「地域助け合い基金」助成先報告
さっぽろレインボープライド実行委員会
北海道札幌市中央区 ウェブサイト助成額
150,000円(2023/01/20)助成⾦の活⽤内容
LGBT などの性的マイノリティへの差別解消、多様性を認め合い個性を尊重する豊かな社会の実現を目指し、広く札幌市内外の方々に対して意識啓発を図り、支援者(ally)の可視化ならびにLGBT支援団体の活動をPRする場として、「チ・カ・ホDEプライド~さっぽろレインボープライド開催直前!チカホでつながる虹色の輪~」を開催します。開催にあたっては、1日10万人が利用する地下鉄札幌駅と大通駅を繋ぐ地下歩行空間(通称「チカホ」)内の「北3条広場交差点西」を1日借りて1000人以上の動員を見込むイベントを開催します。このイベントでは、セクシュアリティやそれぞれの関心度合に関わらず誰もが自由に出入りし、様々な情報や団体、個人、地域と繋がることのできる居場所或いはコミュニティといった側面を大切に、イベントに参加することで新たな繋がりとエンパワーメントを創出出来るような場にしたいと考えております。
イベント内容
(1)20以上のLGBT 関連団体、企業、個人等によるブース出展(物品販売、展示等)
(2)LGBT に関する講演、スペシャルトークショー、各種パフォーマンス
(3)LGBT に関する映像、写真、ポスター展示
(4)さっぽろレインボープライドに関するグッズ展示、宣伝活動
また、今回のイベントで広く市民へ活動を周知することで新たな地域との繋がりを生み出し、そこで出会った一般市民や学生へ向けてワークショップや交流会を企画運営し、地域で多様なセクシュアリティを生きる人々が繋がり、広く市民へ向けて正しい理解を促していくような活動を展開していきたいと考えています。
ワークショップや交流会内容(案)
(1) LGBT当事者らと市民が多様な性について共に学び、多様な性が尊重される社会を実現する為のワークショップの開催
(2)当会のメンバーらが札幌市内の中学校や高校へ訪問し、出前授業の実施ならびにそれぞれの性のあり方や共生社会実現を共に考える交流会の開催(候補として開成中等教育学校や札幌新陽高校で検討)
(3)その他、地域と当会活動の繋がりを創出することができると考えられるイベントの実施
活動報告
【実施した活動の内容】
<内容1>「チ・カ・ホDEプライド~さっぽろレインボープライド開催直前!チカホでつながる虹色の輪~」(以下、チ・カ・ホDEプライド)
開催日時:2023年7月9日(土) 12:00~17:00
開催場所:地下歩行空間 北3条広場交差点西
動員数:約2,000人
■開催概要
札幌市中心部の地下歩行空間北3条広場交差点西にて、LGBTQに関する冊子や協賛企業による飲み物の配布、各活動団体によるブース出展、ステージでのLGBTQクイズや、札幌市内で活動するアーティストによるライブなどを通して、LGBTQに関する情報を広く市民に広げるイベントを開催いたしました。
また、LGBTQだけでなく様々な社会課題に向き合う団体様にブース出展をしていただくことにより、より多くの視点から多様な社会について考えるきっかけとコミュニケーションの場を作ることができました。そして、会場内でのワークショップ(寄書コーナー)や、過去の活動の映像配信、風船の配布などによって、会場内が賑やかとなり、小さなお子様や、高齢の方や、全くLGBTQという言葉を知らなかったという方にも関心を寄せていただく機会を提供することができました。
<内容2> 札幌市内の中高一貫校での講演会
開催日時:2023年10月19日 15:00~15:50
開催場所:市立札幌開成中等教育学校 5、6年生向け
参加人数:20名
■開催概要
チ・カ・ホDEプライドの開催を含めたLGBTQに関する活動の目的や内容の共有、多様な社会の実現のために出来ることなどを参加生徒と共に考える会を実施いたしました。
【活動を実施する上での苦労】
●活動が長期に及ぶこと
チ・カ・ホDEプライドの開催を決定し、実際に開催をするまで約半年間の時間を要しました。事前のSNSによる宣伝、ブース出展者の募集、ステージ出演者の募集、事前のZOOMによる出展説明会や、当日運営ボランティアへの説明、インスタライブによるイベント紹介(ブース出展者や、ステージ出演者をゲストに呼んで4回実施)を行いました。長期的に計画を立て実行することで、より多くの人たちを巻き込むことができました。
●LGBTQに関心のない人たちへのアプローチ
チ・カ・ホDEプライドはLGBTQに関する活動団体だけではなく、環境や、障がい等に向き合う活動団体さんや、ブライダルや保険に関する企業さんなど、様々な団体さんに参加していただきました。参加される方ももちろんですが、ブース出展など運営側として参加していただく団体企業さんとの関わりや、繋がりを深めていくことも難しいと感じる点でしたが、当日の運営に関する注意点やLGBTQの人たちが抱える課題なども含めて、各団体様と想いを共有しながら行うことができました。
【活動を実施する上での課題】
●金銭的な課題
より多くの方が気軽に参加できるイベントや活動となるように、来場者は無料参加とし、ブース出展料もなるべく出展しやすい金額に設定して開催をしました。一方で人通りも多い公共の施設を借りるという所では固定の支出も多く、助成金などがない状態では運営が厳しい現状があり今後も継続した開催を検討するのであれば、どのようにして活動資金を補っていくかという所は課題の1つだと考えています。
●次のステップへの課題
イベントの開催だけに留まらず、その後も引き続き参加された活動団体間で連携できる場や、参加された方々とのコミュニケーションの場を設けて、切れ目のない情報発信や場づくりを検討する必要があると考えます。今回は、運営メンバーに高校生や、大学生などの若者も多かったので、このイベントや活動で得たことを題材として、更に各学校などでも議論を深めたり、関心を持つようなきっかけを作ることが出来ればと思っております。
【参加者の声など】
●たまたま、歩いていたらイベントがやっていて参加してみた。とても楽しかった。
●札幌でこのような活動をしているのは知っていたけど、こんなに昔からあったのは知らなかった。
●LGBTQだけじゃない、色々な人たちが集まっていていいね!
●こんなに沢山の人が通る場所で、イベントが開催されていて嬉しい。
●また、来年も参加したい! 等
今後の展開
「さっぽろレインボープライド実行委員会」は21名の実行委員(2023年2月時点)により運営される任意団体です。札幌市では東京に次いで国内で2番目となるLGBTQのパレードとして、1996年に「レズ・ビ・ゲイプライドマーチin札幌」が開催されました。その後は2013年までのあいだ「レインボーマーチ札幌」という名称で継続的に開催されてきました。17年の歴史を積み重ねたパレードは2013年に一度ファイナルを迎えたその後、2017年にはそれまでとは異なる別団体によるパレード「さっぽろレインボーマーチ+」が開催されましたが、同団体によるパレードは2017年の開催のみで終了しました。
「さっぽろレインボープライド実行委員会」は、日本における性的マイノリティのパレードを牽引してきた「レインボーマーチ札幌」の後続団体として2017年12月に新たに立ち上がりました。
私たちの団体のロゴは、LGBTQのシンボルであるレインボーを基調としたデザインになっています(チ・カ・ホDEプライドの当日の会場装飾にも使っています)。この「レインボーフラッグ」は多様性の象徴として世界中で使用されていますが、札幌ではその左側に白色を加えています。白色には、「HIV/AIDS、及びゲイバッシングなどによる暴力で亡くなった方への追悼」と「現在様々な苦しみと闘う仲間との共生のしるし」という2つの意味が込められており、2006年から札幌で使用され始めました。そして同じく左側には、6色のレインボーに合わせて6つの星を配置してあります。札幌市徽章にも大きく使用されている星を用いることで、札幌らしさを表現しています。
私たちは、①地域社会に対して、身近にLGBTQが存在することを広く知らせる、②孤立するLGBTQに対して自らの存在を肯定的に捉えられるよう情報を発信する、③LGBTQが存在することを前提とする社会制度の構築を、行政や企業、教育現場への働きかけを通じて、広く社会全体へ訴えかけることを目的に活動を行っております。
2023年度は、北海道内179市町村へのアンケート調査に加えて、北海道内の約2000校(小学校~大学[専門学校を除く])にも、当団体のチラシの配布や、各学校での取り組みについてアンケートを実施いたしました。回答を見てみると、多くの自治体や学校においてLGBTQという言葉や、LGBTQの人たちに対する取り組みの必要性については何となく感じているが「どれくらいの当事者がいるのか」「実際に当事者が何に困っているのか」「どのような取り組みが求められているのか」「何から始めたらよいのか」というような、漠然とした疑問や取り組みのしにくさがあることもわかりました。市においては札幌市を含めて10の自治体にてパートナーシップ制度の取り組みが行われておりますが、町や村では一層取り組みが進みづらい状況があることもわかりました。
アンケート調査や、関連イベントの実施などによって札幌市に留まらず北海道内全域に渡りLGBTQに関する情報発信や、繋がりを広げていくことに意識を向けて活動を行ってまいりましたが、まだまだLGBTQの当事者が抱える課題の解決には至っていないと感じます。引き続き様々な視点から、より多くの人たちと共にこの活動を発展させていき、北海道が全ての人にとって生きやすい街となるように、活動を進めていきたいと考えております。