「地域助け合い基金」助成先報告

【個人】 池田 謙之

兵庫県西宮市
居場所見守り生活支援その他

助成額

150,000円2020/10/20

助成⾦の活⽤内容

2020年度は、新型コロナウィルス感染症拡大を防止するための休校など、子どもにとっては制約が多く、我慢の年となっている。また、学校再開後も今まで当たり前としていた子どもたちの生活は多くの制限を受け、息苦しさと不安が大きくなっている可能性が高い。社会全体の仕組みが、『オンライン化』されることで利便性が高くなっていくことは良いことではある一方で、まだまだ多くの子どもたちは『オフライン』の『場』が無いことには安心できないのではないかと考えている。
そこで、2020年10月より、地域に開いた無料の学習支援『Zero塾』を月に2回行うことになった。
本助成では、この事業のさらなる発展を目指し、周辺地域への啓発、宣伝を行い、地域の子どもやその親が安心して『教育』に向き合える環境を整えたい。また、これからの社会を生き抜くためには自分から学び続ける『自立学習力』の育成が必要となる。そのきっかけになるような講演会やワークショップなども企画して、多くの子どもたちに「学ぶことの楽しさ」を広げられるような活動にしていきたい。

活動報告

本助成により、毎月2回程度土曜日に開かれる『Zero塾』で使用する教材の充実を図ることができた。
 教育は、子どもの基礎的な読み書き計算だけでは無く、社会で生きる上で大切な学び続ける力を育てる必要があり、学校教育だけでは十分に身に付けることが出来ない子もいる。大人の助言や支援が必要ではあるものの全ての進捗を大人が管理していては、義務教育を卒業した後、自ら学びに向き合う力が育っていないということも考えられる。
 自立学習習慣の形成を促すために行った『けテぶれ学習法』に関しても、回を重ねる毎に内容に深まりが見られ、「青いペンを使うと覚えやすい。」「歩きながら暗記をすると身に付く。」といった記述をする子もおり、意欲的に自分の学習を深めようとする姿が感じられた。
 また書籍やプログラミングなど多様な教材を揃えることは、子どもたちの興味関心に合った教材に触れられる可能性を広げることが出来る。現代社会の多くの子どもたちはインターネットを用いて様々なことを解決する一方で、ついつい時間を費やし、学習や生活のリズムを崩してしまう傾向がある。地域に1つふらっと学習の支援が受けられる場所を作り出したことで、動き出すきっかけにはなっているようであった。
 利用している中学生の男子によると「普段家にいるとついつい時間を無駄に使ってしまいがちになる。また、やろうと思った時に限って兄弟姉妹の声が邪魔になって集中出来ない。場所があるだけでも助かる。」と話してくれた。
 一方で今回、チラシは作成してみたもののなかなか声が広がりにくかったことも事実である。続けることによって少しずつではあるが広まってはいっているものの利用者の広がりはあまり多くは無かった。ただ、学校と連携を取って学習を支援する方向性や学習者主体で行う方向性は利用している子どもたちの状況に合わせて支援をすることが出来るので今後も続けていきたい。
 また、今回取り組みを行う中で、現代の子どもたちが点数や成績に追われており、じっくり読書をしたり、同年代以外の繋がりを持ったりする暇も少ないという事実も感じられた。子どもに居場所のある地域づくりの一つとして今後も活動を続けていきたい。

今後の展開

コロナ禍における学校の臨時休校により、多くの子どもたちが、『自ら学ぶ力』の必要性を感じたことだろうと思います。インターネットの普及により、質の高い『情報』や『資料』が無料化されているにも関わらず、なかなか自分から「学びを深める」ことが出来ない子どもが多くいるのが現実なのではないでしょうか。
 自ら学習しようとしない子どもに対して厳しく『ルール』や『監視』で縛っていても、いつかは子どもも独り立ちしなくてはいけない時期がやってきます。ギリギリまで大人によって敷かれた『レール』の上を走らせて、『年齢』だけを基準に急に手放しにしてしまった子どもは『自ら学ぶ力』を身に付けることができているのでしょうか。
 確かに志望校に行くためには、現実『点数』を取る必要はあります。ただ、ペースはゆっくりであっても、進む道のりはアンバランスであっても、子ども自身の「学びたい。」という気持ち、ペースや方法にとことん合わせられる『場所』が少しくらいはあってもいいのではないかという問題提起の気持ちを込めて、西宮市の小さな街から大きな一歩を踏み出そうと想い、私は『家庭学習応援施設My Place』という教育施設を設立しました。
 この施設では、私自身が7年半小学校教員としてなかなか手を回すことの出来なかった『自立学習者の育成』と『自分らしさの獲得』を2つの柱に据え、学校教育と上手く連携を取りながら運営していこうと考えています。また、現在、NPO法人の立ち上げも申請中で、これから多くの人に知ってもらえるような活動を展開していこうと思っています。
 まずは、地域に住む多くの方に知ってもらえるように出来ることからコツコツと続けていこうと思います。

添付資料