「地域助け合い基金」助成先報告
NPO法人 マナビダネ
埼玉県入間市 ウェブサイト助成額
150,000円(2022/11/01)助成⾦の活⽤内容
不登校の親子支援をするための、地域の輪をつくるきっかけづくりとして「夢見る小学校」の上映をさせていただくことを考えています。
令和3年10月に文部科学省が発表した「令和2年度不登校の児童生徒数」は約20万人でしたが、この10月末に発表される「令和3年度の不登校の児童生徒数」はこの数を大きく上回る増加になることが予想されています。しかし、不登校の子どもたちが通えるフリースクールや居場所は、私たちが生活する埼玉西部には低学年を対象とした施設が一つだけでした。そこで、当法人では、コロナ禍により深刻化した「不登校」の児童生徒が学校外でも学べる場として、週2回のフリースクールを開催しています。2021年の初回開催から1年近くのプレ開催を経て、この9月から事業として活動を開始したばかりです。また、法人設立も2022年4月末のため、当法人と活動内容については、まだまだ周知不足であることを、日々感じています。そこで、市内および近隣市の方に当法人の活動や、行き場のない子どもたちがいることを知っていただくために、団体の発足を記念して教育に関する映画の上映会を開催することにしました。
上映したい映画は、「夢見る小学校」です。ユニークな教育を行う私立の学校法人「きのくに子どもの村学園」に密着したドキュメンタリー映画です。山梨県の「南アルプス子どもの村小学校」を中心に取り上げ、自己決定・個性化・探求学習という3つの原則を掲げる同学園の取り組みを掘り下げて紹介しています。
この映画の中には、当法人が目指している「体験学習」を通じて子どもたちの学ぶ力を引き出し、伸ばしていく教育がありました。また、そうした教育がどういった子どもを育んでいくのか、という教育の先にある未来の姿を見せてもらいました。
そこで、私たちは、この映画を地域の「教育」「子ども」「多様な学び」などにご興味のある方々と共に観ることをきっかけにして、上映後にいただく予定のアンケートをもとに、今後、「学校教育」や「子どもの生きる力」について一緒に考える機会をつくっていきたいと思っています。また、これを機に、地元の方たちとともに「学校外で育つ子どもの教育」について協力いただける関係を築いていく所存です。
活動報告
<どのような活動ができたのか>
不登校の親子支援をするための地域の輪をつくるきっかけづくりとして、文部科学省選定映画である「夢みる小学校」の上映会を開催することができました。映画公式HP https://www.dreaming-school.com/
この上映により本事業が目的としていた、「地域の方々になじみのない学校での学びの形を実際にみてもらうこと」が達成できました。そしてもう一つの目的である、「地域の団体や個人とのつながりをつくること」についても、映画終了後に各所で行うことができました。映画の感想を共有したり、子ども達に今求められている必要な学びとは何か?といった対話する機会が何度もありました。
また、上映後に実施したアンケート結果からは、地域の方の想いや、子どもの学ぶ環境についての今後の課題を把握ができました。頂戴したご感想は公開することができませんが、参加状況などについては、別紙にまとめました。
HP上でも簡単な報告をしています。 https://www.manabidane.org/post/report20230204
さらに、上映会をすることで得た資金で、学校訪問経験が豊富な臨床心理士による通常活動の指導と、フリースクール運営のためのコンサルティングを受けることもできました。
<すすめる上でわかったこと>
①スタッフの数と運営ノウハウと資金が不足しているという課題
当法人は2022年に発足したばかりの団体であり、保護者が必要に駆られて立ち上げた団体ということもあり、実働してみるとすぐに事業計画等の見積もりの甘さがみつかりました。通常業務外である当該事業の事務対応が難しさや、予想外の出費がいくつもありました。アンケートの集計等には時間がかかると予想していましたが、こちらも期限ギリギリまで時間をかけてしまいました。
②価値観の類似した人同士のつながりが大事だということ
当初の目標を大きく上回る方にご覧いただけました。本上映会は、地域で子ども関連の活動をしている有志の方々と「実行委員会」を立ち上げて開催しましたが、自団体の単体事業では、ここまでの集客はできなかったと思っています。参加された方の87%が、本上映会の開催をしてくれた実行委員との関わりがある方だと、チケット購入者記録やアンケート結果から推測できるためです(73%知人・友人、チラシ14%)。また、SNSなどを多用した広報を行っていく過程で、映画に感銘を受けた遠方の方(他県の方々等)による思わぬ手助けをしていただけました。
③いただいた感想から見えた地域や教育に対する問題意識
「印象に残ったシーンは?」という質問に対して、「「ここは自分でいられる所」と答えた女の子」という回答がいくつもありました。さらに、「日本の学校は総じて自分らしくいられない場所だと感じる」ということも多くの方が書いていました。
後日、「一人ひとりが、ありのままでいい」という大人が口にする言葉は、言葉だけで、実際の関わりでは大人の価値観で子どもたち評価して枠にはめようとしていたのかも…と気付いた、といった感想も何回か聞きました。「子どもたちが学校では自分らしくいられないと感じているのかもしれない」、これは日々の活動からも感じることが多いため、この視点は不登校問題に対応する上でとても大事だと思いました。
今後の展開
私たち「マナビダネ」は、保護者が始めた小さなフリースクールを運営する団体です。あっという間に大きくなってしまうわが子たちに、今、自分たちでできることをやってみようと活動をはじめました。
2023年春、法人発足から1年たちました。初年度は、志と熱意で事業を推進してきました。
学校に行かない選択をしている子どもたちのことを知るほどに、学校復帰以外の選択肢もあっていいし、行かない子どもたちの学び合いをする場が必要だと感じています。
そして、この1年間の活動を振り返ると、伴走したい子どもや保護者さんたちとのかかわりの中で「これがあったらいいのに」という気づきや、ノウハウやスキル・資金・人手不足などの具体的な課題もわかってきました。今後は、この具体的な課題解決のためにも、みなさまのご支援をいただけますよう、当方の活動へのご理解が賜れますよう情報発信していく所存です。
【子どもたちは未来の社会を支えていく存在】
不登校の子どもを学校復帰させないことについては、賛否両論あることは知っています。
私たちも、子ども本人が希望するならば、学校復帰ができるようお手伝いしていこうと思っています。
一方で、どうしても学校に馴染めない子どもたちもいます。発達課題を持つ子、人よりも繊細さが際立つ子など、学校にいっていることで自尊感情や自己信頼や著しく損なわれてしまう子どもたちも多数います。
現代は、少子化が加速する社会の中で、一人でも多く子どもたちが、納税者になっていくための支援はとても大事なことです。そのため、学校に馴染めない子どもたちが、学校以外の学びを通じて社会で力を発揮していけるな育ちができるよう、私たちは以下のミッションを遂行するために活動をしています。
【わたしたちのミッション】
体験から学び、考え、主体的に行動して、将来につながる学びの土台を育む
これを使命とし、「自分らしくいてもいい」という安心な環境の中で、異年齢の人との関わりや、さまざまな体験ができるような活動を週に2回行っています。
社会で通用する大人になるためには、まずは勉強をさせることが大事なのかもしれませんが、まずは、子ども自身が興味関心を持ったことから学びの芽を育てていく学び方が最も有益だと思っているからです。
当方に集う子どもたちは、『学校で求められる児童生徒としての振舞いが出来なかった子どもたち』とも言えます。そんな子たちにとって与えた課題をやらせる学習は、やる気低下や反発を招いてしまうのです。
また、令和5年度より、学習支援をメインにした居場所事業も週1回はじめることになりました。こちらは、芽生えた学びのタネや、高校や大学進学に向けた準備のために、そこのペースで学び直しができる場も必要だからです。
以上の活動をしている当方の理念に賛同いただけた方は、ぜひご支援ください。よろしくお願いします。
https://syncable.biz/associate/manabidane