「地域助け合い基金」助成先報告
comarch
東京都狛江市 ウェブサイト助成額
150,000円(2020/09/25)助成⾦の活⽤内容
1. 活動の目的 : こどもから高齢者まで広く市民に対して多世代交流の集いの場を開放することで、世代や障害の有無を超えて多様な人々がゆるやかに見守り合い、かかわり合うことのできる契機を創出する。
2. 活動場所 :「野川のえんがわ こまち」→空き家となっていた築43年の戸建住宅を、整理、耐震補強工事をおこなったうえで開放した空間。
3. 活動頻度 : 月・水・金曜日10:00~18:00 土・日曜日のどちらか10:00~16:00 の週4日
4. スタッフ : それぞれに本業として福祉・教育の分野で働く市民7名
5. 活動内容 : 誰でもいつでも予約なく立ち寄れる場として活動場所を開放。スタッフ2~3名が交代で常駐する他、近隣住民のボランティアと連携して運営する。乳幼児を連れた保護者、放課後の小中学生、不登校のこども、知的・精神障害のある方、高齢者など、幅広い来訪者を受け入れ、それぞれの過ごし方を見守り適宜交流のきっかけをつくるとともに、必要に応じて相談に応じたり有用な支援につなげる他、有償ボランティアとして在宅での生活援助などもおこなう。
活動報告
東京都狛江市で活動する小さな市民グループcomarchは、令和2年度に団体としての活動を開始し、コロナ禍という難局の中でのスタートでしたが、以下の3つの事業に取り組みました。①空き家となっていた物件を地域の誰もが集える場として週4日開放する「まちのえんがわ事業」、②有償ボランティアでの市民の支え合い活動として在宅での困り事に対応する「支え合いサービス事業」、③狛江市内外で居場所づくりに取り組む団体のネットワーク化や学習会の開催などをおこなう「まち育て事業」。
本助成金は上記の活動のうち「①まちのえんがわ事業」において活用させていただきました。私たちが運営する空き家を開放した多世代の集いの場「野川のえんがわ こまち」(以下、こまち)は、2020年6月のオープン以来、年度末までに161日間開所し、延べ2,000人以上の方に足を運んでいただきました。コロナ禍で高齢者の方は多世代の集いの場に来づらい状況が続きましたが、乳幼児を連れた保護者の方、不登校の小中学生、放課後にやって来る小学生を中心に、地域の居場所として活用していただいています。
都市部の他の自治体と同じように、狛江市でも地域のつながりの希薄化が課題とされ、さらにコロナ禍で人と人との接触が制限されるなかではありましたが、年齢や障害の有無を問わず誰でも集い関わり合うことのできる小さな交流拠点として、こまちではこどもたちが学校や学年や学校に通っているかどうかも問わず共にあそび、乳幼児親子や近所の元気高齢者の方、作業所帰りの障害者の方なども同じ空間でそっと存在を感じ合い、ゆるやかに関わり合いながらすごしています。
1年間の活動のなかで、少しずつ近所の方にもご協力いただき、地域の支援機関と連携することもでき始めています。現役世代から元気高齢者まで複数の方にボランティアとしてお手伝いいただいている他、地域で活動するおはなし会のグループや助産師などと連携して定期的なイベントを開催しています。また、生活支援コーディネーターの他にも、近隣の地域包括支援センターや介護保険事業所、市の福祉相談課やスクールソーシャルワーカーなどと連携して、困難を抱える方にアプローチできるケースも出てきています。
今後の展開
当団体の活動はコロナ以前より約1年がかりで準備してきたものであったとはいえ、あえてコロナ禍で多世代の集いの場を始めなくても良かったのではないかとの見方もできるかと思います。ですが、私たちとしては、人と人とがつながりづらいコロナ禍のいまだからこそ、ささやかでも誰かと誰かが出会い、支え合うきっかけとなる場をつくること、開け続けることがだいじだと思って活動をしています。もちろん、それはできる限りの感染症対策に取り組んだうえでのものです。
私たちは、空き家を開放した集いの場の提供と同時に在宅での困り事のサポートという、全世代を対象とした小規模多機能的な活動に市民の支え合いとして取り組んでいますが、私たちの活動で地域社会のあらゆる問題に対処できるとは当然思っていません。地域の中には様々な人が運営する多様な居場所が点在すべきですし、それぞれの活動に取り組む多様な人たちがゆるやかに、でもしっかりと横につながって、暮らしやすいまちをつくっていくべきだと考えています。もちろん、そこには行政とのつながりや公的な支援も欠かせません。
コロナ禍という困難のなかでもたくさんの方とつながることができ、必要としていただいた1年間の積み重ねを励みに、私たちはこれからも一歩ずつこのまちに根差した居場所づくりの実践に取り組んでいきます。同時に、狛江は小さなまちですから、同じような活動に取り組む人たち、これから取り組もうとする人たちを結ぶネットワークをしっかりつくりながら、多様な居場所に満ちたまちづくりを目指していきます。ぜひご一緒に小さな一歩を踏み出していきましょう。