「地域助け合い基金」助成先報告
NPO法人 おおさか教育相談研究所
大阪府大阪市天王寺区 ウェブサイト助成額
100,000円(2023/06/26)助成⾦の活⽤内容
NPO法人化以降10年間、毎年大阪府内の各地域で地域関係者とともに教育委員会や社会福祉協議会などの後援を受け「講演と無料個別相談会」を開催してきている。(34地域のべ48回2,106人参加)
2023年度は大阪市港区・吹田市・東大阪市で開催を予定している。目的・催名・対象等は以下の通り。
・目的:登校拒否・不登校・社会的ひきこもりについての理解と、家庭における家族の援助の基本的な態度としかた、教職員をはじめ関係者の支援の拡充のあり方を深める機会にしたい。また、子ども・若者の回復と自立のために支援している家族や関係者が個別の相談ができる機会を提供したい。
・催名:「登校拒否・不登校、社会的ひきこもりから回復・自立へ 講演と無料個別相談会」
・主催:NPO法人おおさか教育相談研究所、公益財団法人さわやか福祉財団の助成事業として行う(予定)
・開催日:令和5(2023)年9月~令和6(2024)年3月の間
・開催場所:大阪市港区・吹田市・東大阪市
・参加対象:登校拒否・不登校や社会的ひきこもりの子ども・若者の家族や教職員・支援者(参加費徴収 あり 〇なし)
・後援予定団体:開催市の教育委員会・社会福祉協議会・その他
活動報告
①どのような活動ができたのか
NPO法人おおさか教育相談研究所は、「登校拒否・不登校、社会的ひきこもりについての理解と、家庭における家族の援助の基本的な態度としかた、教職員をはじめ関係者の支援の拡充のあり方を深める機会としたい。また、子ども・若者の回復と自立のために支援している家族や関係者が個別の相談できる機会を提供したい」を目的にこの10年間と府内各地域で「講演と無料個別相談会」を開催してきた(2022年度までで34地域のべ48回2106人参加)。2923年度は府内4地域(東大阪市・大阪市港区・吹田市はさわやか福祉財団助成・八尾地域は八尾市助成を受けて開催)。講演は「4地域で参加者は279人。個別相談は28件であった。参加者の感想などは下記をご覧ください。
②すすめる上でどのような苦労があったか
4年続いたコロナ禍の影響もあり、子ども・若者の不登校やひきこもりが増えてきているにも関わらず、この間人と人との接触が制限されてきたこともあって本人はもちろん保護者家族が相談できる機会が減ってきている中でのとりくみであった。「不登校の子ども・保護者に約4割がどこにも相談していない(文部科学省2023年10月発表)この状況の下、講演のテーマをどうするか、どのようにこのとりくみを知ってもらうか、どうしたら個別の相談に来てもらえるかなどが大きな課題であり困難であった、それを当該地域の関係者と一緒に考え工夫してきた。地域の教育委員会や社会福祉協議会の後援を受けるとともに、学校や地域の支援団体に足を運び案内し参加呼びかけをお願いしてきた。
③どのような人に対してどのような取り組みができたのか、取り組むうえでの課題
各地域それぞれの状況に応じて、登校拒否を克服する会地域交流会、学童保育関係者、教職員組合、退職教職員、医療福祉関係者、子ども・若者支援関係者や団体などで準備会や実行委員会を作りの打ち合わせをもって進めてきた。開催地の教育委員会や社会福祉協議会の後援を受けるとともに、学校や地域の支援団体に足を運びフライヤーを届け案内し参加呼びかけをお願いしてきた。また、メールやSNS等の活用で地域のつながりを作り出してきた。地域交流会の方々が当日の運営に協力してくれた。
今後の課題は以下の通りである。開催後もその地域との結びつきを維持して地域交流会などにつなぐこと。小学校低学年の不登校が増加している中、当日の保育の体制も考えること。より多い参加をめざすともに、相談するところがなく地域で孤立している親や当事者に声を届けるとりくみも大切にすることなど。
④参加者の声や新たな協力者の状況など
・「親の育て方の問題じゃない」の言葉で心が楽になりました。これからも子どもたちとゆっくり向き合っていきたいと思います。
・子どもの人格を尊重します。子どもの気持ちをゆっくり安定させ安全を保障しましょう。子どもの言動に対し「なぜ」を追求しない。親は「自分の責任だ」と自分を責めません。この4つの支援の基本とても大事なことだと思いました。
・資料をもとに話されてとてもわかりやすかったです。子どもの言葉(作文)「目に見えないし、人には気づいてもらえないけれど根を張って倒れないようにしている」すごい言葉でした。
・小2の3学期から少しずつ学校に行けなくなった。毎日朝からべったり、どうしていいのかわからず、市の教育相談、病院、学校などで相談。勉強の事などそれぞれ方針も違い、かかわり方が分からなくなっていた。今日の話で、まずはたっぷり甘えさせることが大切だと気づき、光が見えた様な気持ちになった。
・民間のフリースクールは、小中学校では紹介してもらえないのが現状で、保護者はSNSで見つけるしかなくこんなにたくさん不登校生がいるのにどこにも行けずにいる子どもたちはたくさんいます。こういった相談会の中で紹介していただくとか、機会を設けていただくことは可能でしょうか。
・こんなに多くの参加者が!圧倒されました。親だけでなく、交流会ではフリースクールなど民間で居場所づくりにがんばっておられる方が何人も。今後さらに多くの方に声かけをしていかねばと思います。
・現職の教員です。勤務校でも不登校の子どもが多いと感じます。不登校の原因に「無気力」とありましたが、はじめから無気力の子はいないと思います。なぜ無気力となったのか、しっかりと考える必要があります。教師の不適切なかかわりも原因としてあるのではないかと思います。ですが、現場では「ガマンのできない子が増えた」など、原因を子ども自身に向ける教師がまだまだ存在することも事実です。すべての教師の意識も変えていかないといけないと思いました。
・年ごとに増加していく不登校ひきこもり問題、決して他人事ではありません。私の近くにもひきこもりの人がおられます。折を見て話しかけてみたいと思いました。
・交流会で同じ悩みを持つ方の話を聞いて心のもやもやがスッキリした。待つことの大切さ、援助、とても大事であることを学んだ。
・個別相談で、細かく話を聞いてくださり気持ちがとても楽になった。一人ではないことに気づいた。周りに頼りながらわが子にも向き合っていきたい。学校の先生に要望することなど、自分のすることが明確になりました。
今後の展開
NPOおおさか教育組談研究所2024年度活動方針より
Ⅰ 相談支援活動
相談支援活動の推進はNPOおおさか教育相談研究所の活動の根幹であり、困っている子ども・青年。父母・保護者・家族、教職員・支援者などとつながっていくために、研修・広報宣伝・学校教職員地域他団体との連携・財政など各分野の活動と有機的にリンクさせながらとりくむ。この観点で2024年度は以下の活動を進めていく。
① 相談支援の内容をより充実する。
1)登校拒否・不登校、社会的ひきこもりに悩む子ども・青年・当事者・親・教職員に寄り添い、生きづらさを克服して自立に向かっていけるよ う相談支援の内容をより充実させる。そのために相談員どうしが研修し、地域・他団体との交流に積極的に参加する。
2)「教育相談おおさか」の冊子「登校拒否を克服する道すじ」「社会的ひきこもりから自立への歩み」「ひとり立ちのために」からしっかり学び、さらに情勢に応じて充実させていく。
3)相談員どうしで気軽に相談事例を交流しあい、相談の継続について学び合う。新相談員の相談初期に必要なら同席することや来談者と冊子を読み合わせながら相談するなど、相談を工夫し充実させる。
4)事例により、ケース会議を開いて医療・子ども家庭センター・学校などとの連携を図る。
② 新規をはじめ相談件数を増やす工夫をする。
1)「地域講演と個別相談会」(下記参照)で個別相談した人、大阪交流会基礎講座の参加者、地域交流会の参加者に「教育相談おおさか」を紹介し相談室での継続的個別相談をすすめていく。
2)教職員や支援員、学童保育指導員、行政(区役所など)の児童家庭支援センターや民生委員児童委員協議会・地域生活支援コーデネーターとののつながりを意識的に追求する。
3)冊子の普及とともに研修・広報宣伝・地域他団体との連携など各分野の活動と有機的にリンクさせ、遠方からの電話相談も含めて支援を必要としている方々に届くようにしていく。
4)「2023年アピール」を活用し教育委員会や支援機関との連携を図り、教育現場との連携を工夫する。
5)行政や居場所、保健所や各行政区にある「ひきこもり地域支援センター」とのつながりも深め、社会的ひきこもりの相談につなぐ。
6)ホームページやフェイスブックに「不登校やひきこもりでお困りの方相談にのります」「登校拒否・不登校Q&A」などを入れ、教育相談おおさかの存在を広く伝え、相談につなげる。
7)電話相談をより充実したものにしていく。ズームやメールによる相談については引き続き検討する。
③無料電話相談を、次の予定でとりくむ。8/24(土)8/25(日)8/31(土)9/1(日)
④家族交流会の開催
家族交流会は、個人相談とともに車の両輪としての大切な役割がある。
1)引き続き隔月を目標に開催し、親の苦悩を吐き出し交流しあえる場となるよう来談者や元来談者に参加を呼びかけ、大事に続けていく。参加者が増えるように来談者に声かけ、今までの状況や悩みなどを交流会で報告して下さる方もよびかけていく。
2) 当事者の生の声・親のとりくみや悩みなどを聴いて、相談員もともに学びあう。
3) 冊子「ひとり立ちのために」を活用し、親亡き後を見据え親子が本音で語り合えるようになるためにどうしていけばいいか学びあう。
4) 行政や居場所・保健所や医療・福祉との連携をさらに追求し、社会的ひきこもりの青年が安心して出かけられる場所や第3者とのつながりを作っていく。支援団体「ウイークタイ」や「フォロ」など居場所へ訪問し連携していく。
Ⅱ 学校・教職員、地域、団体との共同・連携の活動
①地域における「講演と個別相談会」
1)2024年度の開催予定地域は、城北地域(大阪市内)・大東市・泉北地域及び八尾市の4か所とする。
*八尾…八尾地域交流会主催で開催予定。
2)企画・実施にあたっては、「講演と無料相談会実施要領」を相談員会議で確認し、相談員全員の共通認識したうえで、次の点に留意してとりくむ。
・開催時期が集中しないように早めに検討準備を始め、なるべく12月までに終わらせる。
・開催地域の行政・諸団体・個人のつながりをつくり、開催地の実情やニーズに合わせて準備段階から地域の団体・個人とともに開催内容を相談していくことを大事にする。できれば、準備会(実行委員会)をつくるようにする。特に地域生活支援コーデネーターとの連携に努める。
・多くの参加をめざすことと同時に、数だけでなく相談するところがなく地域で孤立している親や当事者に声を届けるとりくみも大切にしていく
・役割分担を工夫し、相談員の条件を生かしてみんなでとりくむ。
・開催に協力してくれた開催地域の行政・諸団体・個人とのつながりを大事にし、地域交流会などの開催を展望していく。
・開催地域の学校・教職員に教育相談おおさかの存在と活動を知ってもらう機会と位置づけてとりくむ。
②学校・教職員との共同・連携
・大阪をはじめ各地域の教職員組合との連携を引き続き進めていく。年度の早い時期に懇談を実施し教育相談おおさかの宣伝物配布(リーフレット、書籍宣伝チラシ、「アピール」他)ができるようにする。かつての勤務地域など各相談員がつながりを生かして可能な範囲でとりくむようにする。
③登校拒否を克服する会との共同・連携
1)大阪交流会に積極的に参加し、父母・当事者の体験や思いにじかに触れ、学びを深めるとともに、基礎講座の担当やミニ交流会への参加に努める。
2)地域の交流会にも積極的に参加しよう。
地域とつながり、世話人や父母・当事者・参加者との関係づくりを大切にすると同時に同時に、地域と学校がつながり、地域から「安心・安全、どの子も明日も行きたい学校を」の声を発信することを展望しよう。また、相談員が参加している各地域交流会の様子の交流も行う。
④他団体との共同・連携
「子どもの貧困問題大阪ネットワーク」の活動に参加し、共同をすすめる。
行政・地域・諸団体との共同も大切にし、協力依頼には積極的に応え、教育相談おおさかの存在と活動を広めていく。