「地域助け合い基金」助成先報告

NPO法人 人権尊重の矢田まちづくり委員会

大阪府大阪市東住吉区 ウェブサイト
居場所見守り生活支援配食・会食

助成額

150,000円2023/08/07

助成⾦の活⽤内容

当法人が行った「暮らしのアンケート調査」等から、医療福祉といった公的なサービス提供事業があっても、制度に当てはまらない人や地域住民の姿が見えてきた。住民同士のつながりの希薄化と孤独や生活不安を抱える人が顕著に存在するという問題を矢田地域は抱えているが、これは公的なセーフティネットだけで解決できるものではなく、昔ながらの“我がこと、丸ごと、お互いさま”が象徴するレジリエンス(強靱さ)を持ったつながりを再構築して初めて解決されるものであると考えている。「支えられるだけの住民」から「支え、支えられる住民」に転換してくこと、そして、医療・福祉を含む多様な地域団体及び支援者の新たな連携協働を創り出してくことで、住民自らが地域のことを考えて自ら参与する自治運営を実現していきたい。
これらの課題に対し、当法人では地域に住む/働く人たちにとっての居場所と出番を創出すべく、休眠預金等活用法に基づく助成事業によって古民家を改修し、2022年春より地域の人たちに昼食を提供する「ふれあい食堂」の運営を開始した。高齢者や福祉施設利用者だけでなく、近隣に住まう大学生も参加しており、同じ空間に様々な人が集う居場所が芽生えつつある。そして、食べにやって来る「お客さん」としてだけでなく、「これだったら手伝える」と自発的に調理、配膳、片付けなどに関わる「支え手」の萌芽が生まれつつある。
こうした取り組みを継続・発展させ、さらには多様な住民と地域団体、支援者の新たな連携協働を創り出してくことにも取り組んでいきたい。

活動報告

毎週金曜日のお昼に実施している「ふれあい食堂」は、矢田地域に住む人、働く人などを対象とした地域食堂です。一口に食堂と言っても、単にご飯を作って食べることだけを目的としているのではなく、その中で地域の人たちとの間で包括的な繋がりを構築し、お互いに助け合える強靭な関係を形成していくためのイベントのひとつとして実施しています。

お昼に向けて、当日の午前中から準備を始めますが、準備には職員だけではなく、ボランティアも自由に参加します。参加者には、地域に住む高齢者や福祉施設利用者だけでなく、近隣に住まう大学生もいて、古民家という同一の空間に様々なバックグランドを持った雑多な人たちが存在する居場所が出来つつあります。食材を切ったり調理したりするのはもちろんですが、参加者との間でのコミュニケーションも大切になってくる時間です。世間話もしますが、何気ないその会話の中で、地域住民の生活状況や、生活のために必要としているものを共有することが出来ます。また、参加することで、「自分がここにいてもいい」「自分は必要とされている」という感情も生まれます。

この「ふれあい食堂」が徐々に評価され、口コミによって新しくふれあい食堂に食べる側として、そして作る側として参加する地域の人も増えました。参加すればするほど、コミュニティーの濃度が高くなり、住民間の結束力も高まります。こうした取り組みを継続・発展させ、さらには多様な住民と地域団体、支援者の新たな連携協働を創り出してくことにも取り組んでいきたいと考えています。

今後の展開

現在の矢田地区は、住民同士の繋がりが希薄になっており、それゆえに孤独や生活不安を抱える人が顕著に存在しています。これらの課題は、公的なセーフティネットだけで解決できるものではなく、昔ながらの“我がこと、丸ごと、お互いさま”な、レジリエンス(強靭さ)を持ったつながりを再構築していくことが必要であると考えています。

実際、医療福祉の公的なサービス提供事業があっても、その制度を享受できる条件に当てはまらないために不安を抱えたり居場所がなかったりする住民の姿を把握しています。そういった課題に対して、当法人では、住民にとっての居場所と出番を創出に努めています。「これだったら手伝える」と自発的に関わる「支え手」の萌芽が生まれれば、私たちが目指す共生社会に少しでも近付けると信じています。

添付資料