「地域助け合い基金」助成先報告
一般社団法人 ぱすおん
岡山県津山市 ウェブサイト助成額
149,000円(2021/03/22)助成⾦の活⽤内容
地域内には、介護保険等の公的保険は利用していないが、心身機能の低下や体調の不安を抱えたまま、相談相手もなく生活している方や、爪切りなどちょっとしたセルフケアが困難となっている方がたくさん居られる。そのような方々に対し、看護師や介護福祉士・社会福祉士といった自分達の専門性を活かして、気軽に相談出来たり、ケアの依頼が出来たり、立ち寄ったりすることのできる場所や仕組みを作りたい。
具体的には、フットケアを提供するサロンの開設を行いたい。フットケアは転倒予防や歩行の安定にも重要であり、日常的なケアや状態観察が欠かせない。フットケアをひとつのきっかけとし、保険サービス利用していない高齢者にも日常生活の中で専門職が関わる機会を作り、介護予防や健康寿命の延伸を支援することで、住み慣れた地域で安心して生活が送れるようにしたいと考えている。
活動報告
看護師、介護福祉士・社会福祉士として、地域生活の継続を支援する為に福祉移送や外出支援を中心に活動していましたが、助成金をいただいたことで、「まちかど保健室」としてフットケアサロンを開設し、足のケアをきっかけとして医療福祉の専門職と関わりが持てる相談場所作りを行いました。
介護保険の利用は必要と感じていないが、老化や病気に伴う視力低下や手指の痺れ、関節可動域の狭小等の原因により、自分で爪切りや足のケアが困難になった方やそのご家族からの利用希望が多くありました。また、若い世代でも足のトラブルを抱えている方は多く「病院に行くべき状態なのかの判断がつかない」といった意見が多数あり、実際の状態に応じて受診の必要性を判断したり、日頃のケアや生活の注意点をお話するなど、専門性を持って個別的に関わることができました。それをきっかけとし、生活の困りごとや他保険外サービスを紹介するなど、身近な相談場所として少しずつ支援が広がっています。
レンタルスペースを借りて6月から週1回からスタートしましたが、取り組みに賛同してくれた方からの紹介で、薬局店舗やイベントスペースへ出張という形で開催することもできました。地域内で食堂を営む栄養士さんや薬局の薬剤師さんなど専門職同士が連携し活動することで、利用された方が一つの窓口で多方面からの情報やアドバイスを一度に受けることが可能となり、好評をいただきました。
サロンの活動を通して繋がることができた方々に継続して支援が行えるよう、定期開催できる場所を確保するために8月からは事務所を移転しました。新しい事務所では、利用される方やご家族がくつろいで話や相談ができるよう、栄養士さんの協力でおやつや飲み物を提供できるようにしています。
利用される方々の中には、同じ仕事(医療福祉関係で働いている)で、興味があって来たと言われる方が一定数居られ、専門職同士の情報交換とバーンアウト防止の為の交流の場ともなっていると感じています。
今後の展開
介護や医療が必要となった時に病院や介護施設といった非日常的な場所で初めて、医療福祉の専門職と出会うのではなく、日常に相談できる身近な存在として地域に専門職が居ることが、地域包括ケアの中でも重要なことなのではないかと考えています。
そのため自分たちの持てる知識・技術・経験といったものを総動員し、また、専門職としてのネットワークを活用することで、より一層質の高いサービスの提供が可能となっています。
この「まちかど保健室」の取り組みも、福祉有償運送の取り組みも、地域内での需要もあり、今後ますます必要となってくることは間違いありませんが、充分な対価を得られないのが現状であり、同じ様な志を持った方が引き継いで行って下さる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。継続性のある仕組みを作っていくことが今後の課題だと考えています。
自分だけで、家族だけでなんとかしようとして追い詰められる事例も少なくない中、日常生活においても、職場においても、少し力を抜いて人に話を聴いてもらうことが、生活を続けていく中で重要となっています。これからたくさんの地域でこの保健室活動が定着し、多くの専門職が参加することを希望します。