「地域助け合い基金」助成先報告
グループ 音ライン
東京都三鷹市助成額
150,000円(2021/04/12)助成⾦の活⽤内容
コロナ禍の中、さまざまな活動が中止又は縮小され、とりわけ高齢者は行動が制限されています。友人・知人との交流も狭められ、心身の健康の低下は否めません。地域包括センターが生活支援コーディネーターを中心として、65歳以上対象のボイストレーニング講座を実施していましたが、コロナで6カ月以上中止となっていました。それをzoom利用のオンラインでできないかと、有志でグループ「音ライン」を結成し、包括センターと共催で2020年11月より月1回実施し、20~40人の参加を得ています。オンラインは、感染予防はもとより、大きな声を出すことにより身体や嚥下予防にも役立ちます。終了後の交流も楽しみの一つです。
実施に当たり、zoomの講習が何回も必要でしたし、これからも続ける必要があります。オンラインでの繋がりは、リアルで会うことがだんだん難しくなる高齢者にとって、コロナ禍の苦肉の策というよりむしろこれからの人生のQOLに関係すると思っています。しかし所有情報機器の問題でオンラインが難しい高齢者も多くいます。PC or iPadを音ラインで所有し、講習や貸出に利用できたら良いと思います。
活動報告
*「月1回のボイストレーニングをオンライン(Zoom利用)で開催」
コロナ禍で、家に閉じこもりがちとなり、人と話すことが減り、大きな声を出す機会も少なくなっている高齢者(65歳以上)のフレイル予防の一つの取組として実施しました。最高齢は90歳の男性です。
毎回30人を超える参加者がおり、特に会場の企画ではあまり参加のない男性の参加者が数名参加するようになりました。何よりも楽しい、高い声が出るようになった等の声が寄せられています。
(内容)約1時間の講師によるストレッチ、口腔体操、脳トレからボイストレーニングまで。
曲は「ラストダンスは私に」「高校3年生」「真っ赤な太陽」「可愛いベイビー」「上を向いて歩こう」「ダイアナ」「知床旅情」等 を各1~2回で行いました。
「終了後30分の参加者同士の交流タイム」
当日の歌にまつわる話題や当時の思い出から、戦争経験、ワクチン情報、お店情報まで、コロナ禍でもいろいろな話ができました。何よりZoom内ではマスク無しで顔を合わせられ、知り合いになれたこと、自分の口の開け方が自分で見えるなどの利点もあることがわかりました。
*Zoomに参加するためのZoom講習会
大きな会場を借りての音ライン講習会は2回開催しました。 また、他団体と共同で、マンツーマンでの小規模講習を毎月1回行い各5~6名参加し好評です。参加者は1年でのべ70名を超えています。
講習のサポーターとして数名(主に男性)が協力に参加、その中から「グループ音ライン」の運営にたずさわってくれる人も増えました。当初はZoomと講習会場のハイブリッド、最近はZoomのみ開催です。
ボイトレへの男性の参加の要因としては、「Zoom」に関心があることや、オンラインでは、大勢の女性の中に入っていくという勇気が必要ない、ということが挙げられました。
高齢者の最大の問題は、所有情報機器でした。財団からの助成金で機器を揃えることができ、どなたでも気軽に参加できる取組となったことに感謝致します。
今後の展開
オンラインでのボイストレーニングは、自宅にいながら思い切り声をだすことができ、かつ終了後のオンライン上での交流もでき、高齢者にとっては、心身の健康を保つ上で有益で、嚥下障害防止にも役立ちます。
活動を通して、オンラインの活動は、コロナ禍だけではない、という認識に至りました。
糖尿病を抱えている人、遠方の人、足が悪い人、地方の実家に帰省中の方、介護中の人、歌が得意でない人(ミュートにするので声は他に聞こえない)でも気兼ねなく参加できることがメリットです。
マスクをせず「顔を見ながら」歌ったり話したりできるのも会場参加では得られないメリットです。
もう一つのメリットは、家族も巻き込めるという点です。ご夫婦で参加やZoomのやり方を娘や息子、孫に援助してもらうことにより、いままでにない関係が持てています。
Zoomを知ったお陰で、コロナ禍で葬儀へ出席できない海外や地方の近親者へZoomで一緒に参加できたとの知らせもあり、利用の仕方は広がっています。
リアルで会うことが難しい高齢者にとっての苦肉の策としてのオンラインボイトレでした。しかし、在宅での健康維持だけでなく、ワクチン申込み等々オンラインで様々なことができることへ興味が広がり、「人生の幅が広がった」と新鮮な喜びとなっています。これからの人生のQOLの向上へと繋がっています。
2022年4月からは、『三鷹駅周辺包括支援センターとの共催』から、『自主グループ「音ライン」主催・同包括支援センター協力』という形で活動することにしました。引き続き包括センターとの連携をとりつつ、地域も限定せず、年齢も60歳からとして対象を広げ、オンラインのメリットを活かして活動していきます。