「地域助け合い基金」助成先報告
【個人】 源代 薫
富山県高岡市助成額
150,000円(2023/02/06)助成⾦の活⽤内容
五位山は冬期かなり雪深く、高齢者は自宅に閉じこもりがちになってしまう。そのような高齢者を対象に居場所を提供したいと考えた。場所は私の自宅の一室を開放、「1箱図書」を並べた図書室とし本の貸出しをする。10人程度から15冊前後(段ボール1箱に収まる程度)の不要な本を提供してもらう。本を通して、同じ趣味・興味を持つ人と人とのつながりを作っていく。
また、本の貸出し以外に、簡単な物作り体験やお茶の提供もし、集う皆がゆっくり楽しく過ごせる場も兼ねる。
活動報告
名を五位山にちなんで「51書房」と命名し、本好きの友人と2人で、2022年12月より、自宅の1部屋を解放して週1回、図書室をオープンしました。また翌年からは、「いずみ(農閑期に縄で編んでいたバッグ)」作りの体験教室も始めました。雪深いので近所のお年寄りが歩いて、私の知り合いや行政の方々は車で「51書房」を訪れ、山の住民と街の住民との交流が、本を通して少しずつ生まれ始めました。
地元の新聞で「51書房」が2023年2月に紹介されると、高岡市外(氷見市・射水市・砺波市・富山市八尾町)から「本の提供をしたい」という問い合わせを多数いただき、ご自宅へ訪問。持ち主さんはどの方も読書がご趣味なので、大量の数の本、個性溢れる魅力的な本をお持ち。訪問時にあわせて、不要になった本棚やイスなどの家具を提供いただくこともありました。
4月に五位山内の別地域の空き家へ転居。DIYが趣味の家主さんが、私の持ち込んだ大量の本を並べることができる本棚を手作りで作成。昔、映画館の映画の告知看板を作る仕事をされていた山の方が「51書房」の看板を手作りで作成。街に住む自営業の友人が、不要になった工事用黒板を譲ってくれ、そこにオープン日時を記入することに。地域のお年寄りからはお菓子の差し入れが何度もあり。手作りのものや再利用できるもので「51書房」の運営ができて助かりましたが、一方で当初予定した経費の半分すら使いきれなくなってしまい、困りました。
5月頃。地域のお年寄りや、山を離れ街側に暮らしているお年寄りの子供達が「51書房」の賑わいに関心を示しだし、図書室以外の体験や、野菜などの販売もすればもっと地域が賑わうのでは?と提案いただきました。思い切って、月1回の休日に「まへ市」という市を、自宅を全開放し、実施することに。「51書房」はもちろん、旬の野菜の販売、旬の野菜を使った料理のふるまい、どんぐりを使ったミニ動物の置物作り体験など、山ならではの特色を生かした田舎らしいコンテンツの詰まった市を、地域内外の数名のスタッフで運営することに。山の私が住んでいる地域とは別の地域に住むお年寄りや、高岡市内外のお客様や子供連れの若いご家族など、たくさんの方々が集まるようになりました。
課題は、余った経費の使い道と、お客様のほとんどが女性だということ。山の男性の地域住民も参加しやすいコンテンツがあればと考え、全国でも取り組まれている「健康マージャン教室」を開催することに。お年寄りにも優しい、大きめの牌を使った、牌を積み上げる必要がない、電動マージャン卓を買おうと決め、財団に申請内容の変更を打診。「51書房」から始まり「まへ市」まで発展させ、賑わい創出が拡大している現状、SDGsを意識した資源の再利用の取り組み、そして一方で、利用者の偏りの課題がある旨をお伝えし、経費項目の変更にご理解いただきました。ありがとうございました。
今では、毎週水曜日に地域の男性お年寄りが講師の「健康マージャン教室」、毎週金曜日に友人が店主の「51書房」、毎月1回日曜日に「まへ市」を開催。2022年12月から2023年9月までの10ヶ月、財団のお力添えをいただきながら、活動を継続・拡大させたことにより、郵便局しかお店が無い五位山に、楽しい地域住民の憩いの場を新たに作ることが出来ました。これからも試行錯誤しながら、本活動を継続・発展させていきたいと思っています。
今後の展開
地域おこし協力隊としての自身の冬期の活動として、2021年冬から「携帯・パソコン教室」を実施。2022年冬はどうしようと考えた結果の、図書室「51書房」のオープンでした。
結果、自身の予想をはるかに上回る、「まへ市」「健康マージャン教室」という追加の活動の始まりと、地域の賑わいの拡大に驚いています。
生活支援コーディネーターや協力隊の委託契約相手の市役所といった、行政に頼らずとも、①貴財団の先払いの助成金のような活動資金の調達先の確保(市役所の方に貴財団をご教示いただきました)、②地域住民の方々の優れた技術や、物資・労働の協力支援、③地域の事情や住民の思いを尊重し、地域らしい要素・昔の要素をプラスしつつ、今の時代のやり方に合わせるアイデア、④私が腹をくくって先に動き出してみる。以上の4つがあったから、今回、わずか10ヶ月で、ここまでの結果に至ったのだと思います。
私の協力隊の任期は1年を切りました。私は「協力隊」なので、地域の活性化・賑わい創出の「協力」をする立場でしかなく、メインではないと採用当初から考えています。また、地域活性化は会社経営と同じ。「ヒト・モノ・カネ・情報」の資源が揃わないとできないと考えており、いずれも少しずつ育ってきていると実感しています。
地域活性化という会社の継続を、五位山は望むのか、望まないのか。重く難しいテーマではありますが、今後も地域の皆様の意見を伺いながら、楽しく笑顔で、活動していきたいと思います。
なお、今回、助成金の申請内容変更にご了承くださいました貴団体に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
※日々の活動の様子はコチラから!
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