「地域助け合い基金」助成先報告
みんなのいっぽ 〜子どもの晴れやかな成長を支援する会〜
岡山県岡山市北区助成額
150,000円(2023/10/26)助成⾦の活⽤内容
『現状課題』
・コロナ禍での検診の延期や子育てサークル、児童館等が活動制限を受けたことで、多くの家庭で「孤育て」の状況に置かれている。
・手先の不器用さや体幹の弱さ、感覚過敏等で困り感や不安感をもつ子供が多く、園や学校生活において自己肯定感が下がっている。
・発達障害や身体障害、グレーゾーンと呼ばれる子供の保護者は、通院や療育、日々の難しい子育てに追われており、支援グッズ等の情報を収集する時間的、体力的な余裕がない。
・支援グッズは高価なものが多く、気軽に試すという事が難しい価格帯であること、また、過敏やこだわりにより、購入しても相性が合わないという事も少なくない。
『地域から必要とされているニーズ』
・必要な支援情報が会場で収集できる情報展示会
・触れる、実際に試せる支援グッズの体験会 『イベントの効果・メリット』
・イベントの一番の目的は、困り感や不安感を持つ子供が、支援道具や生活の工夫と出会い、体験することで、「できた!」を今より増やし、自信を持つこと、自分を好きになる事。
・岡山県内で保護者支援をしているペアレントメンターや福祉関係者、児童心理士、ケースワーカー理学療法士等に当日の運営ボランティアに入ることで、支援者と来場者が繋がりを持ち相談しやすい環境を作る。また、来場者同士の横のつながりの機会とすることで情報交換の場ともなる。
・学校関係者に来場を促すことで、学校単位で誰にでも使いやすい道具の導入につながる。
・学校や療育関係者が来場することで、知識や情報の共有ができ支援や配慮がよりよいものとなる。
すでにこちらのイベントは、2023年8月に岡山県浅口市『地域助け合い基金』の助成により、大武ともえさんが開催された。非常に大盛況であり、岡山市でも同様な非常に高いニーズがあるため、この度、大武ともえさんを講師と招き、同様のイベントを開催したいと思い、応募した。
また、引きこもり等で社会と関係が希薄になっている中高生を当日運営スタッフとして採用し、アルバイト体験となるようにし、社会体験の場を提供したいと考えている。
活動報告
「できた!がふえる工夫展」は、困り感や不安感を持つ子供が、支援道具や生活の工夫と出会い、体験することで「できた!」を今より増やし、自信を持つこと、自分を好きになる事を目的に2023年夏に岡山県浅口市で開催されて、大盛況であったイベントである。同イベントを『岡山市でも開催がないのですか?』という声を多く聞いていた。そのため、本イベントの主催者である大武智恵さんと繋がることができたため、当団体で本イベントを開催することにした。岡山市開催にあたっては、本イベントがより効果的に波及効果を得るには、子どもに接する機会が多い教職員や支援者の方々に支援グッズの存在を知っていただくこと、特に公立学校の先生に知っていだたくことが今後の波及効果が高いと考えた。そのため、教職員が参加しやすい日時・会場で行えるように、岡山県教職員組合と繋がりを持ち、岡山県教職員組合主催の研修会と同日、同会場で、『できた!が増える工夫展』を開催するに至った。
広報活動は、岡山市、岡山市教育委員会の後援をとり、一部の公立小学校(全児童配布)、学童、病院、公民館、山陽新聞などで紙媒体による広報活動を行った。また、多くの先生方に広報できるように、岡山県教職員組合や特別支援教育士協会に所属されている先生方や『LD等発達障害親の会 はあとりんく』にもご協力いただき、SNSによる広報活動を行った。
結果、来場総勢300名(大人187名、子供 113名)であった。来場者の属性は、保護者が一番多く、ついで、教職員、支援者であった。岡山県教職員組合主催研修会最後に、工夫展を開催しているアナウンスをしていただいたため、研修会に参加された先生ほぼ全員が工夫展に足を運んでくださった。
工夫展では、こんなにも困っている子達や必要に感じている人がいること、それを使ってみて嬉しそうな子ども達の様子も肌で感じた。
感覚過敏や鈍麻・聴覚過敏・読み書き障害など苦手な感覚をサポートする道具。
例えば、イヤーマフやノイズキャンセラー、使いやすい文房具や忘れ物しにくい道具、読み上げ機能の教材や肌触りの良い肌着など、実際に手に取って使ってみるとその良さが大人でもはっきりわかった。
困り感のない子どもが使った感想からも、
「使いやすくてびっくりした」、「イライラせずにできそう」、「落ち着いて集中できる気がした」、「私も使いたいと思った」など、魅力に感じるものも多々あったようだった。
苦手を苦痛に感じることなく、本来の目的の学びができるように、こんなサポートグッズを知っている大人や使用可能な学校が増えるといいなと思った。今回の工夫展では、『みんなのいっぽ 〜子どもの晴れやかな成長を支援する会〜』の分科会リスペクトフル主催で「ぼくのわたしの小さな作品展」も同時開催した。勉強や学校は苦手だけれど、物作りなどが好きな子たちの作品展で、子どもたちの学校外や勉強外で発揮される自己表現もあるということを作品を通して、知ってもらえたらと思い開催した。発達特性のある子どもや不登校の子どもの作品展ではその独自の感性やアイディアや想像力や創造力・こだわりや繊細さが物作りの中で、その子自身の持つ良さとして、唯一無二のものとして生かされていることを見てくださった方の会話やアンケートでも感じられ、嬉しかった。何よりも勉強ができない、学校に行けていない自分に自信が持てなかった子が、自分の作品を多くの人から褒められたことが非常に自信につながっていると感じ、とてもよかった。
今後の展開
『できた!がふえる工夫展』においては、この度も助成というサポートをいただけたおかげで、さらに発展した良いモデルケースができたのではないかと思う。
2023年夏に開催された時の反省点(参照:大武智恵 2023年7月 https://www.sawayakazaidan.or.jp/community-fund/subsidy_report/?id=101089-A )を踏まえて、開催した。具体的には、聴覚過敏の方用に追加で会議室を借りたり、来場者の時間区分を設けて開催した。不登校児童などの学生ボランティアも導入し、手伝ってくれた子供たちには正当なボランティア報酬として、自分でも自由に使える図書券やQUOカードを渡した。学生ボランティアを経験した子どもの感想としては、行く前はとても緊張していたが、しんどくなった時の理解と配慮があることや、支援を必要な人たちが来るので自分が役に立ちたいと思い、ポジティブにボランティアに参加でき、いい経験となれたようであった。
しかしながら、開催する際のコスト(会場費、人件費、告知費、雑費など)が大きな課題である。
工夫展で体験をした品物をその場で買いたいという声が多数あった。そのため、この工夫展は展示品グッズの企業にとっては、非常に良い販促イベントになりうる。利益が出るイベントは、公共の施設では借りれる場所が少ないこと、また、借りれても高額な会場費となるため、今後は、工夫展に展示するグッズの企業とコラボして開催するのが、費用面においては有効なのではないかと考える。
地域への想いとしては、子どもの苦手な感覚にはサポートを取り入れて、自分らしく学べる環境や方法を探りながら同時に子ども一人一人の好きや得意に目を向けて、「その子らしさ」を生かし、見守り、励ましていきたい。そんな風に子どもたちひとりひとりが、自分に合うやり方やペースで、安心して心豊かに学び自分であることに良さと自信を感じながら成長していってほしい。そして、子どもたちの学びを柔軟に見守り、自分であることの自信を持たせられる視点を 少しでも多くの大人の方々に感じてもらえるように、「できた!がふえる工夫展」、「学生ボランティア」、「ぼくのわたしの小さな作品展」を1つのセットにして、今後も各地域で開催し、さまざまなつながりを広げてゆきたい。