「地域助け合い基金」助成先報告
NPO法人 ディフェンス
滋賀県草津市
助成額
141,000円(2024/03/27)助成⾦の活⽤内容
*ディフェンス事務所のある草津学区で、高齢者・障害者・子どもなど誰もが参加しやすい交流会を開催(草津学区社協と共催)
ディフェンスは、障害があっても、高齢になっても地域の住民として生き生きと生活できる社会を目指しています。そのために街中で事務所を構え、たくさんの方々にご理解いただけるよう努力してきました。現在の事務所は地域の信頼がある浄教寺というお寺の一角をお借りしています。我々の活動に理解いただき、本当に謝礼のような家賃でお貸しいただき、そのおかげで今まで活動でき感謝しています。
ご近所にもご理解いただき、「ディフェンスさんがあるから安心や」とまで言っていただけるようになりました。そもそも事務所を紹介していただいたのは草津市社会福祉協議会です。本当に感謝です。
また、事務所近くには幼稚園や小学校があり通学路となっています。数年前ボランティアからいただいたメダカの水槽を事務所前に設置したところ、たくさんの親子や子どもたちがのぞいてくれるようになり、保育園児のお散歩コースにもなっており、あちこちでかわいい会話が生まれていました。なかには障害があるお子さん連れが通りかかり、何気ない会話から、他の事業所を紹介したこともあります。
このように20年かかって地域とのつながりを育てていたのですが、3年前のコロナ禍で様相がかわりました。町から人影が消え、笑い声も聞こえなくなりました。障害者は外出を控え、人との接触を恐れるようになってしまいました。ディフェンスは、不安な利用者やスタッフを護ることに奔走する毎日でした。コロナの一番の弊害は地域の人のつながりを断ち切ったところです。
コロナ禍がさった今、私たちは誰もが交流できる場を作り、もう一度地域に笑い声を取り戻したいと思います。障害のある人達の不安を少しでも払拭できるかもしれません。それは、ディフェンスのスタッフが地域につながることの重要性を感じていただける場にもなると期待しています。同時に、ディフェンスのTシャツなどを着て地域で活動することで、地域の皆さんにも認識いただき、スタッフの支援者としての誇り、モチベーションをたかめたいと思います。
活動報告
「地域のつながりは防災の第1歩」
最近は、各地で防災訓練や防災学習が開催されています。
子どもから高齢者までいろいろな方にむけて、様々な工夫がなされています。障害者向けのパンフレットも作成され、福祉避難所の在り方も話題になるようになりました。情報量はずいぶん増えました。たいへん良いことだと思います。
ただ、当法人ディフェンスは障害者の地域生活を支援していますが、障害者が防災マップをみたり、防災訓練に参加されることはあまりありません。また、地域の人たちも障害のある方々のことをあまりご存じありません。いざという時にお互いを知らないと様々なトラブルにもなる恐れがあります。
そこで、「地域のつながりは防災の第1歩」をコンセプトに、お互いを知る機会(ミニ防災学習)を企画しました。まずは誰もが参加しやすいように、少人数で、気楽に楽しい雰囲気で、なるべくバリアフリーにして、共に試食をすることでつながれるよう工夫しました。
協力をお願いしたのは、いつも助けていただいている草津学区社協さんです。日頃から住民の居場所として「ゆかい家」という拠点で昼食提供やさまざまな取り組みをなさっています。
また、草津市の危機管理課にもご協力いただきました。資料や防災食の提供だけでなく、実際に参加して説明もしていただき助かりました。
開催までの主なプロセスは
2024年
4月 草津学区社協さんに「ミニ防災学習」の趣旨説明・日程調整、Tシャツ、ブルゾンの発注
6月 Tシャツ、ブルゾンの完成
7月 草津学区社協さんと具体的な内容・日程調整
9月 草津市危機管理課に協力要請 車いす利用者に参加要請
10月 「草津学区健幸を語り合うプロジェクト」にディフェンス出席 ミニ防災学習の趣旨説明、チラシ作成・配布・掲示 準備物購入 当日資料検討・作成
11月 第1回ミニ防災学習 21日前日準備・22日開催 次回日程調整
12月 チラシ作成・配布 準備物購入
2025年
1月 第2回ミニ防災学習 29日前日準備 30日開催
3月 報告書作成
*第1回ミニ防災学習(2024年11月22日金曜日 11時~13時)
プログラム・挨拶(趣旨説明)
・共催者挨拶
・参加者自己紹介
・防災マップを見よう!
・防災グッズってなあに?
・防災ミニクイズ
・災害食のサンプル配布
・炊き出しカレー 試食
・意見交換
・アンケート
ディフェンスとして久しぶりのイベントで、心配もありましたが、草津学区社協の会場提供・カレー準備などのご協力、ご近所さんの参加、草津市危機管理課の出席のおかげでスムーズに進行できました。
参加者は29名(地域の高齢者、車いす利用者、グループホーム利用者、危機管理課、ヘルパー)でした。
初対面の方が多かったのですが、終始なごやかな雰囲気でした。
まずは、危機管理課から基本的な防災マニュアルや自宅の防災マップの説明を受けました。わからないことは質問しましたが、防災マップが全戸配布だとか市役所内の危機管理課の場所を知らないなど住民のリアルな反応も面白く、障害者からはなかなか情報が入らないなどの発言がありました。
そのあと防災グッズを紹介。防災リュック、転倒防止グッズ、危機管理課から提供された災害食など説明すると、参加者は、興味津々、自分には何が必要か確認していました。
学習の後は、草津学区社協会長中村さん手作りのカレーをいただきました。車いす利用者が食べやすいように椅子を移動したり、動ける人が協力して配膳するなど和気あいあい。みんなで食べると美味しいねと言いながら、おかわりする人が続出。
自己紹介では、老々介護をしている90歳の方、耳がきこえにくくなったが友人に助けてもらっているという方、車いすの利用者への配慮を目のあたりにするなど、お互いを理解する機会となりました。地域にいろいろな人が住んでいるという当たり前のことが意識していただけました。ただ、日頃はマンションなど新しい住民にはなかなか話しかけにくく、仲の良い者同士のつながりだけになりがちだと本音もチラリ。
しかし、昔からのつながりは高齢になるほどありがたく助かっているとのことでした。
最後の意見交換では、日頃から近所同士がつながる大切さ、障害のある人が地域に住んでいるということを忘れないでほしいこと、またこのような機会を作ってほしいなどの意見がありました。
*第2回ミニ防災学習(2025年1月30日木曜日 11時~13時)
プログラム・挨拶(趣旨説明)
・共催者挨拶
・参加者自己紹介
・マイ防災マニュアルをつくろう!
・ペットボトルで一工夫!
・炊き出し豚汁 防災食 試食
・意見交換
・アンケート
2回目の開催で、さらに深まりと広がりがありました。
参加者は30名(前回参加の地域の高齢者と車いす利用者、町内会役員、ひきこもり当事者と支援者、ヘルパー事業所、就労支援事業所、ヘルパー)、半分の参加者が2回目、途中で入れ替わりがありましたが、残り半分の参加者が初めてという良い割合となりました。
マイ防災マニュアルは自分の生活を振り返る機会となり、ペットボトルで明かりの倍増や節水の実験では歓声があがりました。参加者は「自分たちでも調べたり広げたりしたい」と意欲的でした。
そのあと草津学区社協中村さん手作りの豚汁とフードバンク滋賀さんからいただいた防災食を試食しました。数が足りないものは分け合いながら、動ける人が動けない人のサポートしながら、「避難所でもこのように助け合えたらよいね」との気づきとなりました。
自己紹介では、引きこもり当事者の方が「たくさんの人が苦手で、一人の時間を大切にしている」と話されました。この発言は、避難所などではどのような配慮が必要かなど皆で考えるきっかけとなりました。ほかにも自閉症の方や精神障害者など、その人に必要な支援は何かと深く考えていただけたと思います。
最後の意見交換では、「防災に対して自分事として考えられた」「引きこもり当事者の勇気ある発言に誤解が解けた」「地域の人がもっと交流し、日頃からつながれば心強い」「助けてといいやすい環境にしたい」など積極的かつ暖かい意見がでました。
*2回のミニ防災学習では以下の成果がありました。
①地域のつながりが防災の第一歩であることの認識浸透(地域の団体、行政とのつながりを含む)
②障害者など当事者が参加することによる、地域の方々への相互理解(大津市在住の車椅子利用者が参加し近所のつながりがないと発言、近くの認知症グループホームの利用者、ひきこもり当事者の参加)
③ヘルパー事業所、就労支援事業所など支援者が地域でのつながりの重要性を実感
*さいごに
今回のイベントではたくさんの個人、団体のご協力をいただき成功できました。感謝に堪えません。
今後も、様々な他団体の協力を得ながら、地域のつながりの構築を継続していきたいと思います。
また経済的なご支援をいただいたさわやか福祉財団様にも深く感謝いたします。
本当にありがとうございました。
今後の展開
ディフェンスは20数年間、社会の福祉の向上をめざし、主に障害者の地域生活を支援してきました。
小さな団体で大きなことはできませんが、障害者が地域でその人らしく生き生きと生活していただけるよう努めています。これからも、地道に個人の生活を支援しながら、様々な人がつながれるようになるように工夫していきます。おかげさまで、今では地域のたくさんの方、団体にご理解いただきつながることができました。
さらに活動を続け、様々なつながりが地域社会のあたたかな空気となり、真に苦しむ人が「助けて」と声をあげられるようになればと願います。