「地域助け合い基金」助成先報告

 高齢者共生の会

東京都町田市 ウェブサイト
居場所見守り

助成額

150,000円2023/03/09

助成⾦の活⽤内容

【1.高齢者自身による支援活動】当会は、町田市成瀬・成瀬台地区における高齢者問題について、住民が主体となって、住民に対する情報提供活動と共生のための事業を行うことを目的として、2019年11月に創立されました。
成瀬・成瀬台地区は、約50年前に開発された分譲住宅地で、高齢者比32.4%(2023年1月現在。町田市は27.2%)と高水準であり、また市の中心部から離れた場所にあるため、高齢者問題が表面化しつつあります。この対応として、高齢者だけではなく様々な年齢層の方々、支援を要する方々との共生活動を目指して、次の活動を実施・計画しています。

【2.認知症研修会】認知症についての正しい知識は高齢者支援のための必須項目との考えから、2022年度には第1シリーズの基礎編・応用編の組み合わせで3回開催して129名が参加。手作り感のある研修で好評を博しました。2023年度は、第1シリーズの総括編と、第2シリーズの3回を計画しています。

【3.自治会非加入者への対応】当地区は約4,300世帯を抱えていますが自治会加入率は約50%であり、自治会非加入者に対する対応は自治会でも不足しがちです。そこで当会では「自治会非加入者を含む全住民を対象とした活動を行う」こととしました。具体的には、自治会非加入者にも認知症研修会を公開し、さらに自治会非加入者を含む住民全世帯を対象としたアンケート(役員が分担して個別にアンケート用紙を配付)を実施して、約1割の回答を得ました。
当会の活動に対する賛同の意見も多く、また高齢者の抱える課題についての自由記述も多く見られました。また当会の見守りを希望して記名された方も45名おられ、住民の方の実情の一端を把握することができました。この貴重なアンケート結果を参考として、当地区の実情を踏まえたこれからの地域づくりを進めております。

【4.見守り・安否確認・個別相談】当地区への支援の基盤として、2022年度に「さりげない見守り」を開始しましたが、この見守りの際には、住民に対する挨拶運動も展開しています。この2つの活動は見守り対象者への支援として有益でありますが、同時に見守り担当者が地域に対する関心と愛着信を持つために有益であり、自分たちの努力で共生を進めるために極めて有益と考えております。加えて当会オリジナルのLINEソフトによる安否確認活動を開始しましたが、2023年度には見守り担当者の増加と研修・見守り対象の拡大・LINEによる見守り活動の質の向上を目指します。また、訪問・電話などによる個別の相談体制を計画中です。

【5.広報活動など】高齢者のための情報を記載した支援マップを更新して配布します。挨拶運動のポスター掲示を小学校とも連携して継続します。地域への広報と子供たちとのふれいあいのために、なるせだいまつりに出店を継続します。気軽なおしゃべりのための、住み開き(個人住宅を利用しての懇談会)を継続・拡大します。

【6.生活支援】当地区内には、すでに生活支援・移動支援を行っている団体がありますので、その別団体と協力・連携して進めて参ります。

活動報告

【総括:高齢者自身による支援活動】当会は、町田市成瀬・成瀬台地区における高齢者問題について、住民が主体となって、住民に対する情報提供活動と共生のための事業を行うことを目的として、2019年11月に創立されました。途中コロナ感染で2年程ブランクがありましたが、特に高齢者の支援を目的に、暮らしと健康をテーマにした活動を継続的に続けるため、2023年度においてもこの方針を堅持して、主に以下のような支援活動を行いました。

【1.認知症研修会】認知症に関する勉強会は、私たち共生の会のコアの活動の一つです。
高齢者にとって認知症問題は切り離せない共有の課題であり、予防と共生のために研修プログラムとして今後も継続します。
2023年度は、認知症への「応用的課題としての認知症にやさしい地域」「認知症サポーター養成講座」「同ステップアップ講座」を開催して、延74名が受講しました。研修の中のグループワークは、お互いの認識を深めるだけでなく、新しい友人関係の効果もあり、大きな成果を得ることが出来ました。

【2.高齢者アンケート】コロナ感染で集団的活動が一切できないため、貴重な時間をアンケートに集中する機会になり有効でした。私達住民で出来る高齢者支援は何をすれば良いか?ブレーンストーミングで実施計画もつくりました。最初の関門は、高齢者の実態【何処に、どのようなお困りがあるのか、お困りの要望は何か】でした。私たちが解かることは、町田市の住民基本台帳の町内別の人員、平均年齢だけで、一人住まいの方がどこに何人ほど居るのか等、わかるすべもありませんでした。
従って、約4120軒全世帯を対象とした高齢者アンケートを2年にわたり2回実施しました。
回収率は二度とも1割程度でしたが、得られたデータは情報源になり、100件以上の自由記述欄の要望や意見は、支援活動を行ってゆく上で貴重な財産となりました。

【3.見守り・安否確認・個別相談】当会は、入会条件に「さりげない見守り」を行うことを義務付けています。買い物や散歩ついでに、向う三軒両隣に目を向けて歩き、郵便ポストが新聞で一杯、雨戸が閉じたまま、電灯がついたまま、洗濯物は干しっぱなし等、普段の一寸した異変に気づくことで、私達の住む町はこれで良いか、関心をもって貰うため、2022年はさりげない見守りを実施してきました。
何の変哲もない見回りは必ずしも会員には受け入れにくいため、2023年度は、町田市生涯学習センターの町チャレ企画に応募して、見守りサポーター養成講座(3ヶ月4回にわたる講座)を開催させて頂きました。
普段のさりげない見守りの継続から、空屋が判り、隣近所の情報も得ながら一人暮らしのお宅が判って来ました。また、アンケートから、見守り活動へ強い関心を持っておられる方が判り、希望者と契約してLINEと電話による安否確認活動を20名に対して開始しました。
二年目のアンケートで希望者が40名になり、2024年度は本格的な見守り活動を展開します。

【4.広報活動など】「遠くの親戚より近くの他人」を標語に、声かけ・挨拶運動を展開しました。また小学校とも連携してポスター作成と、お店の協力を得て店頭にパスター掲示をして頂きました。
地域への広報と子供たちとのふれいあいのために、なるせだいまつりに出店を継続しました。
高齢者の閉じこもりを防ぎ交流の場としてサロンや、新規事業としてフレイル予防の観点からも町田市が推奨する「町トレ」(高齢者のためのストレッチ、筋トレと交流を実施する体操講座)をスタートさせました。

【5.自治会連合会との協力】この二年を通じての反省点は限りなくあります。例えば認知症や見守りサポーターの養成講座など企画して来ましたが、残念なことに参加してくれる住民が少ないことです。
明らかに、私達の活動が受け入れられていないと痛感させられました。この地域の特色は、高齢者の趣味や活動倶楽部が沢山あり、活発な活動をして元気な老人が沢山居ます。私達の狙いは、元気な今のうちから友達ネットワークをつくり、いざと言う時の互助・「近助」付き合いの環境を作って置くことが大切なことだと思っています。今後自治会や関連団体との意見交換や相互協力を進めたいと思います。

今後の展開

当会は、町田市成瀬・成瀬台地区において 「子どもから高齢者までが住み慣れたまちで安心して暮らせるためのまちづくり」を目指し、主に高齢者問題などについて、住民が主体となって、住民に情報提供活動と共生のための事業を行うことを目的として活動しています。具体的には全世帯へのアンケートを参考にして、見守り・挨拶・声掛け・認知症研修・フレイル予防など健康対策・高齢者のための自宅開放など、各種の活動を継続的に実施して行きます。

高齢化の伸張と共に抱える課題は65歳代、65~74歳代、75歳以上と年代層別に違ってきます。
アンケート回収結果は、80%以上の方が後期高齢者からの回答で65歳以下の回答は少なく、残りの20%は二世帯同居の子ども世代或いは故郷に居る親を思って回答してきたものでした。
アンケートで注視したことは、回答者の20%が独居世帯者であり、心配事を抱えて暮している事実です。日本の世帯数の将来推計を4月13日の新聞(厚労省の国立社会保障・人口問題研究所の記事)でみると、2050年には全5261万世帯の44.3%にあたる2330万世帯が一人暮らしとなる。このうち、65歳以上は1084万世帯で20.6%を占め、世帯の平均年齢人数も1.99人とはじめて2人を割り込み、見守りや介護などの支援を充実させ、地域で安心して生活できる環境つくりが課題と報じられました。
これらは、国の施策事項ですが、互助・「近助」問題として、住民でできる事について関心を深め取り組んでいかねばなりません。
2024年は、2年にかけてアンケートで頂いた課題を深掘りする年にしたいです。
特に、高年齢者の方達の困りごとに一つでも多く応えられるように、見守り活動を掘り下げサポート体制の充実を図りたいと考えています。

同時に、地域にはこれらの活動に有益な経験・知識をお持ちの方も多くおられます。それらの方々と「自分たちの地域の問題を、自分たちで考えて、自分たちで解決する」ことを目指して、よりよい町づくりに努めたいと思います。

添付資料