「地域助け合い基金」助成先報告
パソコンボランティアWing
大阪府堺市堺区 ウェブサイト助成額
150,000円(2022/08/18)助成⾦の活⽤内容
1. 高齢者の健康寿命延伸と居場所づくり、見守り活用のためのiPadを使った脳トレ事業
・iPadを毎回受講者に貸し出ししています。
・iPadにさわること、新しことを覚えようとすること自体が脳トレになります。
・新しいことに挑戦したくなるような暮らしに役立つ楽しいiPadの活用を提案し取り組む
・認知症予防に役立つ脳トレ・音楽・絵画、SNSなど今まで興味はあってもやってみたことがない、1人で挑戦するには難しかったことなど高齢者の趣味や生きがいにつながるような分野にiPadを使って楽しく挑戦
・認知症の家族にも役立つ回想法を実施
・回想法やiPadでの取り組みを通して仲間と楽しくおしゃべりしながら集える場づくり
スマートフォンが高齢者にもだいぶ普及しましたが、大きな画面のiPadの方が見やすい、操作しやすいと高齢者にも人気の機器だと実感します。2014年より堺市で8年目、大阪市大正区で4年目の事業を今後も継続するために、新しいiPadが必要です。iPadの脳トレ事業を主催していただく新たな団体、老人センターや介護サービス事業者なども新規iPad導入を機に開拓していきます。
2.iPadでの子どもプログラミング事業
主に発達障害のある小中学生にパソコンを使ってプログラミングだけではなく、パソコンの基本、Word・Excelの基本・プレゼン・動画作りなどを教室として事業を行っています。
小中学校で使用しているGIGA端末はタッチ操作のできるタブレットPCやiPadが主流です。
鉛筆で書く、文字を読む、計算などが苦手で学校の学習についていくことが難しい子どもたちには、音声での機器操作、読み上げ機能などはパソコンよりiPadの方が手軽に使えます。iPadを上手に使うことで学習への意欲も上がります。また、自分の気持ちをうまく伝えられない、気持ちの切り替えがうまくできないなどの子どもたちを支援するSST(ソーシャルスキルトレーニング)アプリもiPadにはたくさんあります。パソコンだけでは支援しにくいことがiPadでは実現できるので、保護者ともiPadを上手に使う情報を共有しながら子どもたちの可能性を広げていきます。
活動報告
iPad脳トレ授業では、スマートフォンも利用したことのない高齢者でも大きな画面なので、タッチ操作しやすく、脳トレゲームだけでなく、昔のことや写真をネット検索したり、Siriでいろいろ質問・検索したり、写真に文字をいれたり、GarageBandでギターやドラムなど様々な楽器で音楽を演奏したりと、楽しむことができました。
今までバージョンの古いiPadを使っており使えない機能など制限が多かったのですが、新しいiPadでは、これまで使えないアプリや機能が使えるようになり、より初心者にやさしく、使いやすくなり初心者でも混乱することなく、楽しく使えるようになりました。
リピーターも増える中、これまでデジタル機器の利用をためらっていた高齢者も、スマホは画面が小さくてしんどいけれど、「これなら一人で使えそう!購入したい!」と前向きな感想をいただくことができました。また、ご主人が軽度認知障がいと診断されていた方もぜひ夫婦で脳トレや昔の思い出を語りたいと、購入を希望されるなど、デジタル機器への意欲がみられるようになりました。
大正区老人福祉センターでは、毎回iPad脳トレ教室がキャンセル待ちとなり、本教室を通して、初めて老人福祉センターを知った方も増え、老人福祉センターへの入会のきっかけにもなっていると職員様からうれしい感想をいただきました。
子どもプログラミング教室では、iPadを使ってコマドリ動画の撮影と動画編集を行いました。
iPadを三脚に固定しての動画撮影では、被写体の動きを撮影しては、何度も確認しながら、試行錯誤する子どもたちの姿がみられました。iPadでの操作は簡単なので、小学生中学年でも、基本操作を説明するだけで、アプリの機能も試行錯誤し、友だちと見つけた面白いワザを共有したりと楽しそうに編集まで行うことができました。パソコンでの動画編集に比べて直感的にボタンをタップしながら試行錯誤できたのが、とてもよかったです。完成した動画を全員で鑑賞しながら、お互いの良い点など意見交換し、全員から「動画編集が楽しかった!iPadでの動画撮影&編集をまたやりたい!」と感想を得られました。
発達障害の子どもたちの教室での様子の写真は添付できませんが、子どもたちが作成したコマドリ動画作品の一部のYouTubeの共有リンクを以下の通りご紹介いたします。
https://youtu.be/pphdVTU3LWA
https://youtu.be/amSp51-dFZs
https://youtu.be/bw14qXOvxbg
https://youtu.be/SgAkqAwCyoQ
今後の展開
iPadは大きな画面でスマートフォンの小さな画面に比べて視認性がすぐれていること、操作も単純なため初心者にやさしいデジタル機器です。
認知機能が衰えていく高齢者でも文字を拡大する機能や音読、音声操作の機能を上手に使えば、デジタル機器への苦手意識が薄れていきます。短期記憶が衰えていっても、代わりにデジタル機器に大事なことを覚えてもらい、次の行動を促してもらえます。
読み書き計算が難しい子どもたちもiPadなら読みたい物語も音読してくれますし、計算もしてくれます。子どもたちは検索スキルが高く、文字入力がおぼつかなくても、思いついたことや素朴な疑問をどんどん声で検索して調べていき、考えることに集中できるようになりました。算数の苦手な子どもは算数の難しい問題の解き方をネット検索して解き方も学べるようになります。
AIにより、読み書きそろばんはもう必須のスキルではなくなりました。それよりも読み書きそろばんをコンピュータに任せて、コンピュータを上手に扱い思考を広げたり深めたりしながら、困難な問題に対応できる人材が必要になります。
「デジタルウェルビーイング」コンピュータと上手な付き合い方がいま、子どもたちだけでなくスマートフォンやインターネットを利用するすべての世代に必要になりました。
障害を持つ子どもたち、認知機能が衰えていく高齢者など社会的弱者ほどデジタル機器を使いこなせるかどうかで生活の質が大きく変わると思います。
まだまだデジタル機器を敬遠される高齢者には、スマートフォンよりも大きいな画面で操作もよりやさしく安全に使えるiPadを利用することで、デジタル機器へのアレルギー反応を軽減していき、デジタル格差、情報格差の解消につなげていきたいと思います。
iPad利用をきっかけに、障害のある子どもたちも、高齢者もデジタル機器で人と人とのつながりを広げる、深めていくことができ、誰もが安心安全に暮らせる社会につながるようこれからも活動していきます。