「地域助け合い基金」助成先報告
ふぁみりーすまいる
奈良県奈良市助成額
150,000円(2022/10/13)助成⾦の活⽤内容
私たちは、アルコール依存症者からの暴言暴力を受けてきた経験があり、暴言暴力の辛さと、家族に対してどれほどの悪影響を及ぼすか、身をもって感じています。その思いから、今まさに暴言暴力で悩んでおられる家族の方が少し距離を置きたい時に、一時的にしのげる場所を提供していきたいと思っています。
アルコール依存症者からの暴言暴力は、依存症という病気がそうさせている場合が多く、依存症を治療し回復する事が大切で、離婚かシェルターかという答えを出す前に、一旦、家族が落ち着いて冷静な判断ができる場所が必要だと考えています。その為、アルコール問題に巻き込まれて、心身ともに傷ついて自分を見失っている家族に寄り添いながら、健康な心と笑顔を取り戻してもらう為に、一時的にしのげる場所を提供していきます。
その居場所となる場の提供を既に受けているが、築年数がかなり経過しており改修が必要となります。その改修費用を申請したい。そして改修後は居場所としてだけでなく、相談やミーティング等の活動の拠点としても活用したいと考えています。
本人も含め、依存症者家族は困っているにもかかわらず、自ら専門機関に相談に来ない傾向があります。
なので、悩める家族の紹介など、地域の支援者(地域包括支援センターや、社協、専門クリニック、行政、教育機関)とも連携をとって行き、悩む家族や当事者を見つけて頂き、私たちの団体に繋いで頂く。又、地域の支援者に対し依存症の理解をして頂く為に、支援者向けに研修やセミナー等を開催していきたい。
また、これを機に生活支援コーディネーターとの連携を図り、私たちの支援がより一層深まると考えています。
活動報告
アルコール依存症者を抱える家族は依存症者の言動により、いろいろな問題に巻き込まれていき、家族自身も病気になります。私たちは、その巻き込まれからの病気の回復をしていく為の、サポートをしていきたいと考え日々活動しています。家族の健康的な心と、笑顔を取り戻す為のプログラムや分かち合いの場を提供し、仲間と共に回復を目指しています。家族の相談を受けるなかで、暴言暴力がある案件があります。その為、一時的に距離を取れる居場所が必要になり、今回、無償でお借りできた借家の改修を行うにあたり、助成を受けました。
助成を受け、古くてボロボロだった畳の張替え、襖や網戸の張替え、最低限必要な備品の購入他、一時的にもくつろいでいただける部屋として改修する事ができました。実際、この半年間で3組のサポートを必要とする家族が使用されました。内、一組の家族については、警察より避難しなさいとの助言があった方を受け入れ、お話をお聞きしながら必要な助言等を行い、依存症者である夫とも冷静に話ができるようになり、専門病院に繋がる事ができました。
後、二組についても、依存症者と一時的に距離を置く事で冷静になる事ができ、また、経験している私たちが寄り添いを行っていく上で、今後の見通しを付ける事ができるようになってこられました。
この二組については、今現在もこの居場所を時々使って頂き、引き続きサポートさせて頂いております。
この助成の申請を受けるに当たり、生活支援コーディネーターという存在を知りえた事が、私たちの活動に大きな影響となりました。今回は、奈良市社会福祉協議会のコーディネーターとの連携を図るべく連絡をしましたが、私たちの活動範囲でもある、京都府木津川市の地域の支援者とも繋がりをと思うきっかけとなりました。その結果、今年度(令和5年度)5月より、木津川市の地域包括支援者センター加茂支所との共催で、「依存症相談窓口」の開設に至る事になりました。この取り組みは、全国的にも数少ない取り組みだと思います。切っ掛けを頂いた貴財団に感謝しております。
また、奈良市社会福祉協議会とも連携をとの事で話し合いができ、一度、利用希望者のご連絡を頂きました。今後も引き続き、依存症者を抱え悩まれている家族がいる場合、私たちに繋げて頂けるよう連携を図るとの話が出来ました。
今回の取り組みについての課題としては、やはりまだまだ依存症についての深い理解が支援者に伝わっていないと感じていますので、支援者に向けた依存症の啓発をもっと進めて行きたいと考えています。
今後の展開
依存症は病気としての理解がない為未だに偏見が多く、その為、依存症者とその家族は治療に繋がりにくいという状況があります。周囲の理解がないと依存症者とその家族は孤立し、治療への道が閉ざされます。又、依存症者と一緒に生活をする家族は困っているにも関わらず、相談に繋がらないケースが多々あります。そこで、地域の支援者に依存症という病気について理解を深めて頂き、困っている依存症者やその家族を見つけて、私たちに繋げて頂きたいと願っています。その為の活動を進めていきたいと考え、今年度6月より、木津川市に於いて、月1回支援者のための勉強会を開く事に致しました。木津川市の方だけでなく、近隣の地域の支援者も参加可能です。どの地域の方でも参加可能としていますので、貴財団からの公開によって情報が広まっていく事を願っています。どうぞ、どなたでもご利用して頂ければと思います。
今後の目標としては、既存の活動を継続していく事と、より多くの支援者と繋がり連携を図っていけるよう、一層の努力をしていきたいと思っています。
依存症は進行性の病気であり、治療を受けなければ死に至る怖い病気です。又、本人だけでなく身近にいる家族も影響を受け家族を巻き込んでいく厄介な病気です。特に、お子さんへの影響は大きく、依存症者がいる家庭で育った子供が大人になり生きづらさを抱え、また、親と同じ依存症になるという世代連鎖が問題になっています。その世代連鎖をくい止めるのは、地域や教育機関など支援者の病気の理解とともに、どう関わっていくか?が課題になります。私たち経験者と一緒に支援体制を築いていけるような取り組みを考えて下さればと願っています。
困っておられる支援者の方もおられると思います。抱え込まないで、私たち経験者と一緒に、解決策を見つけて頂けると嬉しいです。依存症者の対応で悩まれている方、どうぞ、私たちにご連絡下さい。よろしくお願いいたします。