「地域助け合い基金」助成先報告
ゆる歩・三芳
埼玉県三芳町助成額
150,000円(2023/01/11)助成⾦の活⽤内容
高齢者の健康寿命の増進に寄与する、2本のポールを用いたウォーキング団体を設立する。持続的に団体が活動するには、居住地域内で一定数以上のアクティブメンバーが活動していることに加え、その団体を統率するリーダー格の人材が不可欠となる。健康寿命の増進にウォーキングが有効なことはよく知られているが、運動には故障につながるリスクがある。健康のためと思って始めたウォーキングで怪我などを起こしては本末転倒となりかねない。2本のポールを用いるノルディック・ウオークには、姿勢を矯正して安全かつ体への負荷を軽減できる効能がある。それには、トレーナーから歩き方の指導を受ける必要がある。また、運動を継続できるには地域コミュニティの形成が求められる。
本活動の対象者:三芳町に居住する高齢者(特にコロナ禍で引きこもりがちな方)
運動不足からくる体力や認知機能の衰え、地域コミュニティとの関係性が薄れるなどの課題を解決する。
課題解決策:日頃、運動したことのない方でも、体力に応じて参画できるウォーキング。仲間づくりにより、地域コミュニティとの結びつきを回復する、会員の友達は友達の輪。
実現方法:地域ウォーキング団体の設立に実績のある[NPO法人 NORDICあさか]に指導を仰ぎ安全なウォーキングのスキルを習得するとともに、リーダー格となる人材の育成を図る。
達成目標:スタートアップ時の会員10名、内2名のリーダー格を養成する。
具体的手順:三芳町社会福祉協議会の広報誌などを通じ15名程度の希望者を募る。[NORDICあさか]より2名の指導員の派遣を受け、申請者の渡邉を含めて3名で実施する。講習は2023年3月~5月までの期間で8回実施。講習会終了後、リーダー研修を候補者2名に対して2回実施する。リーダー格人材は、活動が特定の個人に依存しないためにも必須である。講習会の具体的なカリキュラムは別紙に記載する。予算は、申込金額欄に記載する。
講習会終了後の活動:講習会参加者を促し、2023年6月より、毎週定例曜日にウォーキング会を行う。内容は、活動計画書(案)に記載する。実施体制については、団体規約(案)に記載する。
活動報告
高齢者の健康寿命の増進に寄与する、2本のポールを用いるノルディック・ウォーキングの講習を、”NPO Nordicあさか ”の支援を受けながら、2023年3/7, 3/21, 3/28, 4/4, 4/18, 4/25, 5/2, 5/16 の 計8回実施。参加者は16名。講習会の案内は、三芳町社会福祉協議会の広報誌にて行っていただいた。また講習会の実施中の受付業務などの支援を受けた。受講者は、三芳町在住の高齢者が14名。近隣の富士見市の住人が2名。64歳~92歳が15名、1名が55歳。内、低体力者が4名。
街中安全ウォーキングの座学と実地研修を、2024年2/1と2/13に実施した。参加者は21名。安全研修を後段に持ってきたのは、グループで街中を歩くことに慣れてきたころを見計らったためと、会の活動を持続させるためのリーダーを育てることを意図したためである。
講習修了後、2023/6/6 に設立総会を開催、原則週2回の活動を行っている。2回に分けたのは、歩行能力に差があり、低体力者向けのプログラムを取り入れたため。低体力者には、別途ボディメイクを実施している。参加者は、65~92歳までの三芳町に居住する高齢者21名。実施回数は、2月末までで72回、延参加人数は429名。当初目的として「運動不足からくる体力や認知機能の衰え、地域コミュニティとの関係性が薄れるなどの課題を解決」、「日頃、運動したことのない方でも、体力に応じて参画できるウォーキング」、「仲間づくりにより、地域コミュニティとの結びつきを回復」を掲げた。参加前に比較して、一人歩きの距離が伸びるなど日常生活での活動範囲が広がり、ウォーキングに参加することでの絆も深まるなど一定の成果が認められる。その一方で、地域コミュニティとの関係性が薄れてしまった方への訴求が届いていないなどの課題を残す。活動を地域に知らしめるため、公民館へのポスターの掲示、地域広報紙への掲載などを実施した。また、定期的に体験会を設定するなどをしたが、なかなか反応がないのが実情である。
(近隣団体の実情から導かれる課題)
近隣のノルディク団体では、元気なシニアが元気なうちは参加、体力が衰えると辞めて行く実情がある。
ノルディック・ウォーキングは、2本のポールを用いることで、子供から高齢者まで安全に取り組めるスポーツとされている。とは言え、ある程度の体力レベルを求められることも事実であり、低体力者や障害のある方などの受入を避けてきた側面がある。こうした方々は、家に閉じこもりがちになり、地域との接触も希薄になる傾向がある。現状の参加者は、互いにお友達関係にあり、低体力者であっても誘い合わせて参加している。このため、自ずと相互に支えられる関係が形成されており、低体力者であっても安心して参加できる状況にはある。しかしながら、系統だった運営体系は確立されておらず、高齢者の多い当会でも避けられない課題として認識している。
(継続して活動していく上での課題)
①特定のリーダーに依存せずに、活動できる態勢の充実。
少人数のリーダーでは、活動時の安全性を担保できる人数に限りがあるため。
また代表も高齢者であり、活動の持続性の観点からも複数のリーダー格の育成が課題。
②地域との接触が希薄となりがちな(低体力)高齢者へのアプローチ。
③スポーツ指導体系の多くは、健常者を対象としており、低体力者を対象としていない。
行政などの行う体操も動けることを参加要件としており、結果として低体力者を排除している。
このため、家に閉じこもりがちになりやすい低体力・高齢者の受入が困難。
④近隣に、安全・安心に活動できるルートが限られている。
具体的には、歩道の整備状況、途中で休息できる箇所、トイレやAEDの整備状況。
いつも同じルートだと飽きがくるので、バリエーションを確保したい。
今後の展開
ノルディック・ウォーキングは、2本のポールを用いることで体を安定させて取り組める運動として知られている。最近の脳科学によると、自身の動作を意識して行うことで脳の活動が活発化することが明らかになり、認知症予防にも効果があると期待されている。低体力者が安全に取り組める運動、認知症予防への効果が期待される一方、個々の指導者が経験的に取り組んでいる状況にあり、エビデンスの不足、体系立てされていないことは否めない。これには、各種分野の専門家との協働が必用であり、提携を模索している。
(活動を継続し、地域において必用とされる活動とするための当面の課題と対策)
①特定のリーダーに依存せずに、活動できる態勢の充実。
公的資格ではないが、指導者資格を持つ者を複数人確保することで、会の活動を安定化させる方針である。ゆくゆくは、それら有資格者が核となるグループとして広がることを目指したい。
②地域との接触が希薄となりがちな(低体力)高齢者へのアプローチ。
社会福祉協議会に属する団体との連携を深めることで、糸口を探りたい。
③スポーツ指導体系の多くは、健常者を対象としており、低体力者を対象としていない。
東京大学スポーツ先端科学連携研究機構では、健康寿命の延伸、障がい者のQOL向上などに取り組んでいる。その中で日常生活の中での体の動きの質QOM ( Quality of Motion ) が注目されており、その知見を指導体系に組み込むことにする。従来の筋トレなどと異なり、体への負荷も少ないことから、低体力者にも歩く以前のボディメイクに有効と考えられる。
④近隣に、安全・安心に活動できるルートが限られている。
当会が活動拠点とする三芳町は、東京近郊にも係わらず、ウォーキングに適した箇所が多数存在する。しかしながら、それらをつなぐルートが車優先となっており、安全・安心に活動するには課題が多い。具体的には、歩道の整備・休憩可能なベンチ、トイレ、AEDなどとなる。行政への要望は行うにしても、短期間での解決は望めそうもない。
それに変わるルートとして、沿線駅近の安全・安心街歩きルートを開拓している。既に試歩を行っているが、都内を含めると多数あり、活動拠点を広げることで対応したい。