「地域助け合い基金」助成先報告
かれーやさん
兵庫県宍粟市助成額
150,000円(2021/06/24)助成⾦の活⽤内容
様々な環境下にあるこどもたちが、コロナ禍の中で、社会的孤立に陥らないよう、安心・安全な食事と保有免許を活かした学習支援を行うなどの居場所や集いの場を提供し、こどもたちの健全な心身の育成に少しでも貢献したい。
また、居場所の活動を通じて、こどもたちを取り巻く危険や異常を察知し、然るべき機関の支援に繋げたい。
活動報告
8月1日にプレオープンから、計10回のこども食堂の活動を実施することができた。コロナ対策・食中毒対策を十分に行えるよう、事前の予約を受けて、一緒に調理し、共食するこども食堂と食事後に学習や好きな工作などをする通称「かれーやさん」を通年で実施できた。
当初は、コロナ禍における貧困家庭に対してこども食堂の実施を検討していたが、宍粟市という地域の特性や会場の広さ・場所(地域活動センターすずらん)等から、貧困家庭への食事提供だけでなく、学校での居場所が希薄な児童・生徒に地域での居場所を提供する「かれーやさん」の活動に広げてみた。
この度のコロナ禍で、人と人との交流が遮断されて、こどもたちの不登校が助長された実態があり、宍粟市もその傾向があると聞いている。また、不登校に至らなくても、発達障害が故に、生きづらさを抱えている児童やその保護者は、相談につながるまでに時間を要することが多いことから、もっと早く支援がつながっていたらと感じる事案が多いため、居場所が必要であると考え、気軽に相談ができ、コロナ禍での貧困の助長解消につながる居場所として「かれーやさん」を立ち上げることにした。
ボランティアメンバーの中には教員免許の保有者もおり、学校での困り感を聞いたり、学習をスモールステップで個別に関わったりすることで、月1回ではあるが、こどもたちには調理体験と学習補充の場の提供、保護者には子育ての悩み相談の場の提供を行うことができた。
調理:野菜の皮むきや包丁で刻む作業を一緒にすることで、道具の使い方などを覚えるとともに、出来上がった時の達成感が味わえている。回数を重ねるごとに、「樸、カレー好きなんや。お代わりしていい。」という声が聞かれるようになってきた。
学習:宿題だけでなく、好きな折り紙・工作の時間を設定した。保護者やボランティアスタッフが自由に、児童の側について声をかけていった。
行事:第7回目には、クリスマス会を実施した。サンタさんからプレゼントをもらう企画をしたところ、低学年の児童は大喜びであったし、高学年の児童もその場の雰囲気を前向きに味わっていた。天然のコットンを使ったクリスマスリースやツリーの飾りを作る園芸療法として創作活動の時間を設定したところ、児童たちは楽しい時間を過ごせ、日頃のストレス緩和ができたのではないかと感じた。
宅配活動:昼夜逆転している生活のため、かれーやさんに来られない児童生徒及びコロナまん延防止中の対策として、カレーライスや食材を届ける宅配にも取り組んだ。
・冬休みの実施日には、近くの中学3年生がお手伝いに来てくれ、高校生になったら、ボランティアをしたいと意欲を見せている。
・山崎小学校校区の児童だけでなく、近隣の小学校の児童の利用があり、その保護者さん同士での子育ての会話が広がってきている。
・無農薬野菜の栽培農家さんや市内の精肉店さんから野菜や牛肉の提供をいただいた。また、チラシを見られた方から、玄米・おやつ等の提供をしていただいた。
・保護者から「いつも子どもたちのため、親同士が会える機会も設けてくださり、スタッフの方には感謝しています。本来なら、もっと友達を誘って、たくさんの子どもたちが利用できる場のはずなのに…。コロナ禍が落ち着けば、今以上に賑やかな場となることと思います。来月以降は行事も含め無事に学校生活も過ごせるように祈るばかりです」とのコメントをいただいた。
今後の展開
・孤立しやすい母親支援では、回を重ねるごとに日頃の悩みを少しずつ伝えられ始め、次回の開催日を楽しみにされている。他には、近くのファミリーホーム(養護施設)と母子家庭で不登校2名の児童生徒にも声をかけているが、未だ、食材や菓子等の宅配による繋がりにとどまっている。今後は、居場所に通所できるよう関係機関との連絡調整を検討したい。
・保護者の方同士が繋がり、保護者自身が「かれーやさん」を利用することで自己有用感を感じられると、将来、保護者の方がボランティアスタッフとして参加してもらえるのではないかと考える。
・園芸療法の手法を使って季節の植物を使った作業を取り入れて、ストレス緩和をはかりたい。
・月1回の日曜日の学習支援では、限界があるため、学習支援のみの日を増やすことも考えたい。そのためには、使用させてもらっている「すずらん」の活動と連携できないか検討中である。「すずらん」では、他の日曜日に女性ばかりで様々な女性にまつわる問題を考える「女子会」や発達障害などの特性を生かしつつ、社会との繋がりを支援する発達障害を考える会「CONNECT」が開催されているので、その会とも連携していくことで、月1は、こども食堂、もう1回は、学習支援等(子どもは学習、母親は「女子会」か「CONNECT」)ができないか模索中である。
・不登校児童・生徒の居場所としても使ってもらえるよう、今後も声をかけていきたい。
・多様な機会や居場所の提供など社会的な資源を増やしていけるよう、生活支援コーディネーターとの情報交換を積極的に実施していきたい。