「地域助け合い基金」助成先報告
NPOチームおせっかい
大分県大分市助成額
110,000円(2023/04/18)助成⾦の活⽤内容
代表の後藤は
①出身地を離れ一人暮らしを始めたが知り合いがおらず近所付き合いも全くない
②仕事などの愚痴や悩みを相談していた幼馴染たちが結婚・出産で忙しくなり、大学時代の友人も全員県外にいるためコロナの影響で会うことができなくなり、1人の時間が増えたことで考え込み、憂鬱に
③仕事終わりに1人分のご飯を作る気力がないが、毎日外食に行く勇気とお金がない。ごはんを作って食べても寂しい。そんなことからごはんを食べない生活をしていたところ体調を崩しがちになり地域の子ども食堂への参加を考えるが、経済的に困窮しているわけではないことや親子連れや高齢者が多い子ども食堂に社会人1人で行くにはハードルが高く諦める
そのような理由から自宅や職場の近くに誰かとごはんを食べられ、話せる場所があったらと思うようになり、この活動を大分市が開催した「地域デザインの学校in坂ノ市・佐賀関」で提案したところ賛同するメンバーが集まり、2022年10月から大分市の公民館で若者や社会人、単身者、独身者などを対象にした地域食堂「何者でもない食堂」を月1回夜間に開催しています。
「何者でもない食堂」は孤独感を抱く割合が高い20~30代や独身者、単身者を対象とした居場所です。これらの人たちは子育て世帯や高齢者などに比べ支援が行き届いておらず支援する団体もほとんどないのが現状です。「何者でもない食堂」に参加することで新たな友人ができたり、親しい人たちには打ち明けずらい話ができ、1人で抱え込むことが少なくなることで自殺防止にも繋がると考えています。参加者の方からは「こういう場所がほしかった」「悩みが小さくなった」「栄養バランスの良い食事がとれてありがたい」といった声をいただいているほか、地域活動や居場所づくりでは参加呼びかけが難しいと言われている一人暮らしをする男性の参加も多い状況です。また、調理などを行う活動者は地域の高齢者が中心であり、社会の役に立ちたい・社会との繋がりを感じたいと思う人たちや料理は好きだが身内以外に振舞う機会のない人たちの活躍の場にもなっています。
これまで計6回開催し、参加人数は計60名、1回あたり平均10名ほどです。2023年3月開催時は地元新聞に活動を掲載いただいたことで募集人数の15名を超える参加がありました。しかし、立ち上げ時に活用させていただいた助成金の期間が3月末で終了し、新たな助成金を探していましたが、若者や社会人を対象とした助成金が少ないことや行政の助成金等は活動歴1年以上が条件であるため、需要がある一方で活動継続が困難になっていました。そんなときにこの基金の情報を教えていただき、応募しました。
若者や社会人などを対象にした居場所ですが、開催地域には独居の高齢者も多いと聞いていますので2023年度はそういった方々も参加していただけるよう社会福祉協議会や地域包括支援センターとも連携したいと考えています。さらに「他地域でもしてほしい」、「開催頻度を高めてほしい」という声もいただいていますので、これまでとは別の会場での開催や月2回開催を検討します。
活動報告
大分市東部地域の公民館で参加者も一緒に料理を作り、みんなで一緒に食べる地域食堂「何者でもない食堂」を毎月第4土曜日夜に開催しました。入退室は自由で食事後は和室に移動し話をしたり、テーブルゲームなどをして交流を深めました。
2023年度(2023年5月~2024年3月)は計11回を開催し、10代から80代の方まで延べ134名の方にご参加いただき、昨年よりもリピーターが増えています。参加者からは「子ども食堂には参加しづらかったのでこういう場所があって良かった」「普段は全然料理をしないが、みんなと交流しながらの調理はとても楽しかった」「初参加の方をみんなで受け入れる雰囲気が素敵だった」といった感想をいただきました。
2022年度は坂ノ市公民館のみで開催していましたが、「他の場所でも開催してほしい」という要望をいただき、2023年度は「大在公民館」「城原公民館」でも開催ができました。公民館や公民館を管理する自治会の皆様、周辺の飲食店やスーパーマーケットの皆様には広報でご協力いただき、配布・掲示されたチラシがきっかけで参加された方もいらっしゃいました。
もう1つ要望があった「月2回以上の開催」は叶いませんでしたが、2024年3月は通常の何者でもない食堂とは別に、「何者でもない食堂(女子会)」を開催しました。初めての取り組みでしたが、11名の参加があり、初対面とは思えないほど話が盛り上がり、大好評でした。第2回を望む声もあったため、2024年度に開催できればと考えています。
この他にも新たな取り組みとしてテイクアウトの実施やお酒ありの何者でもない食堂の開催、食後の交流として近隣の喫茶店とのコラボ企画(出張喫茶店)や、参加者が講師になったモルック体験なども行い、新規参加者獲得に繋がっただけでなく、リピーターの方にも「いつもとは違ったことができ楽しかった」と大好評でした。
食材のご寄付をいただけることも増え、野菜に関しては毎回旬の野菜をたくさんご寄付いただき、メインメニューのほかに、4~5品の副菜を提供することができました。これが参加者には大変好評で「野菜をたくさんとれてありがたい」「500円でこのボリュームはすごすぎる」という声を毎回のようにいただいています。
さらに、さわやか福祉財団さま主催の「いきがい・助け合いオンラインフェスタ2023」をはじめ、様々な場所で活動の紹介をさせていただける機会をいただき、「自分たちも同じような活動をしてみたい」と見学にいらっしゃる方もおり、大変嬉しく思います。このように参加者以外の繋がりも生まれた1年でした。
さわやか福祉財団さまの助成が無ければ、今はありません。この1年、誠にありがとうございました。
今後の展開
若者や社会人などの「何者でもない人たち」は行政や各機関とも関わりが薄く、ピンポイントでのお知らせ活動ができないため、「何者でもない食堂」の認知度はまだまだだと感じています。認知度UPのために活動頻度を高めたい気持ちはあるのですが、今は6名のメンバーで活動しているため、2024年度も月1回開催を続けながら活動範囲の拡大や地域イベントへの参加などを積極的に行うことで、活動周知や新メンバーの獲得に繋げたいです。
我々は月1回だけの活動で福祉の専門家もいないため直接的な支援はできませんが、「ここに来て他愛もない話をしたら少しモヤモヤが晴れた」「ここに来るとホッとする」「何者でもない食堂があるからもう少し頑張ろうかな」と思ってもらえたり、誰かの居場所になれたらと思います。そして、将来的には行きたいときにふらっと立ち寄れる「何者でもない食堂」がつくれるよう、地道に活動を続けていきたいと思います。