「地域助け合い基金」助成先報告
アイデナルボランティアサロン
大分県別府市 ウェブサイト助成額
150,000円(2022/01/12)助成⾦の活⽤内容
2021年2月より大分県別府市でハスノハ子ども食堂・地域食堂を毎日運営してきた。約10ヶ月の利用者数は延べ1000名を超えた。ヤングケアラーの中学生、保護者の体調不良や入退院などの問題から食事を持てない日の続く小学生の兄弟、コロナ禍の孤立も重なり著しく体調を崩していく独居高齢者など、「食」や「学習支援」や「居場所」の継続的なニーズが十数件あった。自治体の福祉行政とも情報共有は行っているものの、直接的な補助の決定には、時間を要している案件もあり、子どもたちの歩いてくることのできない困窮子育て世帯に対しても開店当初は予定していなかった、「子ども用無料弁当の宅配」を2021年10月より始めた。
夕食分の弁当と翌朝食分のおにぎりを現在は4~6名分を宅配している。食材費の他、宅配用の容器や配送費などの費用も重なり、運営は厳しいものとなってきている現状があるため、助成金で不足分を補っていきたい。また、引き続き、福祉行政にも働きかけていきたいと考えている。
活動報告
当団体は、地元の有機野菜を中心とした食事を提供する「ハスノハ子ども食堂」を毎日無料で運営している(平日16:00~18:00,土・日・祝日12:00~18:00)。
開設した2021年2月より2023年1月末までの利用者数は、延べ5000人にのぼる。ソーシャルワーカーや学校等から当団体の子ども食堂に自分で通って来ることのできない校区外のひとり親家庭や生活困窮家庭、保護者の病気等で支援が必要な家庭等の子どもたちへの食支援を依頼され、弁当宅配を行うようになった。
福祉に繋がることを望まない困りごとを抱えた保護者も無料の弁当宅配は、すぐに受け入れてくれ、そこから各関係機関と情報共有しながら支援を行うことができ、「食」からのアプローチは、とても有効的だと感じた。
毎日のお弁当のメニューは、地域の旬の野菜や食材で、できるものを、できる限り手づくりで、作っている。困難の種類もさまざまで、次から次に厳しい案件に出会う毎日だった。例えば、ソーシャルワーカーからのひとり親家庭の保護者がコロナに感染し、食支援が必要という緊急案件依頼にも対応してきた。このような、行政などの支援をすぐに受けることのできない狭間の困りごとを抱えた家庭の支援は、これからも重要になってくると思われ、またその現状を行政や各関係機関と共有し、しくみを改善していく必要があると感じる。
大人たちが、我がごととして本気で手足や頭を動かせば、政治が気付き、行政が動きをかえ、社会がよりよく変わっていくか、よりよく戻っていくのではないか。そう信じながら、子どもたちが身や心を痛めながらも、私たち大人を導いてくれる道に寄り添ってこれからも進んでいきたい。
今後の展開
私たち、ハスノハ子ども食堂は、2021年2月より、アイデナルボランティアサロンという、小さな任意団体として大分県別府市で、運営を開始致しました。
別府市は人口11万4千人ほどの温泉観光地です。コロナ禍で、国内の観光客だけでなく、かつては街を賑わしていた、アジアからのインバウンドの観光客が、80%以上も激減するなど、地域経済が疲弊する中で、困りを持つ家庭の、さらなる困難が予想されました。
何か直接的に、今すぐできることはないか!?と日々考えておりましたので、毎日、どんな子どもも無料で利用可能な、子ども食堂の開設を決断しました。
ハスノハ子ども食堂では、とにかく毎日開店、安心安全な食材で!をモットーに、二階建ての借家で運営しています。主な利用者は、地域の小学生、中学生、高校生、支援の必要な子どもたちとその保護者の方々、養護施設退所後の若者たち。また、それぞれの事情により、お弁当の宅配を必要とする家庭を含めると、2023年1月末の利用者数は延べ約5000人にのぼります。はじめは、家族や身近な仲間たち6名程度で活動していましたが、現在は別府市内外からの20人以上のボランティアに支えられて、子ども食堂を中心に、学習支援やさまざまな体験活動も行っております。野菜の切り出しや調理の補助、子どもたちの遊び相手、学習に困難を持つ子どもたちへのマンツーマンの学習支援、子ども食堂のお掃除や補修や工事、お弁当の宅配やお米の精米、会計事務など、それぞれが得意とする分野を、可能な時間だけ、協力して頂いています。
『おかえり』『ただいま』と、スタッフたちと声を交わしながら、今日一日の出来事を話したり聞いたりしながら、一緒に食卓を囲みます。誕生日や年末年始など、周りが華やかなときは特に寂しさを感じやすい場合もあるので、一緒にいつもよりちょっと手の込んだ、美味しい食事をつくります。遊びにだけに来る子どもたちもいます。コロナ蔓延時に、お友達の家を行き来することへの指導も学校から入っていたようで、居場所を無くした子どもたちのさまざまな問題やストレスは、子どもたちからたくさん聞かされました。
ハスノハ子ども食堂で出会う子どもたちや家庭との繋がりを深めるため、さまざまな体験活動も行っています。ハスノハ生きる教室、と題し、年に3~4回程度、山間部の農村に宿泊体験しながら、食物のルーツを知ること、地域の食文化や自然の大切さを五感で学ぶことを目的にしています。240年の農家の古民家に宿泊しながら、まわりの畑で取れた青大豆を釜で煮て、臼でひいて、布でこし、ニガリをいれて、青大豆豆腐を作ったりもしました。竈門の釜から、ご飯が炊ける匂いがしたり、薪のパチパチ燃える音がしたり、土間囲炉裏の煙や湯気で少し目が痛くなったりというような、そういう思い出をたくさん作ることも、とても大切にしたいと思っています。
子どもたちの、それぞれの人生の中で、何度か味わうであろう、心が冷たく固まってしまいそうな苦難のときに、思い出せる温かな記憶や、美味しい記憶は、必ず生きる力を呼び起こしてくれるはず、と信じています。
中高生のための、防災ボランティアクラブでは、何度も何度も繰り返し訓練しながら、身体に覚えさせる防災学習をしています。これは、3.11の東北の震災後に、現地で子ども支援を行なっていた約5年間の活動をする中で、代表の渡邊が痛感した、もっとも重要な学びのひとつです。また、身近なものを使っての救急の手当て法なども、災害支援経験を持つ看護師を講師に、毎週行っています。
ハスノハ子ども食堂の目指すものは、まずは、食を通して、子どもたちや困りを持つ保護者にとっての、『最初の救済の扉』になることです。困りの状況を伝えることの難しいご家庭もたくさんあることを知り、スクールソーシャルワーカーや地域の相談支援員さんたちと連携をとりあい、『食』で繋ぎながら、共に学び支えあう輪をたくさん作っている毎日です。