「地域助け合い基金」助成先報告

 ケア型子ども・若者食堂 ななキャラ

埼玉県さいたま市見沼区
居場所見守り

助成額

150,000円2023/05/16

助成⾦の活⽤内容

生活困窮、精神疾患、不登校やひきこもり状況など支援が必要な子ども、若者に向けて、同世代との交流ができる居場所の提供を行います。加えて、その家族に向け、お弁当や食材の配布も行っていきます。
何か生活困難がおきた際には、身近な相談場所として機能するように、さまざまな支援機関とも協力して必要な支援を届けます。

活動報告

私たちは、東武アーバンパークライン東岩槻駅から徒歩10分、春日部市になる東西寺のお部屋をお借りして、10代から20代の困難を抱えた子ども・若者たちのための居場所づくりを実施してきました。
今回の助成金を活用させていただくことで、①毎月1回の食事づくり、お弁当の提供活動、②成人するメンバーのための3回の誕生日、成人祝い企画(「ななキャラぷらす」)、③月に1回の家庭訪問による食材提供活動を行うことができました。とりわけ、「ななキャラぷらす」では、参加している子ども・若者自身から「家ではできないような、お菓子作りがしたい」「成人祝いにケーキを作ってあげたい」といった声があがり、その声に基づいて実施することができました。参加しているメンバーのなかには、生活困窮で食べたことのあるものが極端に少なかったり、家族のケアのために日々奮闘しているヤングケアラーの若者もいるのですが、この活動を通して「共に作り、共に食べる」という経験を保障することができました。
苦労したことは、お正月やクリスマスのケーキ、パンづくりなど手の込んだ料理を作る際に、若いスタッフだけでは知識に限界があったことです。そこで、地域のボランティアより、調理上の様々な工夫や餅つき機をもってきていただくなどの協力があったことで、毎回良質な料理を提供することができました。
参加している子ども・若者たちのほとんどは不登校やひきこもり、貧困、ヤングケアなどの社会的な課題を背負わされている方たちですが、この場に来ることで「家のしんどさから離れられて、息抜きができた」「いままでに食べたことのないようなごはんを食べることができた」「ボランティアさんとのかかわりで、『こうなってみたい』というイメージができた」など、素敵な言葉もいただくことができました。
年度最後の開催の日は、就職することが決まった若者メンバーに対して小さなセレモニーを行いました。地域で長らく関わっている人も来て下さり、新しい道へと送りだすことができました。
困難を抱えた子ども・若者たちが自らの人生を安心して歩んでいくためには、孤立することなく、気軽に愚痴を吐き、相談できるような居場所が地域のなかにあることが大切なのだと、再確認できた一年間でした。今後も、この活動を地域の方々と共に継続、発展していこうと思います。

今後の展開

小中学生のころからかかわりのある子ども・若者たちと共にはじめた活動が、この「ななキャラ」です。
当初は、「子ども」メンバーたちも、気づけば青年になっていました。困難を抱えた子どもを対象にした活動は公的にも私的にもたくさんありますが、若者世代を対象にした活動はまだまだ社会のなかで不足している現状があります。
おかげさまで、「ななキャラ」は若者支援の場として、さまざまな支援機関、NPO団体、地域のボランティアの方々たちとつながりを広げていくことができています。参加者のそれぞれが、なんらかの困難を抱えているという意味では、とてもナイーヴな居場所運営が必要なのですが、素晴らしいことに、来て下さるボランティアさんは皆、ひとりひとりの若者のペースに合わせて、寄り添ってくださいました。
そういった、温かいかかわりがあることで、子ども若者たちがこれから社会で生きていくうえで大事な、「他者への信頼」と「自己への信頼」が育まれていくのだと考えます。

まだまだ、小さな場ではありますが、「ななキャラ」が地域のなかで多くの人にとって大切な場所になるよう、これからも精進していきたいと思います。

添付資料