「地域助け合い基金」助成先報告
ユニバーサル・ピア
千葉県松戸市 ウェブサイト
助成額
150,000円(2024/09/13)助成⾦の活⽤内容
このたび申請する「箱根ステップアップキャンプ」は、昨年新たに立ち上げた事業です。本事業は、日本有数の温泉観光地「箱根」を舞台に、障がいを持つユース世代(18歳~35歳)を対象にした共生キャンプです。障がい当事者と大学生・社会人ボランティアが共に企画し、楽しむことで、相互理解を深めることを目的としています。
本事業には、以下の3つの主要な目的があります。
1,障がいがあるユース世代の社会参加能力の向上
障がいのあるユース世代が社会で自立して生活するために必要な計画力やコミュニケーション能力を身につける場を提供します。一人ひとりに合わせた参加方法を大切にし、単なる参加者としての体験に留まらず、障がい当事者とボランティアから成る「実行委員会」を組織し、自らの企画に参加できる機会を提供します。
2,障がいがある人との交流の場を提供
障がい福祉を学ぶ学生や、障がいに馴染みのない学生・社会人に対し、実際に障がい者と共に活動し、交流することで普段経験できない機会を提供します。これにより、将来障がい福祉に関わる仕事や障がい者との関わりを持つきっかけとなることを目指します。
3,家庭で介護に従事している家族へのリフレッシュの機会提供(レスパイト)
障がいのあるお子様を介護している家族の方々に、気軽にリフレッシュできる場を提供します。お子様を当キャンプのスタッフやボランティアに預け、日本有数の温泉地「箱根」で観光や温泉をゆっくり楽しむ時間を提供します。
ボランティアとして参加してくださる方には、障がい者参加者の生活介助などの役割をお願いするため、参加費を無料にしたいと考えています。また、実行委員として参加する障がい者スタッフの参加費の一部補助や、キャンプ活動中にかかる経費についても申請させていただきます。
活動報告
1,募集と計画の準備
2023年12月に、実行委員会メンバーによるモニターキャンプを実施しました。このキャンプでは、流星館に実際に宿泊し、私たちが計画している活動が現実的に可能かどうかを検証しました。
その振り返りをもとに、「第1回箱根ステップアップキャンプ」の企画を進めました。本事業では、申請書に記載した「障がいを持つユース世代の社会参加能力の向上」や「レスパイト」などの目的を実現することを目指しています。しかし、運営力や現状を踏まえ、今回は一般募集による大規模な開催ではなく、モニターキャンプよりも参加者を数名増やす形で実践を積む方針としました。
一方で、計画の遅れが生じました。その結果、募集期間が10月下旬から11月中旬と短期間になり、キャンプ直前での広報活動となったため、応募者は障がい当事者2名とボランティア1名にとどまりました。実行委員会で検討した結果、当事者1名とボランティア1名の参加を決定しました。しかし、ボランティア1名が体調不良の為欠席され 募集して参加した方が1名となってしまいました。
2,移動手段の調整
助成金を活用し、当初は介護タクシーの利用を計画していましたが、参加者の車いすのサイズ、歩行状況、行程を考慮し、車椅子用乗降リフト付きのレンタカーを借りることにしました。これにより、移動の柔軟性が向上しました。
3,当日の様子
<1日目>(12月21日土曜日)
小田原駅に集合後、箱根神社や箱根水族館を観光し、宿泊施設「星槎大学箱根キャンパス・流星館」に到着しました。施設内プログラムを予定していましたが、参加者全員が疲れていたため、自由に居室で休む時間としました。
流星館は完全バリアフリーの宿泊施設で、車椅子のまま居室に入室できる構造や車椅子用トイレ、浴室の介助用リフトが整備されており、快適に利用できました。
<2日目>(12月22日日曜日)
流星館を出発後、仙石原すすき草原を散策しました。入口付近での散策や記念撮影を楽しんだ後、ポーラ美術館を訪れました。同館はバリアフリー設計で、多目的トイレも整備されており、安心して見学ができました。その後、箱根湯本駅前を散策し、各自お土産選びを楽しみました。昼食は小田原駅のミナカ小田原で取り、その後、お隣のUMECOにて振り返りを行い、一日の活動を共有しました。
4,総括
本ステップアップキャンプ事業では、身体に障がいを持つユース世代の方々が単なる参加者に留まらず、ボランティアと共に企画段階から話し合い、考え、作り上げる「共同作業」のプロセスを大切にしています。この活動を通じて、他者との協力や自発的な行動力を養う機会を提供していきたいと考えています。
また、「キャンプ」という観点から、星槎大学さんの方からテント泊やバーベキューといった体験型活動を取り入れることをご提案いただきました。これらを含めた「ステップアップキャンプ事業」として新しい挑戦を進めていきます。しかしながら、運営体制の強化やボランティアへの適切なレクチャーなど、解決すべき課題も多くあります。一つ一つ課題を乗り越えながら、このキャンプ事業が障がい者の社会参加を促進する一助となるよう取り組んでいければと思っています。
今後の展開
私たちの団体は、「障がいの有無にかかわらず、お互いが自己決定・自己選択をしながら無理なく関係性を持ち、一緒に暮らしていける社会」を目指しています。この実現のために、障がい理解活動や、当事者自身が積極的に社会参加を通じて様々な力を身につける機会を提供しています。また、幅広い世代や立場の人々との交流を促進することも大きな目標としています。
当団体では、以下のような活動を行っています。
①福祉教育の推進
松戸市社会福祉協議会と意見交換を通じ、地域での福祉教育の在り方を共に考えています。
②学生ボランティアの体験提供
「まつど市民活動サポートセンター」のLet's体験事業を通じ、市内の中学・高校生・大学生に障がい者福祉施設でのボランティア活動の場を提供しています。
③障がい理解イベントの開催
子ども支援のNPO法人と連携し、地域の方々に障がいへの理解を深めていただけるイベントを企画・実施しています。
このキャンプは、当団体の目的を包括的に実現するための重要な取り組みです。「箱根に宿泊して観光する」ことを超えた、深い価値を提供することを目指しています。
<キャンプの特徴と目的>
①相互交流の場
当事者とボランティアが一緒に話し合い・考えることで、生まれる相互交流を大切にしています。
②スキルの向上
自分の考えや思いを他者に伝える力や、協力して企画運営する力を養い、社会に出ても困らないスキルを身につけてもらいます。
③遠出と観光の喜び
障がい当事者の方々に、日本有数の温泉地「箱根」で観光や温泉を楽しむ機会を提供します。
<今後の展望>
①ボランティアの募集
この活動を支えるため、さらに多くのボランティアの方々を募集しています。学生から社会人、地域の方まで、幅広い方々の協力を歓迎します。
②地域との連携
地元の方々のご協力を得ながら、このキャンプをより多くの人に届けられる事業として成長させたいと考えています。
③運営体制の強化
障がい当事者とボランティアさんからなる実行委員会メンバーを増やしていければと思います。