「地域助け合い基金」助成先報告
こども夢くらぶ
大阪府堺市助成額
150,000円(2022/03/14)助成⾦の活⽤内容
こどもたちに学ぶことの楽しさ、遊ぶことの楽しさをしっかりと身に着けてほしいと考えています。そのためにいま考えていることは、絵本を通じた学びをすすめていきたいです。絵本を置く書庫を確保し、地域の人たちにも利用できるようになればと、高齢者がこどもに読み聞かせをしていただける時間を確保したいです。また元教員などの高齢者に協力いただいて創造の場にして絵画や折り紙やなどに取り組める時間を創りたいと考えています。さらに府立大学の学生さんのクラブの人たちの協力を得て音楽鑑賞などの時間をつくりたいと考えています。しかし、こうした取り組みをすすめるにも空間的な狭隘が問題となります。現在のURのテナントは8つあるうち5つは空テナントのままです。その空間を活用できるようにしていきたいのです。
活動報告
地域の高齢者の年金者組合とNPOワーカーズコープしらさぎ夢テラスとこども夢くらぶの3者がコラボして、2022年7月23日に地域の活動団体に地域活性化協議会の立ち上げをめざして呼びかけたところ、大阪公立大学ボランティアセンターとUR白鷺団地自治会が参加し準備会を結成。ひとつは南海高野線白鷺駅前などの商店街などを中心とする組織の(府道310号線沿い)「310商友会」とともにイベントを模索することになりましたが、コロナ禍で計画を断念して継続課題となりました。ふたつめには移動図書館=公共交通不便地域~半径300m―500mから外れる地域が白鷺です。車椅子の単独での移動は困難であるので、堺市当局に要望しました。ただ、コロナ禍でイベントができないので、活動組織のあり方NPO化など検討課題となっています。
私たちこども夢くらぶは、向かいにあるUR白鷺団地の集会所に調理室の設置を求めていましたが(昨年4月から10月まで工事)、それが完成し毎週コミュニティサロンとして利用できるようにUR都市公団から11月供用開始となりました。その結果、第2第4土曜日のこども食堂の活動は無償利用になりましたが、前日の利用はできないとのことのため、こども食堂の前日にこども食堂の下準備調理については、しらさぎ夢テラスの2階の狭い調理室でして、こども食堂の当日には下準備した料理や食器などを運んでいます。しかし、そのことで地域の人も含めて利用できるので、これからがイベントなどを開催しながら取り組みをすすめたいと考えています。また、他の土曜日についても、地域の人が誰でも利用できる喫茶店を営業しています。こども食堂の継続的な活動により地域での認知度は高まりました。校区の福祉委員会のニュースに幾度も活動紹介をしていただいています。ただ、こども食堂に対して、貧困世帯が利用するところというイメージがあるのか、小学校の門前での宣伝チラシ配布をしていても、「これはうちとは関係ない」というこどもの声もありました。校区のこどもなら誰でも利用できるように働きかけを強めたいと思っています。この社会的分断の克服はどうしても必要ですが、これには特に教育行政の協力が必要だと考えています。私たちは毎年4月に学校に対して協力要請を行っていますが、ご理解のある学校などでは校長先生が自らこども食堂に来て、ご理解をされている小学校もありますが、まだまだ少数です。どうしてもこどものなかでの社会的分断を克服することが、共生社会を実現するためにも必要だと考えています。それでもこども食堂に対する認識は広まっており、堺市東区で最初にはじめたこども食堂が私たちですが、今では東区に10カ所になっています。社会的分断は徐々に解消されることを願って粘り強くすすめていきます。
私たちは地域のこどもが未来を担う役割を果たすために、その成長を願っています。その点では、文化的な環境が大きいと考えています。多様で豊かな体験をこども時代にすることが必要だと思います。ですから、昨年10月22日のこども食堂の日に、バスをチャーターして、隣町の大阪いずみ市民生協の食ミュージアムに行き、食文化の学習などを深め、その後、堺音楽祭が大仙公園で開催されていたので、そこに参加してきました。参加者からは「どんぐり拾いが楽しかった」とか、「みんなでバスに乗って行けて楽しかった」とか、とても好評でいい体験ができたと、保護者も含めたアンケートでは感想としてありました。こども時代は幅広く文化に恵まれることが、こどもの未来を創ると思います。この経験は、きっとこどもたちの自己肯定感を高め、意欲をもって行動する人間に成長していくことにつながると思います。また、絵本の読み聞かせなども含めて、こどもの感性を育てることが社会のなかで豊かにくらすことを学んでくれると思っています。コミュニティサロンは、まだまだ認知度は低いですが、URの集会所の職員さんなども好評で、気軽に地域の人が、安く100円コーヒーなどを楽しめる場所として広がりをみせています。若いママさんがこどもと一緒に来てくれています。もう少し、地域の人が多く訪れる場所になるようにしたいと思っています。さらに最近のことですが、同じ東区の農家さんから野菜などの無償提供の申し出があり、こども食堂の料理に提供できることは、まことにありがたいことだと思っています。
今後の展開
地域では、祭りや餅つきが以前は取り組まれていました。しかし、少子高齢化のなかでそのような地域の姿は消失して10年以上なっています。それを復活していくことが、地域活性化の仕事のひとつではないかと考えています。また同時に地域通貨を考えてみたいと思っています。やはり経済の地域内循環は地域通貨で可能ではないかと考えています。こうした取り組みについては、地域の活動部隊=プラットホームが必要であり、そのためには中断している地域活性化協議会を再スタートさせていきたいです。こうしたことで、地域の人びとがつながり、そこで互酬性が深まることで、こどもたちだけでなく、すべての人にとっても地域活動が生き生きとしたものになっていくと考えています。こどものなかでの貧困による社会的分断を乗り越えるためには、文化の力が必要です。そのことが地域の人びとがつながり、地域の活性化につながると考えています。地域にはたくさんの高齢者が社会参加できることも求められています。そのための場づくりとして、こどもと高齢者が安心して過ごせる場づくりを、多様に展開できればと思っています。そしてそのことは若い世代にとって魅力ある地域づくりとなり、子育てしやすい地域として認知されることになり、人口減少問題は解決すると考えます。
めざすは誰もが住みよい地域と認識できるようにすすめることが、結局は地域共生社会を実現することになると思います。現代は、個人個人が孤立・分断されている状態ですが、孤独・孤立の克服が社会に求められているのです。その点で、地道に場づくりから取り組んでいくことが必要だと思います。商品に溢れ、一見豊かに見える現代社会ですが、心の豊かさを犠牲にしているのではないかと思うのです。スカラー思考ではなく、ベクトル思考で物を見ることが必要ではないでしょうか、そしてお互いに共感しあうことができる社会の実現に向かってだれでも歩めることが必要だと思っています。
こども食堂の活動のなかで、こどもの意欲に触れ、こどもの「みんなと楽しくあそびたい」「しっかり勉強したい」「みんなとおいしく食事をしたい」という意欲に圧倒されている私たちですが、その意欲に応えられる活動を地域で展開していきたいと思います。つまり、こどもの意欲が私たちの元気の源であり、社会の元気の源になると思います。こどもの意見表明はいかに大事かは、最近の制服の規則などをめぐって学校でのこどもが活躍している取り組みは教訓的です。社会の誰もが主人公になれる社会は、めざすべき社会だと思います。そのことは、誰一人とりのこさない=SDGs宣言都市・堺市の責務でもあると考えます。