「地域助け合い基金」助成先報告
ヘッドウェイ堺 友の会
大阪府堺市中区 ウェブサイト助成額
150,000円(2023/10/20)助成⾦の活⽤内容
コロナ禍もあけ、コロナ前には毎年開催していた「秋のフェスティバル」を3年ぶりに開催したいと考えています。年に一度のフェスティバルはメンバーさんやメンバー家族、また、近隣の方や福祉関係者の方と交流や情報交換の出来る大切な場所で、メンバーさんも毎年楽しみにしてくれていました。
コロナ前には施設内で近隣の方や家族、福祉関係者を招待しての開催をしておりましたが、スタッフやメンバーさんが増えたことにより手狭になってしまったため、今年は東文化会館を借りての開催をすることに決定しました。今のところ会場を予約しただけですが、もし、助成金の申請が通れば、メンバーさんの発表や交流会だけではなく、演奏会等のイベント企画をし、普段そのような機会の少ないメンバーさんに文化芸術に触れてもらう良い機会になるのでは、と考えています。また、チラシを配布することにより、近隣の方や家族以外の福祉関係者さんのみならず、たくさんの人にイベントに参加してもらい、ヘッドウェイ堺の存在を知ってもらいたいと考えています。
コロナ禍以降、なかなか全員でひとつのことを目標にして頑張る、という機会が少なかったため(コロナ禍前は講演会でのハンドベル発表や、堺福祉プラザのイベントに展示する全員で作ったアート作品を作成したりしていました)、みんなで力を合わせてひとつのことに取り組んでもらえたら、とも思っています。
中途障がい者のこのような施設は全国にも本当に少ないです。個人的な意見になりますが、脳損傷者になるまでは普通に健常者として毎日を過ごしていた当事者を退院後、障がい者施設や介護施設に入れることに違和感を感じていました。そんな時に出会った「ヘッドウェイ堺」という居場所は、ひとりひとりの状態に応じた丁寧な対応をしてくれる、当事者にとっても当事者家族にとっても、素敵な居場所だと思っています。
高次脳機能障がいは目に見えない障がいとも言われており、物事を効率よく進めることが出来なかったり、忘れることが多くなったり、感情のコントロールが下手になったりします。そのような当事者たちが集団生活を送ることにより、他人との協調性や助け合いの精神を取り戻す場所でもあります。中途障がいは誰がいつなってもおかしくないことです。このような施設があることをもっとたくさんの方々に知ってもらいたいです。
活動報告
※別紙添付あり(別紙1)
「ヘッドウェイ堺“友の会”(以下“友の会”)」は、病気や事故による脳損傷当事者に、運動や音楽セラピー、アートを取り入れている生活介護事業所「ヘッドウェイ堺」を支援している団体です。「ヘッドウェイ堺」は、定員20名の小さな事業所で、遷延性意識障害当事者や重度の重複障害を抱える当事者も受け入れています。
3年ぶりに制限が解除され、「ヘッドウェイ堺」でも秋フェスの企画が出てきました。目標に向かって協力するメンバーの関係づくりができるし、つながりの少なくなっている地域や、他の福祉事業所と連携する機会にもなる。とりわけ、外出が難しい当事者にとっても、秋フェスでなら「音」に触れる場に「いる」ことができる。せっかくなら、プロの音楽関係者とコラボして、楽しみたい。このように企画が膨らみました。
練習を開始。メンバーの中には「音」に敏感な人もいて、急にイライラ。「音」を楽しめないメンバーがいました。制限のあるメンバーに対し、あれこれ工夫が必要でした。また、参加希望の事業所についても、参加者23名のうち15名が車いすを利用しているなど、障害のある参加者の対応に配慮が必要でした。
当日は、観客96名、出演メンバー30名、スタッフとボランティア32名、合計158名で、ホールは一杯に。2部構成のプログラムで、1部は主に「ヘッドウェイ堺」が担当。メンバーによるハンドベルとトーンチャイムの演奏で開始。静かな安らぎの「音」が響きました。そして「音遊び」。メンバーはいろいろな音の出る楽器を持ち、参加者は手作りのシェーカーを手に、ホール丸ごと「音」に包まれました。「音」の苦手な人は外に出たり、「耳栓」をして乗り切り、事なきを得ました。
2部は「夢のおもちゃ箱」の担当。パペットを使った腹話術のスーさん。参加者を引き込む話術で始まり、プロの生歌を聴くことや、一緒に歌うという楽しい経験ができました。
ある一人の参加者の印象的な様子。ずーっと歩き回っていた参加者が、パペットの時には舞台に歩み寄り、じーっとして。興味のあることには集中する場面を目の当たりにしました。重度の障害のある当事者にはスタッフが付き添い、音楽に合わせてシェーカーで「音」を紡いでいました。行動に制限のある参加者それぞれの方法で、秋フェスを楽しんでくれたように思えます。アンケ―ト結果から、参加者の好評を得たことがうかがえ、安堵しました。
今回の成果として3点を挙げたいと思います。第1は、4か所の福祉施設から参加のあったこと。中でも重度重複障害者の方が多数参加してくれました。第2に、私たち「ヘッドウェイ堺」でも、初めてお会いするご家族も参加され、交流があったこと。第3には、公共のホールで開催したため、チラシや看板をみて参加してくれた人がいました。広く「障害」当事者の理解を深める機会となったことを挙げたいと思います。
今回の秋フェスは、助成金が受けられ実現したと思います。小さな福祉事業所が継続してこのような機会を持つのは、経済的にも人的にも難しいことです。今回、4つの事業所の参加を得ましたし、堺市には他にも小さな福祉事業所があります。“友の会”は、「ヘッドウェイ堺」とともに、次には想いを重ねられる他の事業所の皆さんと連携して、次回の開催を実現できるよう働きかけていきたいと思っています。
今後の展開
ある日突然、思いもよらぬ事故や病気によって障がい者となる。それはいつ誰がなってもおかしくないことです。「ヘッドウェイ堺」はそんな方々の居場所作りを目的として運営されており、私達「ヘッドウェイ堺"友の会”」はその支援を主な目的として活動しています。
残念ながら、中途の脳損傷者を主な利用者とした施設は全国的にもまだまだ少ないのが現状です。ある日突然障がい者になったら…今まで出来ていたことが出来なくなる…当事者はもちろん、家族にも大きな衝撃がふりかかります。けれども、生きていかなければなりません。
今回、地域社会活動のひとつとして助成金の支援を受けて秋のフェスティバルを開催しました。
たとえ障がいがあっても音楽やアートを通して、当事者の方々の発想力やその時々の発見にみんなで感動を味わう事ができる。音楽やアートにはそんな不思議な力があるように思います。
今回は4か所の地域の福祉事業所が観客として来場してくださり、それぞれの楽しい場面に興味を示されました。
今後は他の事業所のみなさんも出演者として練習等一緒に取り組めるような計画をしていき、自信と喜びを感じてもらう発表の場や社会参加としての企画を来年度に実現できたら、と考えています。
皆が入れる文化ホールの席数の充実さや音響、楽器、歌詞集などに今後も力をいれていきたいです。
また、コロナ禍前に寄贈いただいたボッチャをなかなか使う機会がないので、いつか他事業所とのボッチャ大会も開催出来ればいいな、とも思っています。
そのためにも、今後も「ヘッドウェイ堺」と力を合わせ、今回のようにチラシ配布やホームページ、障害者基幹相談センターに依頼していくなど、多々のネットワークに発信をして、地域や他施設との繋がり作りをしていきたいです。
「できない」ではなく「何ができるか」を考え、実現していくことで、みんなが幸せな気持ちになれる機会をたくさん増やしていきたいと思っています。
行事へのお誘い、参加依頼、協力依頼等ございましたら下記までお気軽にお問い合わせください
ヘッドウェイ堺"友の会”:https://hws-tomonokai.jimdofree.com/
ヘッドウェイ堺:http://headway-sakai.net/