「地域助け合い基金」助成先報告
たすキュー金立
佐賀県佐賀市


助成額
150,000円(2024/04/19)助成⾦の活⽤内容
佐賀県佐賀市金立町の人口は、4426人、65歳以上の高齢者は、1552人、高齢化率は35.1%。
少子高齢化は進み、独居高齢者や高齢者世帯は増加する一方で、サロンやカフェなど集いの場の消滅、地域行事の縮小化、自治会加入率の減少で、地域から孤立する人が増えている。
近所付き合いも年々減り、生活の中に困りがあっても気軽に頼める人がいないといった声や、困っている人を助けるための支援方法が分からず、気付いてはいても支援に踏み出せないということが地域で起きていた。
このままの状況が続けば、自治会組織そのものが無くなってしまう。昔あった、近所同士の繋がり、助け合いを復活させ、高齢になっても住み慣れた地域で住み続けられる、そんな地域を住民が団結して、再構築する必要を強く感じた。
そこで、以前から、ボランティアで高齢者の生活の困りを助けていた人が集まり、“気兼ねなく困りを頼める”、“気兼ねなく手助けが必要な高齢者を助けられる”そんな、住民主体の有償ボランティアを立ち上げることにした。小学高学年の子どもたちによるゴミ捨て等もメニューに入れていくことを想定している。
まずは、困りごとの調査の分析をして、活動メニューを選定し、仕組みや広報や周知について協議する。また、町の地縁団体へは適時に報告、連絡、相談をしながら賛同を得ていくことを決めて、現在進めている。
全体の統括や運営は事務局で実施するが、本地域に18ある各自治会に事務局を配置し、活動主体やサポーターの調整は、各自治会の事務局へ委ねる形で機能させていくことを目指す。
例えば、“A自治会の住民からの依頼は、A自治会に設置した事務局がコーディネートし、A自治会のサポーターが活動を実施する”という方法である。
小地域での実践は、知っている人が来てくれるという安心感へ繋がり、活動後も気に掛け合うことが可能になる。また、サポーターは近所同士となることから、近所同士の繋がりの再構築が目指せると考える。
その他にも持続可能な運営を実現可能とするため、各自治会で出された住民、サポーターからの意見を月一回の定例会で持ち寄り、課題解決に向け協議する場を設ける。自分たちの地域のことを住民同士で話し合う場ができることで、住民の地域づくりの力の向上も目指していく。
活動報告
全国的に問題になっている少子高齢化の波に金立地区ものまれています。その中にいるからこそ、困っている高齢者に対して出来ることをしようという思いで立ち上がった「たすキュー金立」です。発足が6月30日だったため、発足直後から怒涛の草刈り依頼が入りました。金立地区にお住まいの方は土地の広い方が多いため、原則1時間で終わらせるためには大人数ですることも多々ありました。作業をしてくれる方々を「サポーター」と呼び、90名ほど登録してくれているので、グループラインで協力を募ると、すぐに日程調整ができて人を集めるのに苦労したことはありません。サポーターの中には小中高生も入ってくれて、土日などは草集めの作業に協力してくれています。
90代の方からゴミ捨て依頼があり、近所に住む5年生の男の子が毎週ゴミ捨てをしてくれています。その男の子は不登校ではありますが、自分の道を突き進むタイプで、年配のサポーターの方と会議に入ることでお互い良い刺激になっています。もう一軒のごみ捨て依頼の方は、そこに入ってくれたサポーターさんが昔お世話になった方だったようで、久々の再会に喜ばれて週1の楽しみになっていると双方からお言葉を頂きました。近所でも、なかなか一度縁遠くなると会えないものですが、こうしてまた縁があるというのは嬉しいことです。
まだまだ周知が完全ではなく依頼が頻繁にあるわけではないため、逆にサポーターの子どもたちから「いつあるのですか?」と催促があります。Youtubeや新聞などでの周知活動、民生委員さんとの連携などで1件1件にお知らせしてもらいましたが、まだまだ足りないところがあります。金立住民で知らない人がいないようにすることが第1の目標です。
草刈りをして安くてきれいになるので、皆さんから喜びの声はいただいています。依頼者の方よりも、一緒に住んでいないお子さんやお孫さんが安心されてわざわざ電話で感謝を言ってきてくださる方もいました。
最初に伝えていた値段より、活動中に使用するモノが増えて高くなってしまうこともあり、そういうことがないようにだいたいの料金でお知らせしておく、というのも活動中での反省点です。1つ困ったこととしては、90代の一人暮らしの方が「お金は支払った」と言われたがその事実がなく、遠方にいる70代の息子さんも「本人はしっかりしているから嘘はついていない!払ったはずだ!」と言われました。今後も必ずこのような問題は出てくることなので、お互いがきちんと分かるように工夫していくことが課題です。しかし、役員、社協、おたっしゃさん、佐賀市の方々との打ち合わせでそれぞれの意見を頂き、情報を共有しているため、自分たちだけで抱えずにいられるのでありがたい環境でしています。
枝を捨てに行くという依頼もよくあります。佐賀市のゴミを捨てる場所には依頼者さんも一緒に行ってもらい手続きをするという手間があります。足の悪い方もいるためなんとかならいかと、佐賀市の方やサポーターで市議会議員の方に動いてもらいましたが良い案はありませんでした。少し料金が高くなっても、チップ用として買い取ってくれる事業所に持っていくかなど、これも課題の一つです。
1ヶ月に1回の会議で、移動支援が必要であるとの意見があり、12月から講演を聞いたりして金立で出来る形を模索しているところです。車の確保、運転手、連絡方法、問題は山積みですが、草刈り依頼のない冬の間に少しでも実現するために取り組んでいるところです。
あと、空き家が多いので空き家管理も視野にいれています。そのためには遠方におられるだろうその家の方にどうやってたすキューのことを知らせるかも課題です。チラシを入れても、その家のポストの管理を頼まれているご近所さんが捨てていたりするようなのでインスタを開設するという話もでています。今後金立在住以外の方が、たすキューを知って、依頼ができて、支払いも出来る、というやり方を考えながら進めていっています。
1年活動してみて、サポーターさんの登録は多くても活動する人はいつも同じメンバーになっているので、今後登録してる方が出てきやすいあり方を模索していくことになりそうです。
今後の展開
金立地区の高齢者は一人暮らしの方や、高齢者世帯が決して少なくありません。日々の生活の中のちょっとした困りごとを解決するために、外部の方に頼むのはもちろんいいことです。ですが、家の中に入られるのに抵抗があったり、知らない人が怖かったりする方は、顔見知りのご近所さんに来てもらうほうが安心でしょう。無料で行うと、してもらう方が申し訳ない気持ちになってしまうので、少しでもお金の支払いが発生すればそんな気持ちもなくなります。家の外の草刈り作業、日々のゴミ捨て、買い物の代行、大きなゴミの処理はこの半年してきたことです。今後は空き家の管理、お墓の管理、買い物や病院へ行くための移動支援を金立にあったやり方で始めていきます。
新聞やネットで情報を伝えていますが、年配の方に対してはまだまだ足りません。1件1件の声掛けが一番です。そのためには幅広い層の年齢の方にサポーターになってもらいたいです。年齢が上の方は同じ年代の方にアピールしてもらう。壮年層のサポーターさんはどんどん作業をしてもらう。
まだまだ現場で働いている青年層へは、SNSなどで情報提供をしてもらう。そして小中高生には、作業に入ってもらい、会議で大人の意見を聞いてもらい、一緒に地域を動かしているという実感を持って、それを自信につなげてほしいと思っています。
年配の方々の熟練の動きを若い世代に教えていけるということは、教える側にとってとんでもないやる気につながっています。
そして不登校の子どもたちは年々多くなっています。それが駄目なわけでもないし否定するわけでもないですが、地域と関わり、大人たちに認められていくことで自己肯定感を上げていってほしい。明るい地域には子どもたちは不可欠です!あまりにもジェネレーションギャップがありすぎて、年配の方と子どもたちの関わりが難しく感じるところもあるようですが、大人の度量で解決していきます。
手伝って欲しい高齢者も、まだまだ元気だから手伝いたい高齢者も、働き盛りの壮年たちも、ネットを有効に使う若い世代も、学校に普通に通う学生も、学校の枠にはまりたくないという学生も、みんながつながり笑顔で暮らせる金立であるために、たすキュー活動は続いていきます。