市民後見人・認知症サポーター

認知症や障がいによって意思が正しく伝えられなくなる日が来るかもしれない。そんな時、本人や家族に対して周りができることは何か。どう支援することができるのでしょうか。
地域の暮らしを支える仕組みとして、住民の参加が大きく期待されています。これらを根付かせる役割が、今求められています。

市民後見人

市民後見人は、弁護士や司法書士などの資格は持たないものの、一定の知識を身に付けた人々が、社会貢献の一つとして取り組む活動です。

市民後見人って何?

認知症、知的障がい、精神障がいなどで判断能力が不十分な方々に対して、本人の立場に立って適正な判断を下し、地域で尊厳ある生活を送れるようにする国の仕組みとして、成年後見制度があります。そのうち、市民後見人は、弁護士や司法書士などの資格は持たないものの、一定の知識を身に付けた人々が、社会貢献の一つとして取り組む活動です。
本人に代わり法律に関わる判断も行いますので、大変重要な役割を持ちますが、本人のいきいきとした日々の暮らしのためには不可欠のもので、大きなやりがいがあります。

どうして今、市民後見人が求められているの?

成年後見人として期待される職業後見人は人数が圧倒的に足りておらず、市民後見人を広げていく以外に必要な支援を適正に行っていくことができません。また、基本知識を身に付けた市民後見人は、特に生活支援環境の整備(身上保護)の面では職業後見人以上の能力が発揮できます。

市民後見人が助け合いに必要な理由

職業後見人の場合は主に制度や事業サービスに関しての判断をすることが中心となりますが、市民後見人の場合は、制度以外の領域で、例えば認知症であってもご本人の思いを生かして、本人のできること・役割を見出したり、地域活動への参加をサポートすることも可能です。誰もが助け合いに参加できる環境づくりを進める上で、市民後見人の役割は非常に貴重だといえます。

始めたい時はどうしたらいいの?

市民後見人養成の取り組みが全国の自治体で行われています。まずは、お住まいの自治体でそうした取り組みが行われているか確認してみてください。活動を始めるには、市区町村等が実施する養成研修にまず参加して必要な知識を学び、その後、養成研修を行った機関の紹介で活動を始めたり、NPO法人を設立して、市民後見活動を行うこともできます。

認知症サポーター

認知症の人や家族に対して、地域や職場で、できる範囲の支援を行います

認知症サポーターってなに?

認知症の人や家族に対して、地域や職場で、できる範囲の支援を行うのが「認知症サポーター」です。これまで全国各地で養成が進められ、すでに1300万人を超えるサポーターが誕生しています。また、認知症の方を支える活動は、地域住民の助け合いで、自治会やNPO法人でも積極的に始まっています。こうした活動に参加することでも、認知症の方々を支えるまさにサポーターといえるでしょう。

どうしたら認知症サポーターになれるの?

「認知症サポーター養成講座」は、全国の自治体で行われています。地域や職場単位、住民講座、ミニ学習会等として開催されていますので、ホームページや広報で確認してみてください。

認知症サポーターになったらどうしたらいいの?

地域で始まる「チームオレンジ」の活動にぜひ注目し、情報収集をしてみてください。また、自治会やNPO等が行う見守り活動、生活支援・助け合いの活動に参加することで、認知症の方やご家族のサポートに繋がります。

認知症サポーターを支える仕組み「チームオレンジ」

今後ますます増える認知症の方の暮らしを支えるため、こうした認知症サポーターの皆さんがチームとして機能する環境を作ろうと国・自治体でも「チームオレンジ」という取り組みが始まりました。

チームオレンジとは、2019年6月に厚生労働省が取りまとめた「認知症施策推進大綱」に位置付けられたものです。認知症サポーターをさらに増やすだけでなく、「認知症サポーター等がステップアップ講座を受講してチームをつくり、支援ニーズにあった具体的な支援につなげる仕組み」です。単に認知症サポーターの活動を促進するだけでなく、認知症の人や家族自身が地域で身近な助け合いに接し、参加し合える枠組みづくりが期待されています。 市町村がコーディネーターを配置し、近隣チームによる認知症の方の悩みや家族の身近な生活支援ニーズに早期からの継続的な支援を行います。