「地域助け合い基金」助成先報告

 焼津福祉文化共創研究会

静岡県焼津市 ウェブサイト
居場所見守り生活支援その他

助成額

150,000円2022/06/16

助成⾦の活⽤内容

1,事業の目的
今日、地域コミュニティへの参画の希薄化とともに、家族機能やご近所の支え合いは、制度や施策等公助ありきの意図的支援が当たり前な社会環境になりつつある。
加えて、長引く、厳しいコロナ禍下、ますます、地域コミュニティのつながりがなくなり、ご近所の支え合いの希薄さが一層浮き彫りになっている。
こうした制約された地域環境の中で、生活している高齢者自身の現状や、地域社会の共助の実情を検証し、コロナ明けの地域社会をどのように望んでいるかを管内生活者の立場から把握し、高齢者の社会的孤立を防ぐとともに、高齢者等の積極的な地域参加を促し、これからの望ましい地域環境づくりを問い、地域ぐるみの支え合いにより、地縁団体への提言とともに、世代を超えた地域住民に対して、地域共生社会づくりの積極的な働きかけをする目的で取り組む。

2,事業の内容
(1)「ホッとする、安心した地域づくりその意識と実態調査」の実施
[調査の目的]
地域住民相互のつながりや支え合いが弱くなり、地域コミュニティへの関わりについて、その意識と実態が希薄化の傾向にあることが浮き彫りになった。さらに、長引く厳しいコロナ禍下、尊い地域コミュニティの希薄化による「共助」「自助」が衰退傾向にある地域環境の中で、管内に暮らす高齢者の現状を把握するとともに、コロナ明けに期待する地域(ご近所)の支え合いの仕組みづくりについて地域社会が果たすべき課題を提言することを目的に実施する。
[調査対象]
「港地域づくり推進会」管内(港第14・23自治会)の65歳以上の高齢者約200名の調査票回収を目標に実施(計350枚)
[報告など]公開型報告研修会、関係機関・団体等の各種研修会で実施。本会通信で経過報告及び考察概要紹介
(2)「調査研究部会(地域共生社会研究部会)」の設置
(3)「ホッとする、安心した地域づくりその意識と実態調査報告書」の作成
(4)「公開型研修会:地域共生社会を語る」の開催
本事業の総括として、2月下旬に「調査報告書」をもとに、「事業経過報告」「事業成果」「調査から見えたものはなにか」「住民主体の地域づくりを語る」をプログラムとして開催する。
(5)「協働団体との意見交換会」の開催
(6)「ご近所福祉を創る集い」の開催
(7)「ホッとする、安心した地域づくり」に向けた広報啓発
本事業の取り組みの経過を広く管内外の関係機関・団体及び市民に報告するため、本会通信により広報啓発する。本事業の意義を管内外に啓発するため、マスコミ各社にその都度情報提供をする。
本会のブログに事業の詳細をその都度アップし、課題提起をする。
「調査報告書」を作成し、菅内外の関係団体等の研修会において報告の機会を持つ。(静岡県コミュニティづくり推進協議会主催「コミュティカレッジ」「民生委員児童委員協議会研修会」「社会教育研修会」等)

活動報告

1,地域共生社会をめざす仕組み検証事業
「テーマ:高齢者とともに、地域共生社会を拓く・ホッとする地域づくりは誰が担うか」
厳しいコロナ禍で、ご近所のささえあいは更に希薄化し、家族機能も、特に情緒安定的機能が無くなり、社会環境は「公助」で成り立ち、「共助」が薄れているという意見が、本会の議論の中で見られた。
昨年度、本会は「子どもから大人社会への提言」として「福祉ってなに?244名の子どもたちに聞きました調査」に取り組み、今年度は会員の他、管内の地縁組織(自治会・町内会)と志縁組織(老人クラブ・民生委員児童委員協議会)地域実践者等との「協働」により、超高齢社会の地域社会で生活している高齢者自身の現状や、地域社会の共助の実情を把握し検証した。コロナ明けの地域社会をどのように望んでいるかを管内の高齢者に意見を求め、併せて社会的孤立を防ぐとともに、高齢者等の積極的な地域参加を促す機会を持つことが出来た。
これからの望ましい地域環境づくりを問い、地域ぐるみの支え合いにより、世代を超えた地域共生社会づくりの在り方を「地域総合型学習会」を開催して検証出来た。

2、具体的な事業の内容と参加実績
(1)「ホッとする、安心した地域づくりその意識と実態調査」の実施
地域コミュニティへの意識と実態が薄れていることが浮き彫りになった。加えて長引く厳しいコロナ禍で「共助」「自助」がますます退行傾向にある。
こうした社会環境の中で暮らす、管内の高齢者の現状を把握して、コロナ明けの地域(ご近所)のささえあいの仕組みづくりを問い質し、地域社会が果たす課題をまとめ、広く管内の住民に提言することを目的に実施した。
■管内の高齢者315名から回答いただいた。
■調査実施協力者:管内のさわやかクラブ(老人クラブ)役員20名、民生委員児童委員24名、自治会・町内会・組長役員36名、学校関係者2名、福祉施設連絡会(介護事業所13名 計95名)

(2)「地域共生社会・調査研究部会」の設置・開催
■開催回数:10回 
■参加者:本活動に関心のある管内外市民(延べ50名)

(3)「ホッとする、安心した地域づくりその意識と実態調査報告書」の作成(集計・考察・編集)と配布
■関わった方々:延べ10名
■調査報告書配布先:志縁団体(自治会・町内会・組長等役員)・協働団体(民生委員児童委員・さわやかクラブ)・日本福祉文化学会・焼津市役所(地域福祉課・地域包括ケア推進課・広報課・市長)静岡県及び焼津市社会福祉協議会及び焼津市Ⅴ連絡協議会・静岡県関係行政機関(地域福祉課・長寿政策課)・静岡県コミュニティづくり推進協議会・研修会参加者・焼津警察署(管内交番)計200冊

(4)「協働団体との意見交換会」の開催 延べ8回(138名)
本事業を円滑に取り組むために、事業実施期間中「さわやかクラブ(老人クラブ)定例会」(2回)、「自治会関係会議」(3回)、「地区民生委員児童委員協議会会議」(3回)に出向き、「ご近所の支え合い」をテーマに意見交換をした。

(5)「公開型研修会:地域共生社会を語る集い」の開催(参加者41名)
「調査報告書」をもとに、「事業経過報告」「事業成果」「調査から見えたものはなにか」「住民主体の地域づくりを語る」「実践事例に学ぶ」(外部講師)をプログラムとして、2月18日開催した。

(6)「ご近所福祉を創る集い」の開催(参加者延べ100名)
事業実施期間中に、3回(7月、11月、2月)に協働団体(静岡福祉文化を考える会)との連携で、若者とともに制作した「若者発 ご近所福祉かるた」を活用して、地域の支え合いを小学生から大人までが参加して、地域サロン会場中心に地域総合型、実践的体験的学習に取り組んだ。

(7)「ホッとする、安心した地域づくり」に向けた広報啓発
本開通品(毎月150部発行)や、本会ブログを開設し、本事業の実施状況を中心に関係方面に発信。

今後の展開

【調査から浮き彫りにした問題提起】
(1)本調査の意義を管内住民に働きかけることが出来た。また、本会会員が高齢者と向き合う調査で「地域共生社会」を学び合い、高齢者に寄り添い、管内団体等との「協働」で地域づくりの問題提起が出来た。
「地域共生社会」を管内住民に対して、「参加する福祉」「創る福祉」を働きかけることが出来た。
このたびの調査で地域福祉を「見える化」し、市民とともに共有することが出来た。
(2)高齢者(管内の高齢者315名の回答)の生活状況、家庭・家族、地域(意識と実態)、地域参加、地域環境から管内の住民に下記の具体的な問題提起とともに、本会の今後の活動につなぐことが出来た。
①長引く厳しいコロナ禍における、高齢者の約40%は「ゆとりがない」の回答である。
②女性よりも男性の生活上の不安要素が伺える。今日では複雑多様化した地域社会における公的支援体制が確立しているため、段階的には公的機関の利用に移行しているが、身近な生活圏域で、自ら問題解決できる地域環境を地域社会で構築していくことが望まれる。
③地域社会とつながる高齢者の日常生活の福祉情報発信は、「家庭・家族機能」「友人による情報源」に、新たに「スマホ・パソコン」の取り組みと従来の回覧板の維持・継続の課題がある。
④家庭・家族の機能は、情緒安定・生活の場(環境)としての「休憩安らぎの場」「家族の団らんの場」、人をつなぐ「家族の絆を強める場」等が中心となっていることがわかった。
⑤「子どもとの同居」は、親と子どもそれぞれの自立、親子関係等、核家族化が進む今日において、改めて多面的にかんがえていくこと。男性は、同居を望む傾向が強い。
⑥男性よりも女性は積極的に健康・生きがいを求めた地域参加活動があり、男性の地域参加促進を積極的に考える課題がある。
⑦「地域の人々との交流は大切である」意識と実態は前向きで、特に、単身世帯では強く感じられる。
⑧「地域のコミュニティの考え方」について「潤いのある生活を営む上で非常に重要な役割を持つ」が約5割とこれからの地域コミュニティに期待する高い回答。
⑨高齢者の社会的環境の検証を「時代性」、「地域性」、「文化性」、「個別性」から考察すると、「家族」(家族との和やかなひと時・子どもたちの元気な姿)が一番多い回答で、次に「仲間」(健康・スポーツ・レクリエーション活動・趣味仲間との活動)、ご近所(近所同士の交流)、コミュニティ活動(町内会活動・地域のお祭り・自治会活動(行事)・高齢者との交流(居場所)・サロン・ミニデイサービス等)。
⑩呼びかけがあれば地域参加する意向があることから、具体的な地域の活動内容を提示し、高齢者の積極的な社会参加を促し、地域をトータルにコーディネートできる人材が求められる。
⑪在宅生活を維持していくために日頃から、家庭・家族を基盤とし、身近な生活圏域で高齢者を取り巻く生活課題は公助依存せず、日頃から身近な地域で解決することを心掛ける。
⑫地域ぐるみの見守り活動の支援体制は、ごく一部の関係者の範囲内での活動にとどまらず、世代を超えて地域全体への広がりに向けて働きかける。
⑬住み慣れた身近な生活圏域の「ご近所」で暮らしていくために「ご近所のささえあい」「身近な人の見守りと助言体制」「コミュニティ組織体制の確立」「身近なところでの居場所の開設」と「ご近所福祉」そのものに心掛ける。「専門性と市民性の融合」の視点で「相談体制や情報提供の充実」が挙げられている。
⑭「“有償サービス”支援の利用」は「説明を聞いた上で前向きに考えたい」約60%の回答。
⑮これからの「居場所」は、住民の真の自立につなげる仕組みづくりを考えていくこと。

添付資料