居場所の効用と効果

居場所の効用

 人間は、基本的に何人かのグループで一緒に行動して、助け合ったり、教育をしたり、生産活動をしたりと、グループで活動する性格を持った動物です。

 そのため、人々は、一緒になって快く生きていきたいという本能を生物として持っているので、「ふれあいの居場所」は比較的、多くの人たちに受け入れやすい仕組みです。

 しかし、人間は1人でいる時間も必要です。ただ、ずっと1人でいると、精神力、知力、好奇心、感性などさまざまな力が退化していきます。なぜなら、不安になるからです。ずっと1人でいるとやがて、寂しく心細くなっていきます。この状況は、積極的にがんばろうとか、いろいろな事を知ろうとか、やってみようという力をそいでいきます。つまり、気力が落ち、不安の方が勝っていくのです。

 ところが、「ふれあいの居場所」で、自分がこういう人間であるということを発信して、誰かが受け止めてくれると、うれしくなり、不安は消えていきます。それは、人間に大きな力を与えます。また、受け入れ合う関係では、相手から、自分にない新しい発想、考え方を聞くことができ、これが、大きな刺激になります。そして、この刺激が自分の中で眠っている能力(意欲)を引き出し、刺激を受けることにより、眠っている能力がよみがえって、回復していくことにもつながります。これは、人間にとって大変快い状況です。

 いろいろな人と一緒にいるということは、自分が認められる安心、自分が発信して受け入れられる喜び、同時に、人から刺激を受けて、自分が気づかない事に思いついたり、やる気になったりして、自分の力が出ていく充実感、生きがい、そういったものをつくり出します。このように非常に重要な機会が、お互いさまのフラットな関係でいられる居場所、何を話してもいい居場所だからこそ実現できます。だから「ふれあいの居場所」は、それぞれの人間の力を引き出し、助け合う力を引き出す、一番基礎になる活動と言えるでしょう。

「ふれあいの居場所」の効果

心のやすらぎ

自分の行きたい時に好きなだけいられる自由と、ふれあえる心地よさがあります。

おしゃべりするのもよし。買い物や学校帰り、散歩の途中などにふらっと立ち寄るのもよし。

お互いの存在を認め、その存在意義を確認しあいながらふれあうことで、いきいきとした日々を過ごせます。

多世代にわたるさまざまな立場の人々とふれあうことで、心に刺激をうけ、リフレッシュや精神安定、高齢者の介護予防等にもつながります。

子どもも、学生も、勤労者も、主婦も、高齢者も、障がいのあるなしに関わらず。

人間力UP

助け合いの心が芽生えます。

ふれあいの中から、困っている人に対して自分がなにができるかを考えたり、悩んでいる時に人に相談したりと、自然に“お互いさま”として助け合いの気持ちが芽生えます。

自分の能力を再発見し、豊かな経験とそれを生かす場を見いだせます。

お互いに助け合いながら過ごすうちに、自分の新たな能力に気づいたり、今まで培ってきた知恵や特技に気づき、それをいかす場を見いだせます。
また、それは、その人の生きがいにもつながります。
それぞれが活躍してきた分野の特技や知恵を、ふれあいの中でいかし、いきいきと活躍できることでしょう。

自分に自信を持つことができ、ひきこもりや閉じこもりを防ぎ、外(地域)へ出るきっかけとなります。

障がい者の社会参加への足がかりとなります。

子どもは、社会性や主体性、リーダーシップが育ちます。

子どもは、地域のさまざまな大人にほめられたりしかられたりすることで、社会性が芽生えます。また、子ども同士の遊びや交流の中では、役割やルールを学び、主体的に考える力やリーダーシップが育ちます。

地域の仲間づくり

情報交換の場となり、お互いの理解が深まることで、信頼関係が生まれます。また、それぞれの抱えている問題や悩みを共有し、相談し助け合える関係になります。

なにげないおしゃべりの中で信頼関係が生まれ、悩みが解決したり、必要なニーズが生まれます。1人で子育てをしているお母さん、なかなか地域に関わることができない勤労者、孤独な介護に悩んでいる人など、信頼ある仲間ができ、心強く安心した生活が送れるようになります。

いろいろな助け合いのできる関係に広がります。

助け合いの気持ちが、地域にあるさまざまな問題などに取り組んでいくきっかけづくりになります。

安全・安心な地域づくり

顔が見える地域になります

隣に誰が住んでいるのかわからない、隣で事故が起きていたことに気づかない、というような地域では寂しいものです。
居場所での出会いがふれあいにつながり、顔が見える温かい地域となっていくことでしょう。

顔が見える地域は、安全で安心な地域づくりにつながります。

顔が見える地域は、例えば幼児虐待などのさまざまな事件や不審者の侵入などの防犯対策、独居老人の孤独死といった事故も防げるのではないでしょうか。

地域の住民意識を高めます

人と人とのつながりが広がることで、地域の問題を協議することも行われ、地域への関心が高まり、地域に生じている課題や問題に対し、連携して取り組んでいくきっかけづくりになります。