「地域助け合い基金」助成先報告

NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク

東京都台東区 ウェブサイト
生活支援

助成額

150,000円2020/08/18

助成⾦の活⽤内容

新型コロナ流行と社会経済生活自粛のなかで、移民、難民、外国にルーツをもつ人びとのなかでも生活に困窮する人が急速に増えている。政府による10万円の「特別定額給付金」の支給が決まったが、外国籍者のなかには、住民基本台帳に記録されていないという理由で、支給対象から外される人も少なくない。また解雇や派遣切りに真っ先に追い込まれても、在留資格の関係などにより、生活保護をはじめとする公的な支援を使えない場合も目立つ。本事業ではコロナ禍のなかで、多くの移民・難民が急速に生活困窮に陥っている状況を踏まえ、「新型コロナ移民・難民緊急支援基金(以下、支援基金)」をつうじて彼らへの緊急経済支援を行う。
「支援基金」では、草の根の助け合いの活動として、市民社会からの寄付や助成金をつのり、移住連の会員団体等のネットワークを通じて、「特定定額給付金」の対象外もしくは生活に困窮する移民・難民の人びとに1人3万円の現金給付の支援を行う。https://migrants.jp/news/office/20200514.html

活動報告

本事業ではコロナ禍のなかで、多くの移民・難民が急速に生活困窮に陥っている状況を踏まえ、「新型コロナ移民・難民緊急支援基金(以下、支援基金)」をつうじて困窮する人々への1人3万円の現金給付の緊急経済支援を実施し、5月-9月の5ヶ月間で、草の根の人々からの寄付金、および各種の財団からの助成金の合計およそ5000万円を集め、1645人の人々に現金給付支援をすることができました。新型コロナ流行と社会経済生活自粛のなかで、移民、難民、外国にルーツをもつ人びとのなかでも生活に困窮する人が急速に増えているものの、これらの人々は社会なかでもっとも脆弱な立場にありながら、政府による10万円の「特別定額給付金」の支給対象からも外される人が少なくありませんでした。そうした中で、「市民社会からの募金・助成金⇒難民・移民一人ひとりへの支援」というこれらの活動は、今なお続くコロナ危機にあって、日本の市民社会において、さまざまな可能性を指し示してくれます。
「基金」のおもな支援対象者として、私たちが想定した人びと――難民申請者:約1万人(2019年の難民申請者数:10,375人)、超過滞在者:約8万人(2020年1月1日現在の超過滞在者数:82,892人)という状況にあって、「基金」の実際の支援結果は、苦境にある人びと全てを網羅することはできませんでした。しかし、この「基金」に多くの市民が、「分断と排除を乗り越えて、一人ひとりの苦境の支えとなると同時に、しなやかで豊かな社会づくりの一助となる」(「基金」呼びかけ文)と確信して、この支援活動に参加してくれました。その「共通の願いと思い」こそ、コロナ危機をともに生きぬく市民社会の力だったと言えるでしょう。

今後の展開

以上のように、基金は短期間の活動にもかかわらず多くの成果をあげることができました。一方で、残る課題も多くあります。もともと基金は、8月末までの予定で開始しました。しかしその時期になっても申請は続いており、移民・難民の方々が経験している困難な状況には変わりはないことは明らかでした。一つの市民団体ができることの限界を自覚する一方で、コロナ禍の収束が見えないなか彼らの困窮度は今後より増すだろうと思いつつ終了することは正直心苦しく、抜本的な解決策のないまま終わってしまった感もあります。それゆえに、最大の課題は、移民や難民の方々がおかれている脆弱な状況を変革していくことではないでしょうか。リーマンショックの時にも、ラテンアメリカ出身者をはじめ移民たちの生活困窮があらわになりました。その時から10年以上が経過しているにもかかわらず、今回も同様の問題が繰り返されています。これは、彼らが現在直面している困難の背景には、生活基盤の脆弱さや様々な制度からの排除という構造的な問題があることを示していると言えるでしょう。移住連としては、こうした構造的な問題を変革していく取り組みとして政府交渉なども行ってきたが、状況の変化にはいたっていません。中長期的な課題として引き続き取り組む必要があると考えます。

添付資料