「地域助け合い基金」助成先報告

 CDST おれんじぴーす

熊本県玉名市
居場所その他

助成額

150,000円2023/10/24

助成⾦の活⽤内容

活動の目的:令和2年人吉豪雨災害によって被災した地域の方々のニーズを把握し、地域のコミュニティの形成及び再構築。
この目的を達成するために、地域の方々が得意とする野菜づくりや、仮設住宅の集会所での足湯活動を通して、住民間の交流を深めるとともに、住民の方々の声を聞き、地域課題の把握と解決に向けた取り組みを行いたい。
[みんなの畑]
畑を1つのツールとして住民の方々と繋がり寄り添うことを目的としている。野菜づくりに関して住民の方々からアドバイスを頂き、ともに育てた野菜を地域住民や地域食堂に提供する。また、収穫祭等のイベントを住民同士の交流の場として設ける。
[足湯]
肉体的疲労の回復だけでなく、住民の方と1対1で話す中で得られるつぶやきからあらゆるニーズを汲み取ることを目的とする。共有スペースにお菓子と飲み物を用意し、足湯の待ち時間で住民同士の交流を深めることができるよう環境づくりを行う。
[球磨川清掃]
「人吉の人とともに生きてきた球磨川を綺麗にしたい。」という地域団体の思いに寄り添い、月に1回の清掃活動への参加を継続する。

活動報告

今回、さわやか福祉財団の助成金を活用させていただき、これまで継続してきた地域の方との畑作業、仮設住宅での足湯,また地域の方との交流を続けることができた.具体的な活動内容としては以下の4点に取り組んだ.

①みんなの畑
住民の方々の畑を借りて野菜づくりを行い、地域住民や地域食堂に提供した。野菜づくりを得意とする地域の方々にアドバイスを頂きながら作業を行った。野菜づくりを行うなかで、住民同士さらには住民と学生の交流を深めることができた。また、地域でイベントを開催した際に、みんなの畑で収穫した野菜を調理し、住民の方々を含めた食事会を行った。

②足湯
仮設住宅の集会所で月に1回足湯を行った。計8回の実施で、支援者29名・地域住民26名が参加した。住民同士の交流を図るとともに、住民の方々の声に耳を傾け、寄り添うことを目的として活動した。足湯を通して得られた住民の方々のニーズを人吉市社会福祉協議会に共有し、より良い地域生活に繋がるように活動を行った。また、助成期間内に新たな仮設住宅での足湯活動を開始した。ここでは、仮設外の住民の方の参加もあり、「被災後、地域住民同士でつながることの大切さを感じた。自分が住んでいる団地では被災者同士が関わる機会が設けられていないため、他の仮設住宅の人と話してみたいと思い足湯に参加した」との思いを知ることができた。仮設住宅の方々は仮設外の方のことも快く受け入れており、足湯をしながらみんなで談笑されていた。この光景をみて、私たちの活動が被災者間の新たな繋がりをつくることにつながっており、住民の方々の不安や孤独の解消、日々の活力に繋がっていることを改めて実感することができた。現在は、仮設住宅から公営住宅等へ生活の拠点が移行する段階にあるため、住民の方々の新居地でのコミュニティづくりも新たな活動として視野に入れ、人吉の住民の皆さんに寄り添う活動を継続したい。


③地域巡回
月に1回ほど巡回を実施した。巡回を通して、住民の方々の体調や生活上の困りごとを把握し、見守りを行った。

④イベント
「令和2年7月豪雨をきっかけに、地区でのイベントや地域サロンをしなくなった。被災後に地区から出ていった者もいるため、住民同士の関わりが減った。」という住民の方々の声を聞き、住民同士の交流を目的に地区の公民館を活用してイベント(ご飯会)を行った。ご飯会では、みんなの畑で収穫した野菜を調理し、住民と学生が一緒に食事をした。普段は外出しない住民の方もイベントに参加され、他の住民と食事をしながら話す様子が見られた。イベント終了後、「久しぶりに見る顔があった」「次はいつするの?」等、住民の方々が満足される姿をみることができた。これまで、被災によって地域を離れた方もいるなか、地域に残った方とどう繋がりを継続させるかが団体の課題として挙げられていた。私たちが関わっている地域の方々は、転居した後も被災前に住んでいた地域に畑を残されている方が多いため、畑作業中にお会いした際に声をかけ、体調面や生活のことで困り事が無いかを把握するよう心掛けた。また、地域を離れた方も今回のイベントに招待し、馴染みのある住民同士で声を掛け合う姿を見ることができた。
今回の助成金をイベント開催費として活用できたことで、災害復興における地域支援の必要性を再確認するとともに、地域住民同士の繋がりをさらに強めることに結びついたと感じています。

今後の展開

令和2年7月豪雨から3年半が経ち、人吉市の街の景観は被災前と変わらないように感じられます。復旧活動が終了するとともに、人吉市内で災害支援を行うボランティア団体の数は減り、現在は私たちおれんじぴーすのみが活動を続けている状態です。災害復旧活動が終了しても、私たちが人吉市内で活動を続けている理由は、地域づくりに繋がる支援を継続する必要があると感じたからです。災害から3年経った現在も、新居地での生活や生活再建を通して不安や葛藤を抱える方々が多く存在しています。足湯や地域巡回を通して、そのような方々の声に耳を傾け、住民さん自身が自分の気持ちを整理するとともに、人と話すことで心を安らげることができると感じてもらいたいです。
また、私たちがこれまで活動してきたことを通して得た知識を他の学生ボランティア団体や被災地の学生に伝え、災害支援は現場作業だけではないこと、地域住民同士の繋がりが災害復興への力につながることを多くの方々に知っていただきたいです。

添付資料