「地域助け合い基金」助成先報告

 なないろリボン

福岡県大牟田市 ウェブサイト
居場所見守り生活支援その他

助成額

134,000円2020/06/16

助成⾦の活⽤内容

筆者はこれまで精神科ソーシャルワーク実践やスクールソーシャルワーカーとして活動をしてきた。その中で出会った子ども達が心の健康を保ち、自分の生活を選択していくためには、環境や保護者の精神状態等に左右されず、困った時にSOSを発信する経験や知識を得る機会が必要であり、学校や家庭以外の安心安全な居場所の必要性を感じている。本事業では、飲食店やまちの商工業者と連携したワークショップを通して①子ども達が生活していく上での知恵を得て経験する又、対等な関係の中で行われる「対話」によって、②自分を知る、他者の意見や知恵を学ぶ、誰かに相談する力を高めることを目的とした活動を月数回開催する。内容によってはオンライン実施をすることで、コロナによる自粛生活や閉鎖的環境への介入、SSWとの連携による不登校ひきこもりなどの課題を抱えた子ども達の参加の促しなどを行い実践する。このような機会を通して様々な大人と子ども達が出会い、安心安全に想いを共有できる場面は、商業者にとっても気づきや経営方針を見直すきっかけとなる。
今後この活動をベースに、子ども達の「知りたい」「やりたい」「深めたい」という想いを引き出し、地域の資源とつなぎそれぞれがエンパワーメントされるような場(基地)を創設し、子ども達の非認知能力を高めるベースとなる心理や福祉専門職によるワークショップや相談支援事業を展開していきたいと考える。

活動報告

活動内容
〇ワークショップ(助成期間内1回開催:12月4日 参加者8名)
講師がオンラインを通じて複数の子どもの対話が必要となることから、スピーカーやプロジェクタによる表示など会場の設備が必要であった。年度内に行ってきた、地域のプロ(薬膳中華シェフ、バイオリニスト等)との対話を通したワークショップに参加した子ども達は、そこで学んだ料理スキルを家庭で活かしたり、音楽を通して気づいた自分の思いを行動に移すなど、ワークショップ後の変化も見られた。
それらの活動を基盤とし、本助成ではオンラインワークショップを開催し、専門職や大学生の関わりの中で、「ホットサンド作り」や「透明トレカ作り」を通し、対話を行いながら興味関心について深めた。

〇オンライン寺子屋(毎週 月・水・金開催)
特に9月は関係団体にチラシを配布し、広報を行った。またスタッフのオンラインでのやりとりのトレーニングを行いながら進めたり、オンラインでの会議も行った。そこでは顔を出さずに参加したい子どもへの対応など様々な対話の形を検討した。11月頃より参加者が徐々に増えている。参加者の中には、環境背景から人と繋がることが苦手な子ども、学習と向き合うことが出来ない、ゲーム依存などの課題を抱えた子どももいるが、寺子屋での大学生との会話を通し興味関心を広げる様子や、寺子屋を通して深まった関係性を軸に、専門職がリアルな場で子ども達をフォローするなどのオンラインと実践や関係機関との連携も図ることが出来た。今後の検討事項として、学習環境を整え対応することへの課題、zoomの使用のハードル、参加者が多数となった場合の対応などを検討していきたい。

〇専門職によるワークショップPReIS(助成期間内5回開催)
ここでは子どもたちがアクセスしやすいよう、車での送迎も行った。また対象となる子どもへの訪問等も行った。参加する子どもに必要な生活スキルをアセスメントし、それにあった心と生活スキルを向上させるためのワークを作り提供、併せて様々な社会経験(お店の利用、手続き申請、病院受診の手順、神社への合格祈願)をする活動を導入した。何れも、家庭で経験しなかったことであり、PReISの活動を通して得た経験や気づきを、学校生活や進路決定にも活かしている様子が伺えた。
また、オンラインを使った関わりによる安否確認や保護者とのやり取りを導入し、日ごろの見守りも行うことが出来た。
なお、本年度取り組んだ様々な活動は、なないろリボンによる「こどもに関わる大人のプラットホーム事業」を通して共有された、子どもをとりまく環境課題や地域の課題に対し、わたしたちに出来ることはなにか?という問いから生まれた「OMUTA BRIDGE活動」である。
今後も大人のプラットホーム事業を基盤とした、子どもに関わる大人の繋がりや学びの場を継続し、必要に応じた研修プログラムを作成する。子どもの権利を守り思いに寄り添うことのできる大人が増えることで、OMUTA BRIDGE活動はさらに充実していくと考える。

なお、これらの活動の申込や広報を行う中で、しっかりとした情報の発信、管理をすることで信頼性を高める必要性を感じ、またホームページによる情報の発信が必要との意見を他団体よりいただいたこともありホームページを作成した。なお、ホームページの本始動は3月1日を予定している。

https://www.omutabridge.org/

今後の展開

なないろリボンは「子どもの夢や希望を育む街大牟田へ」を共通の目標とし活動している市民団体です。
私達は、全ての子どもたちが自分らしく生きる力(レジリエンス)を高めることを目指し、子ども達に「人との出会い」「社会体験」「気持ちと向き合う」など様々な機会を提供していきたいと考えています。
具体的には家庭や学校とは異なる第三の居場所を作り、子ども達が対等な関係性から生まれる「対話」を通し、他者の想いや多様な考えに触れる中で、主体的且つ柔軟に選択、行動する力が身につくよう伴走します。 基盤となる対話の質を高めるため、伴走者である大人が対話を体感し、自身の物語を紡ぐ機会を提供することも目標としています。
次年度からはこれまでの活動からさらに活動の枠を広げ、子どもまちづくり会社活動を通してより多くの子ども達に、対話や経験、地域の大人達との繋がり、大学生や高校生との繋がり(ななめの関係)を提供し、学校や家庭とは異なる「第三の居場所」作りに取り組んでいきたいと思います。

添付資料