地域通貨は会員間の信頼関係のもとに成り立っているものであり、身近な助け合いを行うものです。したがって、その活動の中で生じるトラブルについては当事者同士で解決していくことが最もよいのですが、そのことによって信頼関係が崩れてしまうこともあり得ることです。
そこで、団体として活動する場合は、保険等の扱いについて考えておかなければならないでしょう。保険料は誰が負担するのか、会員個人が負担するのか、入会金などの中から団体として負担するのかなどを具体的に検討しておいた方がよいでしょう。保険には次のようなものがあります。
この保険は、ボランティア自身がけがをした場合の「傷害事故」と、第3者の身体や財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合の「賠償事故」がセットになっています。申込みは、地域の社会福祉協議会に用意してある書類に記入し、補償の額に応じた保険金額を添えて申し込みます。
この制度は、ボランティア個人またはボランティアグル−プが加入申込者となり、ボランティア個人を被保険者として、全国社会福祉協議会が一括して保険会社と締結する団体契約です。
ボランティア活動保険では、自動車による事故の場合、加入者自身の傷害のみが対象となり、同乗者のけがなどは補償されていません。そのために、個人の車で送迎をする場合は、その人の自賠責保険や任意自動車保険の保険証券のコピーをもらい、契約忘れなどがないように、また保険の最低条件などを会員で話し合うことが必要でしょう。
移動サービスに関する保険には、「移送サービス交通傷害保険」、全国社会福祉協議会の場合には「送迎サービス補償プラン」などがあります。
その他、在宅サービスに関するものには、「在宅福祉サービス総合補償保険」(社会福祉協議会の取り扱い)や、「市民互助団体スーパー安心プラン」「草の根市民互助団体補償共済制度」(市民福祉団体全国協議会取り扱い)などがあります。
地域通貨は、お互いが支え合うことが基本なので、ややこしい書類などは必要ないと思われがちですが、やはり万一の備えとして事故対策については、会員間で事前に話し合っておくことも必要です。
保険以外にも例えば、会員間で何らかの文書を交わすなども考えられます。こうしたいわゆる覚書や念書は法的な裏付けはありません。しかし、お互いの信頼関係の上に立った助け合い活動における確認事項を書類にしておくことも大切でしょう。
以上のように地域通貨をはじめるためのいくつかの準備がありましたが、とにかく一歩前に踏み出すことが大切です。「地域の支え合い」を実現するために、その一つの手法として、「地域通貨」をはじめてみませんか?