「地域助け合い基金」助成先報告

NPO法人 共に暮らす

群馬県前橋市 ウェブサイト
生活支援その他

助成額

149,000円2023/10/13

助成⾦の活⽤内容

地域助け合い基金を活用して行いたい活動は次のとおりです。
1.「ことばのヤングケアラ―」の認知度をあげる
当法人は活動を開始したばかりのため、認知度を上げる活動を行います。まずはこういったこどもたちがいるといったことを地域に広く周知していきたいと思います。

2.「外国にルーツをもつこども」たちが主役となるイベントを行う
外国にルーツをもつこどもたちは学校で生活するうえで何かと苦労が多いです。例えば習字や絵の具を使った絵画の宿題も、両親の理解が得られず、家で行えない場合があったり、そもそも筆で日本語が書けない場合もあります。そんな苦労を解消しつつ楽しみながら行える「書道イベント」を行います。時期は12月の冬休みを予定しており、宿題の消化と日本文化に馴染むためのイベントです。

活動報告

≪運営について≫
・会計ソフト導入により、会計の透明性を確保が可能となり、NPO法人特有の会計にも対応できました。
・Webサイト作成にあたり、専用のドメインを取得することができた。完成したHPは以下のとおりです。
 https://tomokura.org/ (ともくらで検索)
・名刺、冊子の作成により、効果的な広報活動を行えました。特に自治体などの担当課や、地域で活動されている他団体との連携をスムーズに行うことができました。

≪冬休みの宿題書初めに挑戦しよう!イベントについて≫
 開催日:2023年12月23日
 対 象:外国にルーツを持つこども
 参加人数:こども12名
 場 所:前橋市社会福祉会館

外国にルーツを持つこどもを対象に、書道の講師をお招きして、冬休みの宿題書初めに挑戦しよう!と題して、書道の体験イベントを開催しました。冬休みの宿題をこなす子、いろいろな字をたくさん書く子、同じ字をひたすら練習する子、絵を描く子、書道に対して個性豊かな反応を見せてくれました。終了時には参加者の親からお礼のご挨拶を頂けました。学校以外でこどもたちが集まって何かをする機会が少ないので、こういったイベントに参加できて、子どもたちの楽しそうな様子を見ることができて嬉しかった、ありがとう、とおっしゃっておりました。
今回のイベントを通して、外国にルーツを持つこどもたちには「楽しい」を、その親には「地域交流」をお届けできたと感じています。
また、イベント開催時には新聞社に取材を頂き「ことばのヤングケアラ―」の存在と、当団体の活動を広く周知することができました。その効果は、次回企画しているイベントでのボランティア募集や協賛へ好影響をもたらしています。次回への改善点は「イベント内容をバージョンアップしてこどもたちを飽きさせない」です。今回は書道の先生にご協力いただけたおかげで初めてのイベントにもかかわらずスムーズに開催することができました。その経験を次回に生かして、さらに楽しいイベントにしたいと考えています。今回は親は見学のみだったので、次回は一緒に参加できるワークショップも企画できたらと考えています。「ことばのヤングケアラ―」当事者たちには楽しい体験を、Webや新聞などでその様子を見て頂いた地域の方たちには「ことばのヤングケアラ―」がいることをお届けできるようにイベントを行っていきたいと思います。

≪Kodomo絵本~みんなで作る絵本~イベントについて≫
第1回 2月17日 前橋中央公民館  (ストーリー作り)
    第2回 3月 9日 前橋中央公民館  (イラスト作り)
    第3回 3月16日 前橋市創業センター(仕上げ)
    第4回 4月20日 群馬県庁31F「GINGHAM」(発表会・贈呈式)
対 象:外国にルーツを持つこども
参加人数:こども各10名
本プロジェクトは、“外国にルーツを持つ子どもたち”が“日本語”を使って1つの“絵本”作りに挑戦するプロジェクトです。このイベントを通して、子どもたちが自分自身の持つ可能性や能力に気づき、自信へと繋がることを願い企画し、達成できたと感じています。

今後の展開

当団体の代表である私はパキスタン出身で、9歳(小学校3年生)のときに家族みんなで日本にやってきました。しかし、引っ越した時点では家族の誰もが、日本語を書くことも話すこともできませんでした。日本に来て1年ほど経ち、10歳になった私は両親に代わって市役所・病院などの事務手続きを行ったり、通訳・代筆を任されたりするようになりました。幼い弟の学校関係の書類も、私がすべて担当。その他、外出時に両親の言語的なサポートをすることが私の日常になりました。

 しかし、私にとっても日本語は外国語です。また、そもそも外国である日本での暮らしは制度や文化のギャップが大きく、学校に自分の居場所を見つけることで精一杯でした。

 そして、「ことばのお世話」は、その上に重くのしかかってくるものでした。クラスのみんなが遊んでいる時に、家で仕事をしなければいけない。宿題や予習復習をする時間が取れない。でも、家族のためには、やるしかない。これが、私の小学校時代の思い出です。

 大人になったタイミングで、このような経験が私だけのものではなく、海外ルーツの家庭にとっては「よくあること」だと知りました。そして、それがヤングケアラー(※本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものこと(厚生労働省HPより))のひとつ、「ことばのヤングケアラー」という現象のひとつだということが分かってきました。

 言葉のわからない国での生活、そこに重なる家族のサポート。この問題は、海外ルーツの子どもたちにとって、子どもらしい成長・健全なキャリア形成を阻害する一因になっています。

 私自身が「ことばのヤングケアラー」だったこともあり、どうにかこの課題に立ち向かうことはできないかと考え、仲間たちとともにNPO法人 共に暮らす(ともくら)の設立に至りました。

 私たちは「ことばのヤングケアラーが必要のない世界」を目指しています。ことばのヤングケアラ―の負担軽減と、こどもの将来へ向けたキャリア形成に集中できる環境を整えるための活動を通じて、こどもがこどもらしく過ごせる時間を取り戻し、遊びや勉強、将来のことを考えることができるように、また、その親に向け、こどもの通訳に頼らなくても日本で過ごせる社会を目指しています。

 外国にルーツを持つ子どもたちがあたりまえの時間を取り戻すため、より多くの方々に携わっていただけますように、お願いいたします。

添付資料