「地域助け合い基金」助成先報告

 愛知県医療的ケアライン

愛知県江南市
その他

助成額

115,000円2023/04/27

助成⾦の活⽤内容

医療的ケアとは、日常的に生活の中で必要となる痰の吸引などのケアのことです。これまで医療的ケアについては確とした支援があまりなく、特に、障害を持たない(=歩け、話すことができる)医療的ケア児者については、公的な支援がほとんど受けられず、一方で医療的ケアがあるために、児童については通常の保育園や学校に行くことも難しい状況でした。
2021年9月に医療的ケア児支援法が施行され、医療的ケア児と家族の支援について定められ、医療的ケア児支援センターの設置も進みましたが、まだ地域末端には支援のネットワークが届いていない状況です。
いっぽうで、医療的ケア児はどんどん生まれ、成長していきます。子どもの成長や生活の変化の中で、何をどうしていいのかわからなかったり、壁にぶつかって途方にくれたりしている保護者のかたが多くいらっしゃいます。
この支援の手と当事者の困難をすこしでも結び付け、医療的ケア児者とご家族には、さまざまな支援の手があることをお伝えし、支援者には医療的ケア児者の実態をお知らせして、制度のはざまで困っている人を少しでもなくしたいという思いで会を設立しました。

この基金の助成を使い、パンフレットの作成と各地域への配布広報活動、zoomを利用した勉強会や交流会の実施、発足記念イベント等の実施を行いたいと考えています。

活動報告

わたしたちは、医療的ケア児・者の家族会として、生活・成長していくうえで医療的ケアが必要な子どもたち、そして成人となった娘や息子たちと、その家族が尊厳をもって暮らしていける希望ある未来を目指して設立しました。
スタートアップとして助成金をいただいたことで、試行錯誤しながらも、活動の方向性や、自分たちに何ができるかがわかってきました。継続的な活動への足掛かりができたように思います。また、イベントを6月と12月の2回開催することで、関係者に会のことを知ってもらうだけではなく、関係者同士の繋がりをつくる良いきっかけにもなったのではと思っています。

イベントは2回とも、体調を崩しやすかったり、荷物が多かったりで外に出るのが難しい医療的ケア児者にも気軽に参加してもらえるよう、会場とハイブリッドの同時開催としました。
まず6月に医療的ケア児者のことを知ってもらうこと、また医療的ケア児者とそのご家族にこの会のことを知ってもらうことを目的として、設立記念イベントを行いました。内容プログラムは支援者の講演やバンドのミニコンサート、学生ボランティアサークルによるリモート遊びなど。準備は大変でしたが、参加者の皆さんには楽しんでいただけて、また医療的ケア児者について考えるうえで意義ある会となったかと思います。イベント後に入会いただいた方もありました。
また、12月には、医療的ケア児をきょうだいにもつ、高校生の双子のピアニストをお招きして、ピアノコンサートを実施しました。
会場オンラインの同時開催は大変でしたが、2回とも多くの参加者に楽しんでいただきました。オンラインの映像はアーカイブとして残しており、会の想いを関係者に伝える手段となっています。

イベントの広報を通じて、県内の関係機関ー基幹病院の地域連携を担当する部署や、県内の医療的ケア児支援センター、特別支援学校、療育センターなど- を訪問し、各地域での医療的ケア児者をめぐる状況や、支援の状況、課題などを聞いてきました。医療的ケア児者については、まだ支援体制が途上であり、困難を抱えている当事者や家族の声を掬い、届けていく必要があると強く感じています。関係機関の訪問はまだごく一部にすぎず、今後も地道に活動を行っていきたいと思います。

また、会員向けの定期的な活動として、会員を対象としたオンラインでの勉強会・茶話会を月1回行っています。食事、入浴、移動、進学問題、防災・・生活における課題は多岐に及び、かつライフステージによって課題が変わってきますので、拡大勉強会としてテーマを深める、ひとつのテーマを継続的に追いかける、といった取り組みの必要性も感じています。

活動当事者が医療的ケア児者の親であるため、子どもたちが体調を崩すと活動が停滞してしまう、という課題も見えてきました。実際に今年は、子どもたちそれぞれが、大きな手術をうけたり、体調の不安定な時期が続き、家から出ることができなかったりして、動きが取れない時期がありました。次年度以降は、支援者の手を借りたり、オンラインを活用したり、より具体的な実施計画をたてたりすることで、無理なく継続的に活動を進めていきたいと思います。

今後の展開

愛知県医療的ケアラインは、愛知県の医療的ケア児者の家族会として発足しました。

医療的ケアが必要になって困っている人や、困難を抱えて苦しんでいる人などが一人でもなくなり、どこにも相談出来ずに悩んでいる人がいれば、本会が寄り添える窓口になれたらと思っております。
どんなに重い病気や障害があっても、当事者や家族が尊厳を持って暮らしていける希望ある未来を目指します。
医療的ケア児者に関わりのある方、医療的ケア児者に関心のある方、一緒に考えてみませんか。

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添付資料