「地域助け合い基金」助成先報告

 本宮自主夜間中学

福島県本宮市
居場所その他

助成額

150,000円2021/10/05

助成⾦の活⽤内容

「夜間中学」とは、さまざまな事情から、義務教育を学び直したいという人や、日本語を学びたい外国人が通う夜間学校です。以前は、戦後の混乱で学校へ通えなかった人が中心でしたが、今では、不登校だった人、読み書きが不自由な人、外国ルーツの人など、多様な背景を持った人たちが学んでいます。「公立夜間中学」は、東北には1校もありません。
このうち、民間ボランティアなどが運営しているのが「自主夜間中学」です。年齢・国籍などに関係なく、誰でも学ぶことができ、生徒が希望する科目を学びます。講師は、教員経験があるボランティアなどが務めます。
「本宮自主夜間中学」は、今年7月、本宮市内に開校しました。9月までは日曜日の午前中だけの授業でしたが、10月からは水曜日の夕方と夜間の授業も行います。生徒は、自分の都合の良い日時を選んで、授業に出ます。授業は2時間です。コロナの影響を考慮し、オンラインでの授業も個別に応じています。授業料は無料です。
ボランティア講師が足りないため、当分の間学生のアルバイトを講師に雇います。コロナ禍でアルバイトが減り経済的に困窮する学生を雇うことは、社会的弱者の支援になります。学ぶ機会が充分でなかったり、年齢や国籍の理由で学び直したい方々の学習の機会の場を、多くの人々に提供したいと思います。

活動報告

1,自主夜間中学の開設(義務教育教科・外国人の日本語授業)
2021年7月、第1・3日曜の午前に授業を開始した。開校時の生徒は1人、9月までに生徒が6人(大人4人、中学生2人)になった。
10月からは、第2・4週に日程を変更し、中学生の要望に応え、水曜の夕方にも授業を増やした。
12月までに生徒が9人(大人7人、中学生2人)になった。
1月からは、大人の要望に応え、月曜の午前・午後と、水曜の夜間の授業を増やした。3月までに生徒が15人(大人13人、中学生2人)になった。生徒には、不登校、引きこもり、形式卒業者や、中学卒業後学ぶ機会がなかった高齢者がおり、夜間中学の必要性を裏付けた。外国人の生徒の応募は無かった。
ボランティア講師は、本宮市以外の二本松市と郡山市から3人が協力し、全部で7人になった。
夜間中学の開設は、さまざまな事情で十分に学ぶことができなかった人の学習機会と、通いの場を確保することになり、社会的弱者が社会での孤立を防止し、自信を回復、夢や希望をもつことになる。

2,コロナ禍における学生の経済的支援と、教員志望学生の育成
学生4人をアルバイト講師に雇った。コロナ禍で飲食店などのアルバイトが減り、経済的に困窮する学生にアルバイトの職を創出することは、社会的弱者の支援にもなる。また、そのうち2人は教員志望の大学1年生だった。教員志望の学生を雇い、元教員の下で多様な生徒を指導する経験は有益な実習の場となり、福島県の教員志願者数が最低水準の昨今、県内の教員養成に貢献している。
 
3,新聞折込チラシによる住民のへの啓発
住民の理解が促進し、公立夜間中学の早期設置を促進する。福島市が2年後の夜間中学開設を表明した。

今後の展開

2021年7月、本宮市に自主夜間中学を開校し、9か月で生徒は延べ15人に達しました。本宮市はさほど広くなく、交通の便も良いことから、周辺の市町村からも生徒が通ってくることを想定していました。しかし、他の市町村からの生徒は定着せず、新年度も継続している生徒はわずか2人だけです。車を運転しない引きこもりや高齢者にとって、市町村の区域を越えて通うことは、壁が高いのかもしれません。

このことから、2年目は方針を変更して、周辺の各市町村にも学習拠点を設けることにします。具体的には、本宮市に隣接する大玉村、二本松市、三春町の3か所です。これにより、車を運転しなくても、自治体が運営する巡回バスなどの利用、家族の送迎が容易になり、生徒の増加が期待できます。また、市町村内に拠点があることで、教育委員会や社会福祉協議会の協力も得やすくなり、広報誌への掲載など広報が充実するでしょう。

当校では生徒を募集しているのはもちろんですが、古い教科書と講師ボランティアも募っています。古い教科書は、平成28年以降のもので、小学校から中学校までの5教科です。国語と英語の辞書も集めています。住民の皆さん、提供してください。福島県中央部なら、取りに伺います。そして、教員経験のある方、ボランティア講師への応募をお待ちしています。

地球のどこかでは、戦争で学校どころではない状況があります。夜間中学は、もともと戦後の混乱で、学校に通えなかった人たちのために始まった制度です。学びと平和は無関係ではないのです。法律の制定により、今、全国的に公立夜間中学を設置する機運が高まっています。この機会に、年齢や国籍に関係なく、誰でも無料で学ぶことができる自主夜間中学のネットワークを、より多くの地域に広げていきたい。

添付資料