「地域助け合い基金」助成先報告

NPO法人 コミュニティ・サポートセンター神戸(認定NPO法人)

兵庫県神戸市東灘区 ウェブサイト
居場所その他

助成額

100,000円2020/06/02

助成⾦の活⽤内容

コロナ禍において、約8割の居場所が活動を休止中(2020年4月兵庫県立大・CS神戸緊急アンケート調査より)。そのため、使い慣れた通信手段である電話を通じて、つながりを創出・保持するため「10分ふれあいコール」を開設。当団体が事務局となり、市内5つの居場所に曜日ごとの窓口を依頼。実施期間は5月1日~5月29日。新聞等を通じて情報を入手した高齢者からの電話が多い。1日平均3件程度で対応中(最小0件、最大10件/日)。

活動報告

1. 10分ふれあいコールの実施
【概要】 コロナ禍の影響で、外出や交流の機会を失った高齢者を主な対象とし、10 分間電話でおしゃべりができる仕組みを構築した。電話の受け手として、地域の居場所5か所の協力を得た。
(協力:NPO 法人福祉ネットワーク西須磨だんらん、NPO 法人神戸なごみの家、NPO法人インクルひろば、東灘こどもカフェ、生きがい活動ステーション)
【時期】
・2020年5月1日~29 日の 13~16時/月~金(祝日含む)21日間
【実績】 ※別紙参照
・入電 58 件 (男性 25 件、女性 33 件/70代 27 件、80代 12 件、60代 11 件、その他8件)
・最も多いのが「コロナ禍生活での苦境の訴え」で、36件。具体的には、「心配」「しんどい」「行き場がない」「寂しい」「まいっている」といったネガティブな感情を訴える言葉が頻出している。コロナ禍で苦しい思いをしていることがコール内容から分かった。
・「苦境の訴え」を男女別に見ると、男性は「パチンコ店の開店への怒り」「知事の対応への批判」「マスクが届かない事への不満」など、苦境が社会に向かって批判となって表れているケースが見られた(6件)。
一方、女性は、「外出への不安」「感染への不安」といった「心理的不安」を訴えていた(5件)。女性は苦境が内向するケースが見られた。
・10分ふれあいコールを「新聞で知った」という人が多く、新聞が高齢者の重要な情報収集メディアであることが分かった。

2. オンライン報告会の実施
【概要】
10分ふれあいコールの成果と課題およびコロナ禍におけるつながり方の工夫を共有・議論するため、Zoom によるオンライン報告会を開催した。
(協力:兵庫県立大学 NPO 研究連携センター)
【日時】
2020年6月 29 日 (月) 10 時~12 時
【参加者】 52 名(NPO、地域包括支援センター、社協、行政、企業、大学・研究機関、医療機関など)
【内容】
第1部
・10分ふれあいコールができるまで
・入電データの分析/成果/課題
・電話の受け手団体からのコメント、など
第2部
・ディスカッション「コロナ編におけるつながり方」


【まとめと課題(兵庫県立大学分析結果より一部抜粋)】
①約1か月で58件という電話件数は、件数的にはそれほど多くないが、その殆どが未知の人からの電話であった。居場所を知ってもらったり、居場所の新規の利用者獲得の可能性を探るという意味があった。
②男性の利用が4割を超えた。平均通話時間も、意外にも男性の方が長かった。
③また、約 67%の人が 70代以上ということは、10分ふれあいコールがターゲットとしていた高齢者に、一定程度、情報が届いたと評価できる。
④電話内容を見ると、単純な問い合わせもあったが、コロナ編で外出できないことや知り合いと会えないことなどの苦境を吐露する高齢者も多かった。ふれあいコールを通じて、高齢者の苦境に関するリアルな声を収集できた。
⑤居場所の運営団体の情報なども PR できて、運営団体側にもメリットがあった。
⑥福岡県福津市が同様の仕組みを7月よりスタートさせた。オンライン報告会でノウハウを共有することで、仕組みを他地域に広げることができた。
⑦今回は初めての試みなので、特に広報等における準備不足は否めない。しかし、新たな仕組みづくりができ、プロセスを共有できた意義は大きいと言えるのではないか。

今後の展開

コロナ禍の影響が長期化する中で、対面交流を基軸としてきた「地域の居場所」は、その活動の縮小や中止を余儀なくされています。会って交流すること自体が難しくなる中、孤立する人をなんとか減らせなかと模索し、今回「10分ふれあいコール」の実施に至りました。誰もが使い慣れた手段で誰かとおしゃべりして、少しほっこりできる。ボリュームは多くないものの、そんな機会を創出できたのではないかと思います。
「10分ふれあいコール」は5月末で一旦終了となりましたが、当団体では、その後「活動を再開するための感染症勉強会」を開催し、”正しく恐れ”ながら、リアルな居場所の再開に向けた後押しも行ってきました。
今後は、LINE 等を活用したオンラインでのプログラム実施の導入支援など、つながりのバリエーションを増やすためのサポートも実施する予定です。
何が正解かはわかりませんが、個人や団体が自分たちにできることをやってみること、そのプロセスを広く共有することが、新しい社会のつながり方のヒントとなります。全国で多様な試行錯誤を続けている皆さんとともに、この苦境を乗り切っていけたらと思います。

添付資料