「地域助け合い基金」助成先報告

 ごきんじょさん会

埼玉県所沢市 ウェブサイト
居場所配食・会食

助成額

150,000円2022/07/08

助成⾦の活⽤内容

乳幼児を子育て中の母子や妊娠中の女性を対象に、美味しいごはんを食べながらお喋りを楽しむ場の運営。子育て中の悩みを解消したり、子育ての楽しさを知ることで一人でも多くの人が安心して地域の中で子育てできるよう母親同士のネットワーク作りのお手伝いをしていく。また、母親達や子ども達の明るい笑顔や笑い声が多くある地域になるよう、地域のママたちとタッグを組んで行っていきたいと考える。育児相談、母乳マッサージ、母乳相談、ベビーマッサージ、おんぶや抱っこ法の指導なども行う予定である。
会場はスタッフ個人宅とし、実施にあたっては、所沢市社会福祉協議会の支援を受け、地域に開かれた活動を実施していく。
【事業名について】 名称は「まあかちい」とする。まるで里帰りをしたような、おばあちゃんの家にきたような安心できる場を提供する。将来的には、近隣の子育て中の母子だけでなく学童期の子どもたち、地域の方々へも開かれた場にもなるよう、あえて「何をやる場なんだろう?」と思ってもらえるような名称とし、参加者のみなさんそれぞれに親しんでいただく。
【対象者】1歳のお誕生日くらいまでの乳児とその母親、妊娠期の女性、妊娠を考えている女性

活動報告

いただいた助成金を活用し、2022年5月から所沢市近辺に居住する妊娠中の女性や乳幼児を子育て中の女性を対象に、一緒に美味しいご飯を食べながら身体を休め、おしゃべりを楽しむ子育てサロン「まあかちい」を毎月一回(8・11・3月を除く)開催することができた。参加者には参加費500円(ワンコイン)を負担してもらうが、母親の目の届くところで運営スタッフに子どものお世話を任せてゆっくりと食事をしてもらい、参加者同士で子育ての悩みを共有したり、情報交換をしてもらうことができた。これ以外にも、助産師であるスタッフが、希望する参加者に足浴やマッサージなどを施し、心身ともにリラックスできるような雰囲気作りを心掛けた。育児相談、母乳マッサージ、母乳相談、ベビーマッサージ、トイレトレーニングなどの個別の相談に対するアドバイスも行ったが、なかでもベビーウェアリングコンシェルジュを招いての抱っこやおんぶのミニ講習会では、おんぶ紐や抱っこ紐などを各種用意し、実際に母親らに実践してもらうなど、それぞれの親子にとって快適で安全な技術の指導を行い、好評を得た。
 
本活動のねらいは、子育て中の母親らが抱える悩みを解消したり、子育ての楽しさを知ってもらい、一人でも多くの人が安心して地域で子育てできるよう母親同士のネットワークづくりのお手伝いをすることである。ほとんどの参加者が「まあかちい」の場で初めて会ったという方ばかりであったが、回を重ね、参加者同士が何度か顔を合わせるうちに、子育て以外の話ができるほどに打ち解けた雰囲気となっている。
リピーター参加者が増えつつあるが、これは本財団の助成金によって参加者の自己負担を500円とし、敷居を低くすることができたおかげでもある。

【どのような人に対して、どのような取り組みができたのか】
- 所沢市保健医療センターの保健師らに活動内容を説明し、センター内にポスターを掲示してもらったり、新生児訪問の際にチラシを渡してもらうなどして、支援が必要と思われる親への活動の周知を図った。その際、本団体のスタッフには助産師がいることを伝え、気軽に悩み相談ができるような声掛けをお願いした。実際に参加者の中には保健センターや支援センターでチラシを見て申し込んだという方もいて、乳幼児を抱える母親や妊娠中の女性にとって、母子の健康に関する専門家である助産師がいることの安心感は大きいものであることがうかがわれた。
- 妊娠中の女性や子育て中の女性以外に、赤ちゃんや子どもをメインに撮影する出張カメラマン、当地域で自然食の料理教室を主催している方、ファミリーサポートの援助会員、他の自治体で助産師として活動している方などの参加者もいた。サロン会場の親しみやすい環境とあたたかい雰囲気に癒され、子育て中の親子を軸とした繋がりができたことを喜ぶ声が聞かれた。本活動を通じて、母親達や子どもたちの明るい笑顔や笑い声が溢れる地域作りと、地域の方々にも開かれた居場所作りの一歩を踏み出せたと考えている。

【取り組むうえでの課題】
- 安全面及び衛生面を重視する上で、サロン開催時のボランティアスタッフの確保が急務である。
- 会場が個人宅であるため参加者には駐車場がないことを事前に伝えてはいるが、遠方から電車を乗り継いで来る方や上の子を連れての参加者も多いため、駐車場の確保の必要性を痛感している。

【参加者の声や新たな協力者の状況】
- 参加者のなかには育児休暇中の方や希望する保育所に入れず「保活」に励んでいる方など、復職を目前に控え不安を抱えている人もいたが、参加者同士で悩みを共有できたことで「不安が払拭された」と話す人や「何かあれば相談させてください」という声が聞かれた。復職後にも時間が合えば是非参加したいと話す方もいて、「いつでもおいで」と言えるよう継続的なサロン運営に向けて今後も尽力したい。
- 所沢市社会福祉協議会のCSWの協力により、所沢市こどもと福祉の未来館にチラシを置かせてもらい、LINEとメールで開催情報を発信して頂いた。それらを通じて参加申し込みをされた方もいて、当地域だけでなく所沢市全域に「ごきんじょさん会」の活動が認知されつつあることを実感している。
- 当地域を担当する生活コーディネーターが、包括支援センター職員や実習生を伴って何度か様子を見に来てくださり、その際、活動の報告や困りごとを聞いてくれて心強く感じた。また、生活コーディネーターから紹介を受けたという当地域の民生委員から、次年度以降、サロン開催時のサポートの申し出があった。今後、地域に開かれた活動を展開していく上でサポーターの存在を心強く感じている。

今後の展開

「ごきんじょさん会」は、助産師3名と思春期保健相談士の資格を持つ産育研究者1名でタッグを組み、乳幼児を子育て中の母親や妊娠中の女性が気軽に立ち寄れる居場所づくりを目指して2022年4月に立ち上げた団体である。その名称には「ご近所さん」と「助産」、そして「産地(地域)」に根付いた活動を展開したいという願いが込められている。子育てサロンの名称である「まあかちい」はスタッフの名前の頭文字を並べたものであるが、あえて「何をやる場なんだろう?」と思ってもらえるようなネーミングにしている。

出産や子育ての悩みは医療機関などの専門施設に足を運んで相談しなければならないという印象を持たれがちだが、本団体では悩みの有無に関わらず気軽に立ち寄れて、美味しくて暖かいご飯を食べながらおしゃべりを楽しんでもらえるような場の運営を目指し、開催してきた。今後も毎月一回(10時半~14時半)の活動を継続し、子育て中の親子が地域で安心して暮らすための「居場所」であり続けたいと考えている。その点、サロン開催場所が運営スタッフの個人宅であるため、安全面の配慮(家具の配置変換など)や四季折々のイベントデコレーションなどが可能となり、臨機応変に対応することができた。事前申込制ではあるが、飛び入り参加も受け入れているので、看板を見た散歩中の親子が「何をやっているんだろう?」とのぞきにきて、チラシを渡して次月の参加につながったというケースもある。
 
本団体は設立当初より、将来的には地域の中で多世代が交流できるような通いの場を作ること目指している。
例えば、学童期の子どもたちが学校帰りに立ち寄ったり、その子たちの見守り隊として地域の高齢者の方が気軽に足を運んでもらえるような「居場所」でありたいと考えている。また、「ごきんじょさん会」スタッフには助産師や思春期保健相談士がいるので、思春期の若者が心身の悩みを気軽に相談できたり、ライフステージに沿った「性や生殖」の話題について本音で話ができるような場としても展開可能である。(※実際に、参加者と「性教育」をテーマにしたかるた遊びを行ったり、昨今のおしゃれで可愛い生理用品を紹介する回もあった)。
なお、市内にある看護専門学校生の実習先として、次年度開催時の受け入れ依頼もあった。人々のライフサイクルやセクシャリティが大きく変化する現代において、次世代育成の観点のみならず、多世代を繋ぐ場としての役割を果たすためにも、助産師を中心とする本団体の今後の活動に期待していただきたい。

人材面や活動資金の確保など、今後に向けての課題も多くあるものの、活動初年度で本助成金を活用できたことは、次年度以降の活動の基盤を固める上でも有難いことであったと感謝している。本団体の活動期間はまだ浅いが、2022年度の安定的な運営によってリピーター参加者も増えつつあるので、今後は参加者のニーズに応じて各種イベントの企画も検討しつつ、地域に開かれた活動を展開していきたい。そのためにも、われわれ「ごきんじょさん会」が、地域の現場を知る方々や組織・団体とつながっていくことが重要であると考えている。今後、地域に根差した取り組みを展開していく上で、特に災害時やパンデミック時など公的な支援がすぐには行き届かない段階での本団体が担うべき役割を、「ミクロ」の視点と「メゾ・マクロ」の視点からあわせて考えていきたい。

添付資料