「地域助け合い基金」助成先報告

 出前茶道部

群馬県高崎市
居場所その他

助成額

150,000円2023/03/06

助成⾦の活⽤内容

当会は茶道の経験を活かして,地域に開かれている居場所や集いの場,サロン活動に対して,茶の点前や薄茶など茶の湯を「出前」しています。居場所などを運営するボランティアの皆様から日々のプログラムでお茶会を開いてもらえないかとの要請を受けて活動しています。ひとり暮らしのお年寄りも本格的なお茶会を楽しみにしていますし,こうした活動の機会をさらに増やしていきたいと考えています。

助成金の活用については,活動に必要な備品や消耗品に充てたいと思います。私たち夫婦は地域からの要請でお茶会の開催に協力していますが,茶歴も短くお茶会を設える道具に不自由しています。公民館の長テーブルやパイプイスなどを使用していますが,茶の湯の雰囲気を設えるにはほど遠いものとなっています。また,抹茶を自分で点てる体験も行っていますが,茶筅や柄杓も数が少なく,多くの参加者に体験していただくことも容易ではありません。助成金をいただければ,専用の立礼棚を購入することができますし,茶筅や柄杓,抹茶など手前どもで持ち出している消耗品も購入することができます。

居場所などに参加する高齢者や子どもたちは,茶の湯や抹茶など精神性の高い日本文化にふれる機会があまりありません。居場所の運営に携わるボランティアの皆様も本格的なお茶会を開きたいと思いながらも,どのように設えて運営すれば良いかわからないとの声を聞いています。また,お抹茶を自分で点てる体験はお年寄りや子どもたちも楽しみにしています。

お茶の文化が衰退しているなかで,地域で本格的なお茶会を楽しみにしているお年寄りや子どもたちの役に立ちたいと思いますし,こうした活動が和の文化を広めるきっかけにもなればと考えています。
そして、失いかけている地域のつながり作りの一助としての活動として地域との連携もしていきます。

活動報告

地域の居場所が各地に開設されていますが,運営のマンネリ化やプログラムの企画不足など課題を抱えている居場所も多いと聞いています。私たちが立ち上げた「出前茶道部」は,このような地域の居場所に対して,茶道体験のプログラムを提供することにより,地域の居場所を活性化することを目指しています。また,茶の湯や抹茶を飲むという精神性の高い日本文化にふれる機会が少なくなっている現状があり,地域の居場所などで気軽に抹茶体験を楽しめる場を創出したいという想いもあります。

しかしながら,私たちは茶歴が短くお茶会を開くほどには道具も揃っていない現状があり,これまでは公民館の長テーブルやパイプイスなどを使い,お茶会と言えるような会場の設えができませんでした。今回,貴会から助成金をいただいたことにより,お茶会で使用できる立礼棚をはじめベーシックな道具を揃えることができました。そのため,参加する高齢者や子どもたちに和の雰囲気を味わってもらえる設えができて,お茶会を楽しんでいただくことができたと思います。お茶会というと正座が苦手という方も多いですが,私たちは足腰の弱いお年寄りでも気軽に参加できるよう立礼席(イス席)を用意したことも良かったと思います。

また,大学生がボランティアとして協力してくれたこともお茶会を楽しくできた要因です。ボランティアとして応募してくれた学生には,私たちが用意した着物や浴衣を着用してもらいました。茶道の心得のない学生にはお茶やお菓子の運び方などを説明して,参加者が気持ちよくお茶を飲めるようおもてなしをしました。高齢者や子どもたちのお茶を通じて交流もできました。

参加した高齢者や子どもたちの感想のいくつかを紹介します。
「初めてお抹茶をいただいておいしかった」「抹茶を自分で点ててみて苦かったけど,楽しかった」「お茶の飲み方がわからなかったが,お茶碗の回し方が理解できた」「日頃と違う雰囲気の空間で,気持ちがキリッとした」「家でもお茶を点ててみたくなった」「着物姿の学生ボランティアがきれいだった」「昔お茶を習っていたが,久しぶりに抹茶体験ができてうれしかった」「ボランティアも美味しいお茶やお菓子をいただくことができて楽しめました」「毎年,お正月など季節ごとにお茶会をしてほしい」

※Instagramで本会の活動を紹介しています: https://www.instagram.com/demae.chadobu/

●出前茶道部活動実績
1)2022年8月23日(火) コミュニティカフェ「一休さん」/代表者・設楽多恵子
  会場/上中居町第一町内会集会所 参加者8人、ボランティア3人、学生4人、出前茶道部2人、合計17人

2)2022年11月3日(木) よっちゃん家井野川/代表者・池田優子
  会場/地域の居場所「よっちゃん家井野川」 参加者10人、ボランティア7人、学生0人、出前茶道部2人、合計19人

3)2023年3月26日(日) NPO法人 花/代表者・目﨑智恵子
  会場/コミュニティカフェ和 参加者11人、ボランティア3人、学生2人、出前茶道部2人、合計18人

4)2023年5月7日(日) 一般社団法人 あったらいいなをカタチに/代表者・鈴木隆子
  会場/ユニバーサルカフェはーと 参加者13人、ボランティア5人、学生2人、出前茶道部2人、合計22人

5)2023年7月17日(月) 宿大類町ふれあいサロン/代表者・磯部啓子
  会場/宿大類町公民館 参加者10人、ボランティア8人、学生4人、出前茶道部2人、合計24人

6)2023年8月9日(水) やっちゃん家/代表者・金井保恵
  会場/居場所「やっちゃん家」 参加者3人、ボランティア3人、学生1人、出前茶道部2人、合計9人

7)2024年1月25日(木) よっちゃん家井野川/代表者・池田優子
  会場/地域の居場所「よっちゃん家井野川」 参加者7人、ボランティア7人、学生0人、出前茶道部2人、合計16人

8)2024年3月31日(日) NPO法人 花/代表者・目﨑智恵子
  会場/コミュニティカフェ和 参加者20人、ボランティア5人、学生3人、出前茶道部2人、合計30人 

■累計 参加者82人、ボランティア41人、学生16人、出前茶道部16人、合計155人

今後の展開

本格的なお抹茶がいただけるお茶会は,実施するための準備や運営のハードルが高いと思われがちです。たしかに茶道は所作や作法,道具などが厳格に決まっています。このことにこだわっている茶道の先生方もたくさんいらっしゃいます。伝統文化を守ることも大切なことと存じます。

私たちは茶道の伝統をリスペクトしながらも,初めて茶道を体験する方々に最低限理解していただきたいことや作法などを説明してハードルを下げて茶道体験を楽しんでいただきました。これまで8回のお茶会をサポートしてきましたが,協力した主催者からは次も来てほしいというリピートの要望もいただいています。お茶会を開きたいが大変なのではと考えている地域の居場所があれば,これまでの経験をお伝えしてその居場所にあった設えや実施方法などの相談に応じたいと思います。あるいは,お茶会の場を見学してもらうのも良いでしょう。地域を人と人をつなぎ、社会参加促進の役割を担う生活支援コーディネーターと今後とも連携していきたいと思います。

これからも地域の要望をお聞きしながら,地域の居場所のプログラムとして貢献するとともに,高齢者や子どもが気軽に楽しめるお茶会の創出に尽力したいと思います。

添付資料