「地域助け合い基金」助成先報告
NPO法人 きょうせい大船渡
岩手県大船渡市助成額
150,000円(2022/11/25)助成⾦の活⽤内容
大船渡市を「住んでいる人々が孤立しないような地域」にするための様々な試み、取り組みを行っていきます。きょうせい大船渡は、「つながる」ことを大切にする「伴走型支援」を取り組みの軸に据えています。将来に向けた「住民の心のよりどころとなる居場所づくり」を行うこと、地域で孤立する恐れのある人や現に孤立している人たちに「つながり」を創り、「寂しいときや苦しいときに『助けて』と言える地域づくり」を目指しています。それと並行して、地域でゆるやかにつながってくださる方を増やしていきたいと考えています。
この助成金を活用する具体的な内容は、日常的に孤食の生活になっている方に会食する機会を提供し、特に高齢者の閉じこもり予防を目的とします。気軽に会話や相談ができる機会として、茶話会、体操教室、手芸教室などを定期的に開催しますが、参加の動機付けとして、お弁当やお料理作りなど、会食するだけでなく参加者が協働する楽しみの場を通じて、地域のつながりを育む機会としたいです。
活動報告
<助成金を活用して、どのような活動ができたのか>
助成金を活用して「お弁当」を購入、日常的に孤食の生活になっている方に会食する機会を提供し、高齢者の閉じこもり予防、気軽に会話や相談ができる機会としました。また、住民活動参加の動機付けとして活用しました。住民交流機会の再開、創出に向けた活動として、「緊急連絡カード(何かあったときの連絡先カード)」の作成会、手芸サロン、茶話会を実施する際、「お弁当」を配布しています。それ以前の活動への参加者の人数を上回る参加があっただけでなく、参加者から「今後も住民同士が顔を合わせる機会を設けたい」と望む声が上がり、今後、自律的な活動につながる十分な動機付けとなりました。
<すすめるうえでどのような苦労があったのか>
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、過去3年間は住民の交流場所である団地集会所の利用制限や活動自粛があり、住民間の交流が低迷、「つながり」が希薄になっていたところへの働きかけ。
コロナウイルス感染に対する不安感が強い地域が多く、場所によっては合意を得るまでに時間がかかりました。
<どのような人に対して、どのような取り組みができたのか>
住民活動が低迷している災害公営住宅の住民、市内に頼れる家族や親戚、知人がいない方や健康不安を抱える高齢独居の方たちを対象に、日常の楽しみの場としてだけでなく、心配事を話せる場、不安解消の場としての交流機会を提供でき、交流機会の開催を継続して行こうと考える住民の意識醸成につながっています。ある団地では、参加に消極的な住民に周囲の住民がかわるがわる何度も声かけをする状況があり、そのことにより参加者の増加が図られました。
<取り組む上で何が課題だったか>
①住民同士の顔を合わせる機会が激減していたことによる、不安や不満の蓄積があった。
②地域での交流機会がないために住民同士の支え合いや協働する活動が低迷していた。
③住民自治活動(自治会活動等)が不活性している地域があった。
<参加者の声や新たな協力者の状況、地域とのつながり>
参加者の声⇒「弁当を用意して集まる交流は良い。自分たちでお金を出し合ってでも続けて行きたい」
・「20年ぶりに開催される地元の祭りの話題で盛り上がった。とても楽しい時間だった」
・「久々に開催できた。今後も継続したい」
・地域によっては、民生委員が積極的に関わるきっかけになりました。
・生活支援コーディネーターの協力により、地域で活動する合唱サークルや健康体操活動をするグループの協力を得られる見通しがついています。今後の活動では、合唱を鑑賞するイベントや健康体操教室の開催など、地域にある市民活動と協働していく予定です。
今後の展開
助成金を活用した取り組みは、災害公営住宅において最終的に住民自治活動の活性化を視野に入れて取り組んでいます。新型コロナウイルス感染症の蔓延により、住民同士が互いに声を掛け合うようなコミュニティ環境が崩壊状態にありましたが、この活動で気付いたことは、顔を合わせる機会が減ることで、他者を心配する関係性が希薄化し、団地環境の困りごと等を話せる相手がいなくなることにより住民自治の基盤となる声を拾えない状況が生まれ、それが自治活動全般に不活性化を生じさせるということでした。顔を合わせる機会が増えていくことで、住民自身も自律的に考え、行動するようになって行くことをこの活動で確認でき、良かったと思います。最終的に目指すところは、自律的な住民自治の再生です。先ずは、ひとりでも多く地域での参加機会が得られるよう、段階的に進めて行きたいと思います。