「地域助け合い基金」助成先報告
うるま鼓舞太鼓
沖縄県うるま市

助成額
150,000円(2023/12/26)助成⾦の活⽤内容
チームを立ち上げた頃は、知り合いの結婚式や同窓会・地域のまつり・各地域の敬老会・南原小学校PTA祭りなど、イベントがあれば練習をしたり、ゆるやかな活動としてスタート。
そのような中、子どもたちとの活動を通してみえてきたことがあった(以下参照)。
近所の公民館で練習していると、練習場を覗く子がいて、その子に声をかけると、「お家に帰りたくない。いつも外で暗くなるまで時間をつぶしている。」と。「一緒に太鼓やってみる?」と、声をかけるがなかなか答えがもらえなく、何日か過ぎ、後日その子が観に来た際に、「今日は一人足りない、だからお願い!バチを持っておくだけでいいから、太鼓の前に立っていて欲しい!」と、声をかけると、やっと中に入ってくれました。
それから毎回練習に来ては太鼓を打ってみたり、たまには家庭の事や友達の話をしたりと。「今度、友達も連れてくるよ!」と言い、だんだんと子ども達が増え、それぞれ家庭環境に問題がある事が、わかりました。それと同時に、この子たちを守ってあげたいという思いが強くなりました。
暇だから~友達がいるから~と、なんとなく太鼓の練習に来た子、居場所を求めている子、親からの愛情不足で寂しい思いをしている子、学校の先生に迷惑ばかりかける子、将来になんの希望も持たない子。いろんな子どもたちが集まるようになりました。その子たちにとって居心地のいい場所になってほしくて、和太鼓の指導はもちろん、バーベキューや観光地へ遊びに連れて行ったり、離島への遠征を組んだりと、いろんな人たちとのかかわりを作りました。
後日、学校の先生から「どうやって、あの子たちをまとめているの?授業態度もだいぶ良くなった。」と、うれしい言葉をもらいました。高校受験にさしかかったとき、「高校に行きたくない。」と言う子。「自分が一番好きなことを将来の仕事にしたらどう?」と声掛けすると、「それがいい!!」と。就職するには、どこの高校に行けばいいか、高校に行くにはどうしたらいいか?と一緒に考えていくうちに、このままではいけない!もっと学校での授業態度、家庭学習や提出物を頑張らないといけない!という気づきがあり、メンバー全員高校合格することが出来ました。
特別支援学級に通う自分の気持ちを相手に伝えることが難しい子が、太鼓を通して、自分に自信がつき、大きな声で話が出来るようになりました。一人一人の居心地のいい場所となり、ここでいろいろな経験をし、大人になったときに困っている人を助けてあげられるような人になって欲しい思いが日々強くなる一方です。
子どもの居場所作りや、情操教育を目的とし、小学 1 年生から大人まで現在約 20 名が所属、活動拠点となる南原小学校をはじめ、与勝中学校、勝連小学校、中原小学校など近隣の学校から参加。親子で参加している方もいます。子どもだけではなく、大人のストレス発散の場所になってゆとりのある子育てが出来るようにサポートしていきたい。そのような思い(目標)が明確になった。
現在、毎週火曜・金曜、18 時 30 分~20 時まで、南原小学校の地域連携室を練習場所として、集まっています。
週末は1か月に 3~4 回のイベント出演があったり、うるま市をはじめ、県内各地に赴いております。
その他、コロナ前はビーチクリーン等の地域活動にも参加実績があり、個人的にも率先して地域のごみ拾いなどを行う子も増えてきております。
メンバーも増え、衣装も足りず出演も制限しなくてはならない状況が発生。また、出演の際に音響設備を自治会から借用していますが、自治会と行事が重なると機材を借りることができず、慰問先からの出演依頼をお断りするケースがある。令和 5 年度はコロナが5類に移行し、イベントも増え子どもたちの発表の機会も増えることが予想される。
この基金を活用し、衣装などや音響設備を揃えることで、子どもたちの活動の機会を増やし、子どもたちには、地域の高齢者をはじめ、多くの人に喜んでもらうことで自信をつけてもらい、強い子に、そして、地域を思いやる子、地域のことを考える子に成長してもらえればと考えております。
活動報告
当団体は和太鼓を通じて地域文化の発展に貢献し、地域住民との交流を深めることを目的として活動しています。
この度の助成金の支援により、当団体の活動が充実し、地域イベントへの参加を増やすことができました。
1. 出演機会の増加
コロナが 5 類に移行したことにより、地域イベントの開催が再開し出演依頼が増えました。
これに対応するために、音響機器や衣装、道具の整備ができたことで和太鼓演奏をより多くの人々に届けることができました。
・高齢者福祉施設慰問1回(メンバー11 名参加、受益者:施設利用者・職員約 50 名)
・市民マラソン沿道応援1回(メンバー・サポーター16 名参加、受益者:フルマラソン参加者約 6,500 名)
・西原キラキラビーチ1回(メンバー・サポーター13 名参加、受益者:招待者約 30 名)
・認知症啓発ジョギングイベントスターター1回(メンバー・サポーター14 名、受益者:認知症当事者とサポーター約 50 名)
高齢者福祉施設では、かじまやー(沖縄で 97 歳の長寿を祝うイベント)という大切な会に呼んでいただき演舞させていただきました。スペースの関係で駐車場での演舞でしたが、お年寄りの方々との距離も近く、沖縄民謡の曲では手をたたいて喜んでくれる姿やカチャーシーを踊る姿も見ることができました。西原キラキラビーチでの出演の際には、招待者のみならずビーチパーティをしているたくさんの方が足を止めて見てくださり、中には泣いている方や、最後にはアンコールをいただきました。また、地域のお祭りで演舞した際に、観客の方から「隣にいたお年寄りの方が、丸坊主の小さい子が打っているのを見て、あの子は本当に太鼓が好きなんだね~と言っているのを聞いて、私も子どもたちの一生懸命な姿に涙が出ました」というお声をいただきました。上記以外の出演でも公民館が主催するトーカチ祝い(生年祝い)にて、メンバーの祖父母のお祝いの席で演舞し、成長を見せることができました。
こうした出演に加え、音響設備を整えたことで日々の練習の精度も上がり、より本番に近い質の高い練習ができるようになりました。
2. メンバーの士気向上
衣装や道具が整ったことで、サークルメンバーの士気が向上し、団体としての一体感が強まり、
また、各メンバーの出演機会が増えたため、演舞のモチベーションが高まりました。
今後の展開
団体設立から10年活動を続けていく中で、子どもたちの中には小学・中学校時代の居場所だけでなく、本気でプロを目指す子どもも出てきました。私たちの団体では、沖縄の民謡で演舞したり、地元の歌手であるHYさんの曲で演舞させていただいたり、地元の世界遺産である勝連城跡をテーマにした「ダイナミック琉球」という曲の演舞をしたりしています。この小さな半島から、自分たちの文化や想いを世界に向けて届けていけるような土台ができつつあると実感しています。指導者及びサポート役である大人たちも、自身の技術を日々磨きながら、子どもたちが今後、県内だけでなく、県外、ひいては海外にも羽ばたいていけるような機会を作っていきたいと思っています。
具体的に、演舞については、より高度な横打ちの習得、楽譜でリズムを叩けるようになること(楽譜練習)、カウントが取れるようになること、篠笛奏者の育成、三線唄者の育成、運営については県内の移動をスムーズにする太鼓運搬車の購入、日の浅いメンバーがステージに立つための旗の演舞の作成、日本太鼓財団沖縄支部での活動などを考えています。
和太鼓は一つ一つの備品が非常に高価で、資金繰りには中々苦労しますが、地域や横のつながりを大切にしながら、実現可能なことを模索していきたいと思います。当団体が子どもの居場所、人材育成の場所として機能することで、地域へ貢献できる場が広がると考えています。
活動はInstagramで発信していますので、ぜひご覧いただけると嬉しいです。
うるま鼓舞太鼓 (@urumatsuzumimaidaiko)
よろしくお願いします。