「地域助け合い基金」助成先報告

 スウェーデンヒルズ町内会

北海道当別町
居場所見守り配食・会食

助成額

150,000円2024/03/27

助成⾦の活⽤内容

スウェーデンヒルズ町内会は380世帯850名が暮らしている。高齢化率も高く40%以上が高齢者世帯。また他地域からの移住者が多いのも特徴である。
当町には商業施設やスーパーがなく、住民が買い物等に出かけるのに、3~5km離れた隣町まで公共交通機関を利用したり、自家用車で出かけなくてはならない。そのような地域性から、元気で活発な一部の人を除いて、ちょっとお出かけして会話を楽しんだりするような町内住民同士の交流の機会が少ないことが課題である。

現在、当町内会では、住民交流の場にもなっている「ヒルズサロン」を開催しているが、身体的・文化的活動が多く、参加者が固定化されている。
そこで、自家用車がなく外出しづらい人、日常生活で人と触れ合う機会が少ない人、独居の高齢者等、これまで町内の人となかなか関わる機会が少なかった人達にも参加していただける場を作りたい、という強い気持ちを持った有志6名(町内会長、民生児童委員、福祉委員、ボランティア経験者、社会福祉に関わる仕事に従事している)で「ヒルズ自由塾」(以下、自由塾)を月に1回開催することを決めた。自由塾では、「知りたい」「学びたい」「交流したい」という住民の気持ちが満たされるような内容、また当別の自然と触れ合う体験なども取り入れ開催することで、これまで出かけることが少なかった住民の皆さんにたくさん参加していただき、自由塾が「仲間づくりの場」、「集いの場」として、仲間づくりや居場所づくりのスタートになることを目指したい。

さらに、今後自由塾で進めていきたいのが、移動が困難な高齢者への移動支援である、車を持たない高齢者が自由塾に気軽に参加できるよう、現在当町で加入している保険が適用される利点を活かし、まずは有志のうち3名が車を出し運転手を務めることで、参加者の送迎を行っていきたい。
この送迎サービスを自由塾で定着させ、地域での住民交流がよりスムーズになることに繋げていく。

自由塾は、現在全世帯に月1回は配布している町内通信「ベンネル」、そして新たに有志で作る「自由塾新聞」で参加を呼びかけていく。4月開催の第1回目は講師に北海道医療大学看護福祉部の池森康弘先生に講義をしていただく。ま今後は当別町に関わる人や団体と連携し講師を決める等、地域間の関係づくりにもつなげ、幅広い講義内容で子どもから高齢者、男女関係なく全ての住民の人が気軽に参加できる「場」を目指していく。

助成金については、開催の周知に必要な「自由塾新聞」制作のために必要な物品の購入に充てることを検討している。

活動報告

<はじめに>
スウェーデンヒルズ(以下、ヒルズ)は、北海道札幌市の北隣にある石狩郡当別町にある住宅地です。約40年前に開発が始まり、当初は別荘として住宅を所有されている方が多く定住者は少ない状況が続きましたが、近年は定住者が増加しています。住民は、北海道外からの移住者が7割を占めており、首都圏や関西圏で一線を退き、リタイア後に移住している世帯が多いのも特徴です。

しかしながら、居住して20年、30年と経過し世帯の構成にも変化が生じ、伴侶を失い独居での生活を続けている世帯も増加。一方、コロナ禍で停滞していた新しく住民になられた方々との交流も課題となっていました。移住理由は様々ですが同じ町に住む住民同士をつなぎ、共に知り合い、困った時は自然発生的なお互いさまの関係づくりの醸成や防災上の観点からもきっかけ作りが必要となっており、町内会長を含む住民有志が集まり当別町内のリソース、ヒルズ住民の経験を生かした場づくりを目指し、今年度より「ヒルズ自由塾」を住民有志が企画し月1回のペースで開催いたしました。

<具体的にどのような活動ができたのか>
「知りたい」「学びたい」「交流したい」という住民の気持ちを満たせるよう、月に一度様々なテーマでヒルズ自由塾を開催しました。
4月  健康寿命の延ばし方 ~セラチューブ体操と栄養について~(北海道医療大講師)
5月  森の現状と未来(当別町森林組合理事)
6月  放牧と牛乳のおいしい関係(ジャージーの箱庭 牧場主)
7月  いつものスマホ写真をワンランクアップ(ヒルズ住民)
8月  北国のガーデニング(当別高校教諭)
9月  大人の絵本の読み聞かせ(ヒルズ住民)
10月 ヒルズで見られる鳥 ~秋・冬編~ (北海道野鳥愛護会 ヒルズ住民)
11月 転倒予防講座(雪かきのコツも一緒に) (北海道医療大学講師)  
12月 スウェーデン流クリスマスシーズンの過ごし方(スウェーデン交流センター)

結果、延べにして300名近く(スタッフ含む)の住民が参加し、住民同士の交流が図られました。テーマ選定に当たっては、全国各地から移住してきた方が7割を占めるスウェーデンヒルズの土地柄を考慮し、当別町及びヒルズについて知る機会となるような身近な話題を取り上げるようにしました。結果的に、大学高校等教育機関、森林組合などとの地域リソースとも連携をとることで、地域とのつながりが深まる機会ともなりました。

また、新たに町内に新規就農された酪農家への見学も兼ねた講座では39名の方が参加され、牛と触れ合いながら放牧について学ぶなど、“地元ならでは”のテーマに参加者同士の交流も弾みました。
さらに、専門知識を持ったヒルズの住民を掘り起こし講師をしていただくことにより、地域住民の交流を促進するきっかけとなりました。
例を挙げると、9月に開催した「大人の絵本の読み聞かせ」に参加された方が絵本を200冊ほど所有され、有効に活用してもらえればとのご好意から、活動拠点であるコミュニティーセンターに絵本図書室を新たに立ち上げる動きにも結びつきました。

今回のさわやか福祉財団の助成金は、これら各講義を効果的に開催、実施するために活用されました。とくに、講義中のプレゼンテーションや、開催告知に使用する「ヒルズ自由塾新聞」の印刷を進める上で、多いに役立てることができました。立ち上げるきっかけをいただき、またプロジェクトを軌道に乗せるための資金面でのサポートは、運営に大きな意味があったと考えます。これを足がかりとし、住民同士が助け合う共助、互助のコミュニティーづくりの一助となるべく、更に充実した内容で発展させていけるよう努力していきたいと思います。

<参加した住民からの声>
移動が困難な高齢者には、当初自由塾スタッフが送迎も担い、参加者が気軽に参加できるように配慮してきましたが、回を重ねる中で参加者同士が声を掛け合い送迎するなどして、外出の機会が増えた、月一回の楽しみが増えたとの声もありました。
また、長年住みながら周りの森林や野鳥などの自然環境や牧畜に至るまで初めて知ることも多いとの声もあり、より地域を身近に感じる契機になったとの話もあり、今後も継続して欲しいと言う要望もアンケートから多く寄せられました。また、一方で講師となった住民側からも、ヒルズ内の離れた他地区の住民と知り合うきっかけになった、自らの経験を地域に生かすことが出来た、との喜びの声を頂きました。

<課題>
当ヒルズ自由塾スタートにあたっては、町内会の活動とは言え、これまでにない規模と企画で周知に大きな課題がありました。そのためこの新しい取り組みを広く住民に告知をするため、社内広報の経験がある住民スタッフが「ヒルズ自由塾新聞」を毎月発行し、必要に応じて定住者約400世帯全戸配布するなど時間と労力をかけ参加者の掘り起こしに努めました。さらには、独居の高齢者宅には、個別に説明して歩くなど時間をかけて参加の定着を図りました。
今後の課題としては、すべて住民によるボランティアであることから、継続的な取り組みとしてより多くの住民が参加して、自らも楽しく学び、繋がっていく環境をどう作っていくかが問われています。
また、道外からの移住者が多く地元の町と地縁血縁が少ないことから、出来るだけ多くの町内のさまざまなリソースとも連携し、他町内住民との交流も図っていく必要があると考えています。

今後の展開

このスウェーデンヒルズという町は、他の地域とは違い住民の多くが北海道外からの移住者により構成されています。これまで住み慣れた首都圏や関西圏などの都会とは環境がまったく異なり、まさに北海道らしい風景と、一方で冬の厳しい環境の中で日常の生活ひとつにおいても驚きの連続にあります。
それぞれの移住理由も終の棲家や自然を享受したいという方や、子どもたちを伸び伸びとした環境で育てたいという思いを抱き一大決心のうちに移住されている方も多くいます。その住民の思いひとつひとつを大切にしてニーズを組み取りながら、ヒルズ自由塾はコミュニティ作りの一端を担いたいと考えています。

北海道は開拓の歴史です。多くの和人がこの北海道に移住してきた歴史があります。そのため、この厳しい自然環境の中で知恵を出し合いお互いがお互いを支えあう文化が育成されてきた経緯があります。時代は違えど、ここに縁があり日本各地より集った住民が、お互いに学び支えあうコミュニティをこれからも永続的に醸成していくことを目標としていきたいと考えています。

添付資料