「地域助け合い基金」助成先報告

 かんりん文庫

和歌山県串本町
居場所見守りその他

助成額

150,000円2021/11/25

助成⾦の活⽤内容

この地区の小中学校には図書室がなく、町の図書館や書店からも遠い地域で、本が身近にある環境づくりを行うために文庫を開設している。公民館という町の住民が安心して利用できる場所で、幼児からシニアまで利用者が楽しめる文化的なイベントや読書講演会を開いて、地域の交流と活性化を図りたい。
書架やパソコンなどの備品は寄付や企業の助成金で購入できたが、2年間、日々の運営費と図書の購入費はスタッフの持ち出しとなってきた。今回、この基金で本や消耗品を購入させてもらえると聞いて、応募することにした。
文庫の日常的な貸し出し活動として、利用者からのリクエストがあっても新刊は公共図書館では多くの予約がつき、なかなか貸してもらえない。大人も子どもも新しい本も読みたいという思いがあり、読書人口を増やしていくためには定期的に新刊を入れて地域住民のニーズに応えていく必要がある。また古い本でも優れたものは購入していつでも読めるようにしておきたい。
毎月発行する会報は、町内のパン屋さんなど10か所の商店にお願いして置かせてもらっている。地域住民の読書意欲を向上させ、かんりん文庫に関心をもってもらうために本の情報を掲載しているが、この会報を見て隣町から訪れる人もいる。毎月の紙代とインク代も自己負担なので、消耗品費の助成はありがたい。

活動報告

潮岬公民館の1室で、水曜日と土曜日の午後に文庫を開館しています。水曜日は子どもたちが学校の帰りに寄って本を借りたり、土曜日は文庫で待ち合わせをして読書の後いっしょに遊びにいきます。家族で来て楽しむ人たちもいます。小・中学校は子どもが増加して図書室がなく、文庫に来るとゆっくりとソファーに座って読書ができて、赤ちゃんがクッションを敷いた部屋で遊んだりと心が落ち着く場所になっています。
また、ここに来ると思いがけない人に会えると、楽しみにしてくるシニアたちもいます。
最近は若い家族があかちゃんや幼児さんを連れて来られ、転勤族や自治会に入っていない人も増えているので、情報を得る場所にもなっています。
この1年間で約200冊の本を購入することができ、蔵書数も3700冊になりました。県立図書館や町の図書館で団体貸出も受けています。毎月発行している情報誌「さかなとり通信」は潮岬地区だけでなく、来年から隣の地区の回覧板にも挟まれることになりました。
今年は4月に児童文学作家の富安陽子さんを招いて講演会を行い、7月には直木賞作家の今村翔吾さんのトークイベントもあり、大人の読書推薦にも力を入れました。
子どもたちには、クリスマスおはなし会を実施、読み聞かせや紙芝居、工作も楽しみました。家族で手作り紙芝居を上演してくれる人たちもいて、単に観るだけでなく、参加型のイベントになりました。
スタッフは13人から14人に増えています。オールシニアです。みな家族の介護や自分の体調を気遣いながら、協力して準備や片付けをしています。今回の助成金では、日々の活動費として使用することができたので大変助かりました。

今後の展開

かりん文庫をオープンして3年半がたちました。ふだんの図書の貸出と、町民へのイベント開催、「さかなとり通信」での読書推進と3つの柱が確立してきました。読書は子どもに「読みなさい」というより、大人も楽しんでいる姿を見せるのが一番大切です。地域で定着はしてきていますが、まだまだ利用者は限られています。
田舎なので、車がないと本屋さんや図書館に行けない人もたくさんいます。そんな人たちが利用できる場所になればと願っています。地域コーディネーターさんとの話の中で、「子どもにとっても、大人にとっても人との出会いの場、本との出会いの場になればいいですね」という共通認識ができています。
より多くの人に来ていただける場になればと願っています。

添付資料