子どもが一緒にいる所で、人によっては、子どもと一緒は疲れるなどという場合もあります。釧路市の「地域食堂」では、高齢者だけでゆったりできる部屋と小さな子どもとお母さんがゆっくりできる部屋とみんなで集える部屋といくつかに分けています。また、時間をずらす工夫をしているところもあります。

しかし、いろいろ人と実際に集い交わることで、例えば、子どもたちが高齢者に優しく接するようになったり、静かにするように気をつけたり、高齢者は生きがいを持ったり、お互いを思いやるような気持ちが生まれ育っているところも見られます。
それぞれを尊重しながら、また、その人を生かしながら、無理なく少しずつ広げてみませんか?

場所がないとはじめられません。特に、都心は家賃が高くて気軽にはじめられませんが、どうすればよいのでしょうか?

どのような居場所をはじめたいのかイメージは固まっていますか?大きな場所でなくても、居場所ははじめることもできます。まずは、賛同する仲間たちや地域の人達に思いを話してみてはいかがでしょうか?場所を提供したり、情報を提供してくれる人が現れるかもしれません。

また、少子高齢化が進んでいる現在は、学校の余裕教室、商店街の空き店舗、空き家など、都心でも活用できそうな場所もあります。行政でもそれらの活用をすすめる事業に取り組んでいるところも見られます。一度、問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。実践例として、東京の「はせさんず元気かい」は、毎日場所を変え移動式で行っています。

初期資金は、どれくらい必要ですか?また、どのように集めればよいのでしょうか?

基本的に、「ふれあいの居場所」はお金がなければできないというものではありません。

多くの実践者は「まずは、はじめよう。はじめると物やお金を寄附してくれる人、手伝う人などが現れてくる」(アドバイス参照)といっています。また、介護保険事業など既に取り組んでいる活動の余剰金をあてたり、行政の支援や助成団体の助成金を活用したりと方法もさまざま、初期資金もさまざまです。(おかね参照)新潟の「うちの実家」では、初めに「夢買人」という名前で理念に賛同する人達を募り、一口@10,000円の賛助会費を集め、150万円集まったそうです。

参加費はどうすればよいでしょうか?

みんなが主体的な場、みんなでつくる居場所ということからも参加費を取っているところが多く見られます。無料にしたら、次第に人が来なくなったり、お礼のお菓子を持参するようになるなど、かえって気を遣わせる場合も見られます。方法は、参加費として100円~1,000円ほどをいただいたり、食事代をもらう所などさまざまです(各事例参照)。例えば「茶話やか広間」では、参加費無料ですが、「おこころざし」と書いた入れ物を居場所に置き、来た人がおのおの入れ物に気持ちを入れていくという方法を採っています。

運営費はどのようにしたらよいですか?

まず、「ふれあいの居場所」は、基本的に事業的な活動と違い、人件費がほとんど発生していないというのが大きな特徴です。それぞれが「助けたり・助けられたり」の“お互いさま”の関係のため、中核になっている人たちも参加費などを払っているところが多いです。また、人件費として支出されているところも、多くはボランティア価格です。(おかね参照)「居場所の活動を続けていくと、食事代や参加費のみでも悩みませんよ」と実践者。人脈から、ひと・もの・おかねと広がっていき、収支のバランスをみても儲けることはなく、プラスマイナスゼロという程度のところが多いようです。

タイプ別に見ると、〈自然発生タイプ〉は、基本的にほとんどお金がかかっていないのが特徴です。また、〈併設タイプ〉も他の活動の余剰金をあてて運営しているところが多く見られます。そこで、〈単独タイプ〉と〈カフェタイプ〉のいくつかの例をご紹介します。

●参加費1,000円(1日、食事代込み)とし、みんなでまかなう。また、古紙回収をし、その費用を運営費にあてる。
●小物づくりを等を行い販売する。
●飲食費により賄う。また、野菜などは近所の人が届けてくれる。

報酬をもらわなくても、自分を生かしたいと願っている人もたくさんいます。その方々の協力もえましょう。

カフェタイプをやってみたいと思っていますが、食品を扱う場合の食品管理、衛生管理はどうしたらよいでしょうか?

会員外の不特定の利用者を想定する場合は、保健所に届け出をし、研修を受けてからはじめています。毎日開いている「ふらっとステーション・ドリーム」は、営業許可をとっています。また、毎日食事をつくり食べているところでも、ご近所の人が一緒に食べる感じなので、営業許可をとってないところもあります。地域によっても違うので、自然発生タイプ以外で食事を出すところは要確認。

交通の不便なところで居場所をはじめたいと思いますが、歩いて来られない人などの送迎はどうすればよいでしょうか?

無理なくできるところからが「ふれあいの居場所」の基本なので、送迎も必要であり、可能であればはじめるというのが基本のスタンスになります。例えば、都心などでは、駐車場を確保するのも大変です。そのときのできる範囲で送迎をするかしないかを判断するとよいでしょう。いくつか例をご紹介します。

●助け合いの一環で(時間通貨を活用し)できる人が、あるいは、ついでに乗せてくる。
●来る人それぞれが考えてくる。
●家族が連れてくる。歩いてくることができる人のみ。(近隣の人)など。

継続するためのポイントを教えてください。

居場所をはじめたいという思いを持った中核メンバーが、無理なく、自分自身も楽しむことが一番のポイントのようです。また、居場所に集う人の人脈から、次第に何かがはじまったり生まれたりするケースもあります。
笑顔があるところに、人はよってきます。
まずは、はじめてみませんか。