「地域助け合い基金」助成先報告
豊中あぐりプロジェクト運営委員会
大阪府豊中市 ウェブサイト助成額
150,000円(2021/02/04)助成⾦の活⽤内容
昨年度から開催している豊中あぐりのこども食堂は、市内の不登校の子供や生活課題の大きい子供たちを送迎付きで行ってきた。学習指導は大学生に参加いただくことで「勉強が分かるようになった。」「学校に行けるようになった。」「進学を考えるようになった」など大きな成果が上がっていた矢先、新型コロナウイルス感染拡大の影響で食事をテイクアウトにしたり、フェイスシールドを着用したりして実施してきたが、緊急事態宣言が再度発令され、集まることもままならない状況となった。受験前の中学生、高校生に集まってもらうことができず何とかオンラインなどの活用で学習支援を継続できればと考えている。そこで、オンラインの導入で長引くコロナの影響下でも定期的な活動が提供できるように展開を考えていきたい。
活動報告
豊中あぐりプロジェクト運営委員会では、定年後の男性の居場所づくりとして宅地を農地として耕し、これまでに作った野菜を移動販売やこども食堂などに提供したり、コロッケ、ふるさと納税の返礼品としてのカレーの材料として使われるなど様々なことにチャレンジしてきました。
なかでも、こどもたちを対象にした豊中あぐりで作った野菜を利用したこども食堂では、あぐりの男性を中心にカレーやおでんなどを提供し、大学生に学習支援に参加してもらうなど、楽しい時間を過ごしてきました。さらに、野菜収穫体験は農地のほとんどない豊中市においてこどもたちにとって貴重な体験の場となってきました。
コロナ禍で豊中あぐりが行っていたこども食堂が開催できなくなり、学習支援などこどもたちとの交流の機会がなくなってしまいました。そこでタブレットを使ったオンライン学習会の開催を試み、本体を購入し、個別支援を行うことが実現しました。
さらに、社会福祉協議会が受付窓口となったコロナ特例貸付を通じて把握した生活困窮された世帯に野菜や食材、社会福祉法人の社会貢献で手作り弁当を配布することで、多くのこども食堂に来ることができない不登校などの子どもたちに出会うことができました。
そこでこれらの支援を通じてあぐりの野菜収穫体験や芋ほりなどの取り組みにこどもたちを招待し、送迎付きでサポートしたことから、学校に6年も行けなかった子どもの参加が叶ったり、外国にルーツのある若者たちが日本の野菜収穫に参加し、大いに楽しむことができました。丸いスイカを始めて見たこどもたちやミミズやザリガニに大はしゃぎする人たち、芋のつるを懐かしくみている認知症の高齢者。農地には人をつなぐ可能性がたくさん感じられました。
また、タブレットはこどもの学習支援のみならず、あぐりメンバーのタブレットスマホの勉強会でも活躍、結果としてメンバー同士のラインのグループを作ることができて、コロナ禍で集まる機会が減った会員同士の情報交換や各菜園の取り組み行事の内容が発信しあえるようになりました。
さらに、フェイスブックでの発信やホームページの充実、全国ボランティアフェスティバルへのパネラーとしての報告時にも畑の様子や活動の様子を現地からタブレットを使い発信するなど、よりリアルに活動を報告することができました。
今後は、コロナ禍で室内での交流がなかなか実施できない中、畑や田んぼでの屋外の交流の機会がとても大切になりました。そこで8カ所目に借りることができた農地を「あぐりパーク」と位置づけ、ひまわり畑やれんげ祭り、凧揚げ大会やかかしコンテストなど多種多様な活動にこどもや外国人、オレンジカフェのメンバーなどを招待し、地域共生ファームとして活動を展開することを目指します。
今後の展開
定年後の男性の居場所づくりは全国的な大きなテーマです。都市部において野菜づくりができる土地を確保し、共同農園を運営していく中で三つの教訓がありました。
①生産性です。目に見える野菜の成長は活動にやりがいと足を運ぶためのインセンティブとなります。
②役割です。農作業のみならず、販売、こども食堂の実施、六次化、地域交流など様々な活動が生まれ、参加者の持ち味が生かされる場となっていきます。
③社会貢献です。結果として野菜を喜んでくれる。こどもたちや外国人、認知症の人たちとの交流はたくさんの人の笑顔を生みます。コロナ禍で生活困窮した人たちへの野菜の提供は社会問題へのかかわりとなり、大きな貢献となります。
都市型農園は地域のコモンズとして人と人とをつなげ、野菜を通じて団体をつなぎ、競争から共生へと新しい価値を創造しています。ぜひ豊中あぐりのこれからの進化にご期待ください。