活動報告

北から南から 各地の動き

さわやか福祉財団では全国各地の助け合いの創出、
住民主体の地域づくりの推進を支援しています。
その取り組みの一部をご紹介します。

2024年9月1日~9月30日分

SC=生活支援コーディネーター
3ステップ=ステップ①体制づくり、ステップ②ニーズと担い手の掘り起こし、ステップ③助け合い創出

住民に参加を呼びかける支援
(住民対象のフォーラムや勉強会の支援等)

高森町(長野県)

9月23日

 高森町では、町社会福祉協議会に配置された第1層SCと協議体が、各地区へ支え合い推進の働きかけを行っているところ。昨年10月には、高森町ささえあいネットワーク(第1層協議体)主催でフォーラム「住民の支え合いによる地域づくり」が開催された。
 このフォーラムからの次の展開として今回、ヤル気になった地区を一歩進めるための住民勉強会が企画された。上市田区を対象にした「地域支え合い講演会」で、地域住民約30名が集まった。
 当財団からは、住民活動を広げる取り組みについて事例を交えて紹介し、その後のグループワークでは、地区にすでにある活動や必要だと思う活動について意見を出し合いながら「上市田地区の目指す地域像」を考えた。
 今後は、さらに具体的な取り組みを考えるため、グループワークの時間を拡大した勉強会の開催が予定されている。(髙橋 望)

SC研修・情報交換会等に協力

京都府

9月5日

 京都府内のSCが集う「みんながつながる情報交換会vol・3」が開催され、24名が参加した。実行委員は、京都府高齢者支援課の後藤麻友氏と滝本尚子氏、久御山町SCの松下一恵氏、宇治市社協所属SCの松尾まみ氏、宮津市社協所属SCの大江健太郎氏、与謝野町社協所属SCの長島悦子氏、京都府のさわやかインストラクター古海りえ子氏、当財団。
 できるだけたくさんの仲間とつながり、現状の課題を共有し、できることを探していくことを目的に実施している情報交換会のため、ランチミーティングも企画し、大変盛り上がった。
 午後からはグループワーク。テーマは、①「SCの皆さんに聞きたいこと!」、②「困っていること!」。メンバーを入れ替えて2回行った。こちらも議論が大変盛り上がり、①②ともに皆が共感できる内容で、発表ではこの情報交換会恒例の「イイネ!」カードがたくさん上がった。
 参加者同士、取り組みの情報交換ができ、課題についても励まし合い、解決に向けてできることを話し合っていた。経験1年未満の参加者からのアンケートで「SC業務は100人いたら100通りある。型にはまろうと考えず、もっと自由でよい。”待つ”ことが重要。しんどいし、待ったからと言って必ず良い方向に行くわけではないけれど、地域の方の想いに寄り添うことが大切と先輩SCさんから学べたことがよかった」という内容の回答があった。新人も先輩も一緒になって頑張っていこうとしている姿に感動した。昨年から始めたばかりの情報交換会だが、現役SCである実行委員の皆さんが自分たちでつくり上げていく姿も頼もしく感じた。今後も応援していく。(目﨑 智恵子)

岩手県

9月9日

 岩手県生活支援コーディネーター現地研修が行われ、同県滝沢市の「居場所ほっこり」に訪問。参加者は、県内市町村SC、地域包括支援センター、社協等約20名。
 滝沢市は2021年度にアドバイザー派遣を活用し、当財団・鶴山が担い手養成研修会に関わり、同市はその後もアドバイザー派遣を活用するなどして前に進んできた。そのような過程を経て立ち上がった居場所を、公益財団法人いきいき岩手支援財団が企画して県の現地研修の場とした。9月と11月の2回に分けて開催し、県内のSCらが先駆的な取り組みを実践する現場で生活支援サービスの内容や立ち上げの過程等について実践的な知識を習得するとともに、相互に情報交換することが目的。
 「ほっこり」は昨年年5月立ち上げ。10時からステージにて睦大学(滝沢市の高齢者生涯学習講座)と連携して襖の大きさの紙芝居を鑑賞。居場所参加者も一緒に作成した。その後、テーブルごとに4〜5名に分かれて座り、お茶菓子とお茶でおしゃべりをしていたところにも参加し、歓談の様子を視察した。「こういう集まりがあるのは、とてもいい。外に出るきっかけになる。紙芝居もすごいでしょ。感激したわ」と参加者。徒歩で来た90代の参加者は「医者が歩け歩けと言うから仕方なく来てんだよ」と笑いを誘っていた。また、「農繁期は忙しくて参加が難しい人も多いし、年を取ると億劫になる。誰かが声をかけてくれたら参加する人も増えるのではないか、声かけが大事」と言う人もいた。おしゃれをしているので声をかけると「20年前の洋服。仕事では着ないから」と笑顔で答えてくれた。居場所があることが張りになっていること、住民同士の呼びかけや声かけが参加につながることを教えられた。
 続いて座学での情報交換会。市の第1層SCや行政担当者から、生活支援体制整備事業の取り組みとその過程で立ち上がった「ほっこり」について説明。当財のアドバイザーとしての支援も取り入れてくれながら、その後の展開も含め住民主体で立ち上げ・運営を支援してきたプロセスを伝えた。また、居場所のリーダー柴田氏からは取り組みの様子を思いを持って報告。
 補足で鶴山より、住民主体の担い手養成講座について(プログラムはワークショップ中心、実践者の講和、チラシの呼びかけ、幅広い対象者に周知等)、時にはしがらみのない“よそ者”の力も使うことも有効などポイントであると伝えた。SCは真剣に聞き入っていた。また、その人の得意を生かす「かがやき再生プロジェクト」を居場所の中で始めていることはとても素晴らしいと指摘した。
 続いての情報交換は鶴山が進行。参加市町村ごとに参加した感想や質問を話してもらった。住民への周知方法、特に若い世代の参加についてや、保険に関する質疑等があった。市や柴田氏が回答し、他の方法やポイントを鶴山が他県の事例なども含めて紹介した。情報交換で手に入れた情報や方法を地域に持ち帰り、生かしてほしい。(鶴山 芳子、窪田 健二)

大阪府

9月20日

 大阪府で恒例となった「本音で語ろう‼情報交換会」が開催され、同府内市町村で新たに配置されたSCやベテランSCなど35名が参加した。
 府からの情報提供等、アイスブレーク等の後、グループワークを実施。テーマは、①「現状の確認 チェックリストで話してみよう!」、②「聞きたいこと、詰まっていることを話してみよう!」、③「意外と知らない近隣市町村と話してみましょう」の3つ。各グループに財団の助け合い推進パートナーである実行委員が進行役として入り、テーマごとにグループのメンバーを入れ替えて行い、終了時に都度まとめを各班ごとに発表して、全員で内容を共有した。
 参加者アンケート結果では、「情報交換が出来ましたか?」に対して、「すごくできた・できた」が95%を占めるなど、好評であったSC1年目の参加者から「住民へのアプローチ、地域資源の活用について、たくさんの情報を得ることができた」との感想が寄せられるなど、経験年数の異なるSC同士が情報交換しながら共に学び合い、住民主体の地域づくりが進んでいくことが期待できる情報交換会となった。(目﨑 智恵子)

協議体の活動・編成等に協力

長泉町(静岡県)

9月13日

 長泉町第1層協議体にオブサーバー参加した。第1層協議体委員のほかに、第2層協議体委員から3名の見学者もあった。
 冒頭、担当課より、困っている人に訪問型サービスBに位置付けた日常生活支援活動を利用してもらうためには、ケアマネジャーとの情報共有・連携は必須であり、今後SCと協議してケアマネジャーにもB型事業の周知を行うことや、住民主体の通いの場を増やしていきたいとの方向性が示された。
 続いて、今年度1回目の第1層協議体であるため、第1層SCがあらためて生活支援体制整備事業についての簡単な学び直しを行った。また、第2層協議体で共通テーマを設定し圏域ごとに活動を考えていくが、今年度からは「介護予防に資する集いの場」について話し合いたいと考えているとのこと。また、高齢者を対象とした「外出状況調査」について報告があり、買い物・通院は不便さがあるものの宅配やタクシー等を活用し維持している一方で、全体的に外出機会が減っているとの結果が報告された。
 続いて、関係各課、包括からも、各取り組みが報告された。
 上記の報告に対する協議体委員の意見交換では、高齢者の交流の場の必要性や情報不足、リーダーの高齢化などが報告され、住民活動の情報提供方法や継続性の確保が課題となっていることが分かった。
 これらの報告や意見を踏まえ、当財団からは、課題解決に向けてさまざまな手法を試してみることを勧めた。例えば、リーダー不在による継続性の問題について、リーダー確保のために住民に働きかけながら、並行して、現在の活動者が続けられるような工夫を行うことの有効性も話し、何のために活動を行っているのか目標を話し合う時間を持つ、活動を続けることが自分自身の健康増進や生きがいにつながるなどのメリットをきちんと伝える、情報交換会等による他団体とのネットワーク形成や活動共有ができる場を開催する等、活動継続のためのモチベーション維持の工夫を行っていくことも大切であることを話した。
 また、サロンの事例を紹介し、ボランティア養成講座修了者にSC・協議体が集いの場の立ち上げ支援を行いながら、学習塾、銀行、スーパー等、さまざまな場所でサロンを展開している例を紹介した。
 アンケートや協議体で住民ニーズも拾いながら、関係各課との情報連携を行い、面として地域に必要な活動を広めている同町の協議体。今後の動きに期待したい。(岡野 貴代)

アドバイザー派遣事業に協力

福井市(福井県)

9月2日

 福井市主催の「令和6年度 生活支援体制整備事業(地域づくり)研修会」に協力。包括やケアマネジャーを中心に約30名が参加した。今年7月に開催されたSC向け研修に続くもので、同市では今年度より小学校区・公民館区単位での第2層SCの配置を進めており、支え合いづくりの取り組み推進に向けて包括等の理解・連携が欠かせないことから今回の研修が計画された。当初は集合型研修の予定だったが台風の影響により急遽オンラインでの開催となった。
 研修では、当財団から主に、地域支援事業の内容と背景、住民主体とはどういうことか、住民主体の活動創出の具体的取り組み、活動創出につながる連携・協働などについて説明した。
 オンラインではあったが参加者からの質問もあり、しっかりと進めていこうとする熱意が感じられる研修となった。(髙橋 望)

越前町(福井県)

9月10日

 越前町では小学校区を第2層圏域として、協議体準備会(住民勉強会)を開催しながら協議体を編成してきている。今回は町内5番目となる四ヶ浦地区での協議体準備会(地域のささえあいを考える座談会)第1回の開催。約30名の住民が集まった。
 最初に行政から「地区の状況と取り組みの方針」が報告され、続いて当財団から「助け合いの意義と効果」について説明した。その後、SCの進行による「助け合い体験ゲーム」とグループワーク(地域の良いところと必要なもの)が行われた。9月24日には第2回が開催され、足りない活動についてできることを具体的に考えた。
 次の第3回で参加者から「協議体への参加意向」を確認し、参加意思を示した住民で第2層協議体を編成していく予定である。(髙橋 望)

神奈川県

9月13日

 相模原市光が丘地域包括支援センターが神奈川県の「地域包括ケア推進事業における専門職員等派遣事業」を活用し、地域ケア会議における地域づくり部会(第2層協議体の位置付けでもある)メンバーを対象とした住民主体による居場所づくりの立ち上げにつなげる講座を開催。当財団・鶴山が講師を務めた。
 「居場所を増やしたい」「担い手を増やしたい」というニーズが地域ケア会議で上がっており、その対策として地域づくり部会メンバーへの講演を、との依頼で内容を組み立てた。タイトルは「居心地がいい居場所を広げていきませんか~高齢者の集いの場を増やすには、担い手をどう発掘していくのか~」。
 まず「居場所とは何か」、その意義と効果について共有。住民主体の意識を醸成しながら、住民が取り組みたい居場所を広げていくことが大事であること、したいことは人によって違うため「行きたい居場所」ということから始めてみることでさまざまなタイプが広がり住民が選べる地域づくりが広がること、ごちゃまぜにさまざまな人たちが主体的に参加する中で役割が生まれること。そのための立ち上げのノウハウ等を軸に、全国の事例を紹介しながら伝えた。
 次に、主体的な居場所を立ち上げるための仕掛けとして自治体での取り組みを紹介。場所は、ベンチ、パイプ椅子、空き店舗、空き家、お店、自宅開放型。目的も、課題解決型、自然発生型、近所の見守り、共生の地域づくりなどさまざまなタイプを紹介。立ち上げのプロセスを通じた、人、もの(場所)、お金、情報なども伝えた。次に「やらされ感でいっぱいの住民をどのように主体的にするのか」。ある市の仕掛けを紹介。フォーラムから勉強会、情報交換会、視察など、SCらが取り組み主体的な立ち上げに至ったプロセスを、ポイントとともに伝えた。
 参加者から「子どもと高齢者のごちゃまぜになるかな、とは思っていた」「誰でも担い手になれて、誰でも助けてもらえる存在だと分かった」「居場所は家でもどこでもいい。担い手の概念が変わった」等の前向きな感想が述べられた。
 講演会の後、さっそく自宅前にベンチを置いてみたという人がおり、まだ何人かベンチを置くことを検討している動きが出始めているという。これからが楽しみである。(鶴山芳子 窪田健二)

鯖江市(福井県)

9月14日

 鯖江市では、公民館に第2層SCを配置し「支え合い活動推進」に取り組んでいる。河和田地区ではこれまで、地域づくりの住民勉強会が開催されているが、継続的な話し合いの場はなかった。そこで今回、複数回の住民勉強会(協議体準備会)を行い、協議体発足につなげていくこととなった。本勉強会は、県の支援事業(地域支え合い生活支援体制整備推進事業)を活用して開催されている。当初、第1回は8月末に予定されていたが、台風により延期され今回の日程となったが、約30名の住民が集まった。
 まずは河和田地区担当の第2層SCから、地区の現状等について報告、続いて当財団から「助け合いの意義とこれからの取り組み」について説明した。住民には「協議体」という言葉になじみがなく、「また、何かしろと言われるのか」となることを避けるため、今回は「協議体」は説明せず「5年後、10年後の河和田地区を考えよう」をテーマとしたグループワークを行った。
 今後、住民勉強会を数回行い、協議体に参加する意思を示した住民を集めて協議体を編成していく予定。(髙橋 望)

新発田市(新潟県)

9月20日

 新潟県生活支援体制整備アドバイザー派遣事業を活用した新発田市で、8月の第1回に続き第2回支援が行われ、当財団・鶴山がアドバイザーを務めた。参加者は、市担当、市社協、県担当。
 同市は、第2層協議体と第2層SCの制度設計について、次年度事業計画に向けた検討を行っている。第1回支援では、第2層SCを社協に委託する方向を市が決定。今回は、協議体とSCの役割について市と社協の規範的統合を目的に行われた。
 主催者あいさつ等の後、市からアドバイザー派遣事業の経緯説明、新発田市の取り組み、課題、実現したいこと、第9期事業計画の説明が行われた。続いて、鶴山より「地域の支え合い・助け合いの推進における協議体とSCの役割、抑えるべきポイントなど」と題して講演。なぜ支え合いの地域づくりが必要とされるのかの背景、協議体とSCの役割を山梨県南アルプス市の事例を交えて説明。また、住民主体の地域づくりに向けて押さえるべきポイント等を伝え、質疑応答を行った。
 次に、来年度事業を市社協に委託するにあたり、市の課題、SC・協議体の設置状況、第2層SCの予算等について説明。多様な主体との連携など地域支援事業の要綱改定に合わせた内容も盛り込まれた。
 次に、市民の特性や第2層エリアの設定、高齢者だけでなく障がい者や防災等も併せて取り組んでいくことの必要性などについて話し合われた。鶴山より、「これまでも社協は地域に入り地域づくりをしっかり推進してきており、地域をよく知っている。担い手不足も課題となる今後に向けて“いつもの人”以外の住民や組織などと連携していくことも重要ではないか」と提案した。
 今回の話し合いを受けて、市と市社協で次年度事業に向けて議論を重ね制度を設計する。11月には第3回の支援を予定。市としては、第1層協議体も入り共通認識を持つ場を考えているとのこと。(鶴山 芳子、窪田 健二)

大村市(長崎県)

9月25日

 大村市で、県のアドバイザー派遣事業を活用した「令和6年度大村市地域包括ケアシステム実務者圏域会議全体会」が開催され、第2層協議体メンバー、市包括、長崎県など約100名が参加した。第2層協議体をより地域課題に対応できる体制(メンバー)で推進するために、あらためて事業の意義や住民主体の地域づくりのための協議体を理解し推進すること、また、参加者が互いの活動を知りネットワーク化することを目的として実施され、当財団・鶴山が講師を務めた。昨年度は、同市の住民フォーラムと3回にわたる助け合い創出勉強会に協力している。
 包括による制度説明等の話に続き、鶴山より「目指す地域像を考えよう」というテーマで講演。新たな協議体メンバーがそれぞれの第2層圏域が目指す地域像を話し合うことを狙いとし、なぜ助け合いが必要か、財源・人材の問題等について同県佐々町や全国の多様な事例を「地縁活動」「居場所」「有償ボランティア」に分けて紹介。
 グループワークは「目指す地域像を考えよう」というテーマで実施し、模造紙が埋め尽くされるほど多くの意見が出た。SCや町内会長の発表は、住民のニーズがよく分かる内容だった。最後に鶴山が「今日は、5年後10年後にこんな地域にしたいという同じ方向を見て話し合うことが狙い。今後は、各地域で協議体として『目指す地域像をどう実現するか』が大切。グループワークで出た課題の解決にも取り組んでほしい。今後の活動を楽しみにしています」とまとめた。
 各地域の今後の活動に期待したい。(鶴山 芳子、窪田 健二)

(本稿担当は、岡野貴代、窪田健二、髙橋望、鶴山芳子、目﨑智恵子)